「駅・郵便局統合」でローカル線は変わるか。JR東日本と日本郵便が提携へ

新たな地域の拠点に

JR東日本と日本郵便が、駅などの活用で業務提携すると発表しました。地方では、駅に郵便局を移転して統合し、きっぷを販売することも検討されます。ローカル線の新しい活性化策になるのでしょうか。

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地域・社会の活性化に関する協定

JR東日本と日本郵便が結んだのは、「地域・社会の活性化に関する協定」。両社の持つネットワークを活かして、人や物、情報の交流を促進するのが目的です。

具体的な提携内容は以下の通りです。

(1)郵便局と駅の機能連携
(2)両社が有するネットワーク等を活用した物流
(3)観光振興等の地域活性化施策
(4)その他、地域・社会の活性化に資すること

JR東日本・日本郵政提携
画像:JR東日本・日本郵便プレスリリース

郵便局と駅を一体化

旅行者から見て最大の目玉は、(1)の「郵便局と駅の機能連携」でしょう。地方で日本郵便が郵便局を駅に移転し、JRが日本郵便に駅の運営を委託することを検討しています。郵便局の窓口業務と駅の窓口業務を一体運営するわけです。

これにより、利用者の少ないローカル線の駅と郵便局とを統合することができます。こうした「駅郵便局」では、郵便物やゆうちょ銀行・かんぽ生命の金融商品の取扱いのほか、列車のきっぷも販売することになりそうです。

効果としては鉄道駅の利便性が高まりますし、何よりも無人駅化を防ぐことができます。すでに無人化されてしまった駅の駅舎を郵便局として活用すれば、再有人化することも可能になるでしょう。

一方、都市部では、JR駅の集客力に期待して、郵便局が店舗を開設するといった提携も行われます。具体的には、JR立川駅の駅構内に郵便局の金融コンサルティング向け店舗を開設する計画があります。

そのほか、宅配便を預かるロッカーの設置なども検討されています。地方でも都市部でも、両社が補完しあうわけです。

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農産物を都市部へ運ぶ

(2)の「ネットワーク等を活用した物流」については、 地方の農産物を都市部へ運ぶことを想定しています。新幹線を使って、仙台エリアの農産物を東京駅へ運んで販売していく計画が進められています。

(3)の「観光振興」については具体的な計画は公表されていませんが、地域の観光資源の発掘・発信など、幅広く検討中しているということです。

人口減少対策として

人口減少時代を迎え、事業者は地方でのサービスの維持に単独で対応しきれなくなっています。その対策として、バスなどで「貨客混載」が行われるようになってきました。今回の「駅・郵便局統合」も、そうした流れに沿ったものといえます。単独では維持できないサービスも、複数社の相乗りなら維持可能になるわけです。

ローカル線の鉄道駅では、列車が発着する時を除いて閑散としていることが多いです。そこへ郵便局が入れば、多少は賑わいも出るでしょう。旅行者向けの物販などもしやすくなり、駅の活性化に繋がると思われます。

このほか、図書館や保育園などの公的施設が併設できれば、さらに集客効果も高まり、利用者にとっても便利になるでしょう。ローカル線の利用者増にも、少しは貢献するかもしれません。

ローカル線の利用者を増やす特効薬はありませんが、大事なのは小さな施策の積み重ねです。これをきっかけに、鉄道駅が「地域の拠点」として、新たな地位を築くことを期待したいところです。(鎌倉淳)

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