JR北海道の2015年度輸送密度「増減率」ランキング。留萌線が72%増でトップ。インバウンド関連路線も好調

JR北海道が2015年度の決算(2016年3月期)を発表しました。そのなかで、各区間の輸送密度を公表しています。全体的に前年度より改善し、全社平均では3%数字が良くなっています。

各路線・区間の輸送密度を、増減率のランキング形式でご紹介しましょう。

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2015年度・JR北海道輸送密度「増減率」ランキング

1. 留萌線 留萌~増毛 67(172%)
2. 釧網線 東釧路~網走 513(110%)
3. 留萌線 深川~留萌 183(107%)
4. 千歳線 南千歳~新千歳空港 30670(106%)
5. 根室線 滝川~富良野 488(106%)

6. 富良野線 富良野~旭川 1477(105%)
7. 宗谷線 旭川~名寄 1571(104%)
8. 千歳線 白石~苫小牧 29267(103%)
9. 札沼線 桑園~医療大学 17359(103%)
10. 室蘭線 東室蘭~苫小牧 7983(103%)

11. 根室線 釧路~根室 449(103%)
12. 函館線 小樽~札幌 44981(102%)
13. 函館線 札幌~岩見沢 43994(102%)
14. 函館線 岩見沢~旭川 9538(102%)
15. 室蘭線 長万部~東室蘭 5106(102%)

16. 室蘭線 室蘭~東室蘭 1366(102%)
17. 函館線 長万部~小樽 690(102%)
18. 函館線 函館~長万部 3799(101%)
19. 石北線 上川~網走 1061(101%)
20. 石勝線 新夕張~夕張 118(101%)

21. 根室線 帯広~釧路 2266(100%)
22. 石勝根室線 南千歳~帯広 4213(99%)
23. 石北線 新旭川~上川 1481(99%)
24. 宗谷線 名寄~稚内 403(99%)
25. 札沼線 医療大学~新十津川 79(98%)

26. 室蘭線 沼ノ端~岩見沢 500(97%)
27. 海峡線 木古内~中小国 3706(96%)
28. 江差線 五稜郭~木古内 4133(94%)

全社平均 5094(103%)

※日高線 苫小牧~様似 185(–)。
日高線は代替バスを含めた全区間で輸送密度を算出していますが、全社平均の計算には入っていません。
*同率の場合は、輸送密度が高い方を上位としました。

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留萌以南は7%増

トップは前年度比172%の大幅増となった留萌線留萌~増毛間。2015年8月に廃止が正式発表されたため、お別れ乗車の鉄道ファンが殺到したとみられます。それに引っ張られる形で、留萌線の深川~留萌間も7%増となりました。

昨年度後半の留萌線は、平日でも鉄道ファンが訪れ、青春18きっぷ期間の週末ともなると阿鼻叫喚の混雑、と側聞していました。そうしたイメージからすると、「留萌以南はたった7%増なのか」という気がしないでもありません。

なんとなくですが、鉄道ファンの「お別れ乗車」パワーはもう少し強いかと思っていました。ただの感想ですいません。

増毛駅

札幌近郊とインバウンド関連が好調

そのほか健闘したのが釧網線(10%増)で、札幌から遠く離れた路線で1割も輸送密度が改善したのは驚かされます。また千歳線の南千歳~新千歳空港(6%増)は、輸送の絶対量が多いにもかかわらず、この増加率は特筆すべきでしょう。

先日、北海道新聞が、『新千歳発着枠拡大後も「エアポート」増強せず』という記事を掲載していましたが、なるほど、これだけ増えたら増便してもいいのでは、と端から見れば思ってしまいそうです。現実は、線路容量の問題で難しいようですが。

全体的にいえるのは、札幌近郊とインバウンドに関わる線区で輸送密度が改善した、という点です。最近のJR北海道では、こんなところに外国人? というくらい、ローカル区間でも外国人旅行者を見かけるようになりました。釧網線は外国人観光客に人気の路線ですし、増加率5、6位に富良野関連の区間がランクインしましたが、これもインバウンドと無関係ではないでしょう。

消費税増税の反動の影響も

一つ注意点としては、JR北海道の『決算のポイント』で、「鉄道輸送量は発売データを元に算出しており、平成26年3月の先買い反動により、 平成26年度実績が減少しております」と記されていることです。

2014年は4月1日に消費税増税が行われたため、3月に先買い行動が発生し、2014年度はその反動で数字が減少している、ということです。

輸送密度の元となる線区輸送人キロは、「鉄道輸送量」のデータですから、上記の注意書きを素直に読めば、輸送密度の数字も影響を受けているはずです。その影響がどの程度なのかははっきりしませんが、2015年度の輸送密度が改善している理由として、2014年4月の消費税増税の反動が含まれている可能性もあるわけです。

ただ、それを勘案しても、輸送密度増減率の順位は変わらないはずで、今回のランキングを見ると、JR北海道で、これから有望な路線がみえてきます。すなわち、札幌都市圏輸送とインバウンド関連です。JR北海道がこれから生き残るには、この2つの輸送に力を入れるほかなさそうです。(鎌倉淳)

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