JR東海の売上高が激減。JR6社、2021年3月決算を読み解く

来期予測は各社で差

JR旅客6社の2021年3月期決算がまとまりました。新型コロナウイルス感染症の影響で、各社とも厳しい経営状況です。今期の業績予測と合わせて、各社を比較しながら見ていきましょう。

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鉄道運輸収入は40%台

JR旅客6社の2021年度3月期決算を見てみましょう。下表では、各社の鉄道運輸収入と、連結決算の売上高(営業収益)、営業損失をまとめてみました。

JR6社2021年3月期決算
会社名 鉄道運輸収入 前年度比 営業収益 前年度比 営業損失
JR北海道 354億円 50% 1119億円 66% 805億円
JR東日本 9543億円 53% 17645億円 59% 5203億円
JR東海 4761億円 34% 8235億円 44% 1847億円
JR西日本 4194億円 49% 8981億円 59% 2455億円
JR四国 118億円 53% 277億円 56% 259億円
JR九州 763億円 51% 2939億円 67% 228億円

 

鉄道運輸収入は、JR東海を除く5社が対前年度比で50%前後となりました。新型コロナで、鉄道の売り上げの半分が吹っ飛んだといえます。際立って低かったのがJR東海で、34%と落ち込みました。最も厳しい業績となったのが、JR東海といえます。

JR東海は、会社全体の収益に占める東海道新幹線の売上比率が高いのが特徴です。新型コロナの影響は、近距離利用よりも中長距離利用に強く出たため、東海道新幹線に頼るJR東海の業績を直撃した形です。連結の営業収益は、6社中唯一の対前年度比40%台に沈みました。

ただし、JR東海の営業損失は本州3社で最小の1847億円にとどまりました。東海道新幹線の損益分岐点が低いためとみられます。売上高でみると厳しいJR東海ですが、損益でみると経営体質の強さが浮き彫りになったともいえます。

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三島会社の状況

連結の営業収益については、対前年度比で落ち込みが小さかったのがJR北海道とJR九州です。JR北海道は鉄道運輸収入が半減したものの、不動産賃貸業や小売業が踏ん張り、売上高の減少を最小限に食い止めた形です。

JR九州は、もともと鉄道事業の売上高の割合が低いので、連結決算で見た場合、相対的に傷が浅くなっています。北海道、九州とも、営業収益に占める鉄道運輸収入の割合は約3割程度になっています。

深刻なのはJR四国。営業損失率が93%で、営業収入とほぼ同じ金額の損失を出しています。鉄道運輸収入はわずか118億円ですが、それでも営業収益の4割以上を占めています。鉄道の売り上げは、1日あたり3200万円あまり。この程度の売り上げで四国の鉄道ネットワークを維持するのは、厳しいでしょう。

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今期の業績予測

次に、各社の2021年度通期決算の業績予測を見てみます。鉄道運輸収入と連結決算の売上高(営業収益)、連結決算の営業損益の通期予測です。非上場2社は鉄道運輸収入の予測を開示していませんので、単体決算の売上高を代わりに( )で示しました。両社とも、単体売上高に占める鉄道運輸収入の割合は7割程度です。

JR6社2021年度業績予測
会社名 鉄道運輸収入 前年度比 営業収益 前年度比 営業損益
JR北海道 (655億円) 128% 1255億円 112% ▲692億円
JR東日本 14240億円 149% 23260億円 131% 740億円
JR東海 9280億円 194% 12340億円 149% 2150億円
JR西日本 6430億円 153% 12575億円 140% 120億円
JR四国 (230億円) 138% 393億円 141% ▲184億円
JR九州 1060億円 138% 3442億円 117% 106億円

※JR北海道、JR四国の「鉄道運輸収入」は単体の営業収益の数字。実際はこの7掛け程度。

鉄道運輸収入(または単体売上高)に関しては、JR東日本とJR西日本が対前年度比150%前後を予想。一方、JR東海は194%と高い回復を見込んでいます。JR九州は130%台と控えめで、JR北海道、四国の単体売上高も同程度の見通しです。3島会社は売り上げ回復を控えめに見積もり、東海は強気、東西2社はその中間、と判断が分かれました。

これは、大都市圏を擁し通勤・通学需要が手堅い東西2社と、ビジネス需要に依存する東海、観光需要の比率が高い3島会社の、需要構成の違いを反映したと解釈できそうです。通勤・通学需要はすでにだいぶ戻っているので、今後の回復は大きくない一方、ビジネス需要は2021年度の回復が期待しやすく、観光需要の回復はまだ先、とみているのでしょう。

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通勤8割、新幹線3割

すでに首都圏の通勤電車は、朝夕混雑しており、体感でコロナ前の7~8割程度まで戻っているように感じます。

JR東日本の利用状況を見ると、2021年4月期の定期収入は前々年度の71%まで回復しています。近距離の定期外収入は67%の回復です。近距離の定期外は、これまで定期券で通勤・通学していた人からの移行が含まれるので、通勤・通学客が8割程度戻っているという体感は、あながち間違っていないでしょう。

一方、出張や観光利用の指標となる中長距離客は、JR東日本で26%と戻りは鈍くなっています。

JR東海の月次情報では、4月の新幹線(東京口)の利用状況は、前々年度の39%。名古屋近郊の在来線は74%となっています。JR西日本の月次情報では、4月の定期収入は対前々年比76%。近畿圏の在来線の利用状況は59%となっています。山陽新幹線は新大阪口で32%です。

JR各社の数字からも、通勤・通学客は7~8割の回復、新幹線は3割程度の回復という状況が見えています。

業績予測にも各社の傾向

4月は新型コロナの第4波が高まってきた時期ですので、新幹線は厳しい数字になっていたはずです。第4波を越えれば、新幹線は5~6割までは回復しそうですが、コロナ前になるにはインバウンドの復活が不可欠で、それは今年度は無理でしょう。

厳しい環境は続きますが、業績予測については、上場4社がいずれも黒字決算を予想しています。「2期連続の赤字は許されない」という立場から、逆算して需要予測を積み上げている部分もありそうですが、比較してみると、各社の利用傾向を反映した予測になっています。(鎌倉淳)

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