新幹線の混雑ピーク時は、希望の列車の指定席券を取れなかったりします。頼みの綱は自由席ですが、混雑列車で自由席に座るのも簡単ではありません。
ここでは、自由席に座る方法を考えてみましょう。「確実に座れる方法」はありませんが、座れる確率をあげる方法はあります。
まずは自由席車両を確認する
新幹線の自由席車両は列車によって異なります。自由席の連結されていない、「全車指定席」の列車もあります。
したがって、新幹線で自由席に座るには、まずは利用予定の列車の自由席車両を確認することから始めましょう。インターネットの乗換案内などで確認できますし、駅の電光掲示板にも表示されています。
多くの人が利用する東海道新幹線「のぞみ号」の場合は、1~3号車が自由席です。ただし、お盆、年末年始、ゴールデンウィークのピーク時には全車指定席となります。
座席数の多い車両に並ぶ
「自由席に座る方法その1」は、座席数の多い車両に並ぶ、ということです。
新幹線の座席数は車両によって異なります。同じ自由席車両でも、乗る「号車」によって、座席数は異なります。
一例を挙げると、東海道新幹線「ひかり号」の自由席は1~5号車です。座席数は、1号車が65席、2号車と4号車が100席、3号車が85席、5号車が90席です。
先頭車両の1号車は運転席のぶん座席数が少ないですし、3号車や5号車は車両の端にトイレや洗面台などがあるため、2号車や4号車に比べて座席数が少ないです。
したがって、駅のホームに行列ができていた場合、同じくらいの行列人数なら、2号車、4号車に並べば座れる確率が高くなります。
新幹線の1~5号車の座席数
ということで、新幹線の自由席の確保には、各車両の座席数を把握しておくことが第一歩です。
新幹線の1~5号車の座席数は、おおよそ以下の通りです(一部例外の車両もあります)。
■東海道・山陽新幹線(16両編成)
1号車65席、2号車100席、3号車85席、4号車100席、5号車90席
■山陽・九州新幹線(8両編成)
1号車65席、2号車100席、3号車80席、4号車80席、5号車72席
■九州新幹線(6両編成)
1号車46席、2号車80席、3号車72席、4号車72席、5号車66席
■東北・北海道新幹線(E5系10両編成)
1号車27席、2号車98席、3号車83席、4号車98席、5号車52席
■東北新幹線(E2系10両編成)
1号車54席、2号車100席、3号車85席、4号車100席、5号車75席
■上越・北陸新幹線(E7/W7系12両編成)
1号車48席、2号車98席、3号車83席、4号車98席、5号車83席
傾向としては、どの車両でも、2、4号車の座席数が多いことが見て取れます。
2ケタ号車の自由席を狙う
「自由席に座る方法その2」は、2ケタ号車の自由席を狙うことです。
新幹線の自由席は1~3号車など小さな車番号の車両がメインですが、一部の列車には、12号車~16号車といった2ケタの車番号にも自由席が設置されている場合があります。
こうした2ケタ号車の自由席も狙い目です。多くの人は「自由席といえば1~5号車あたり」と思っているので、2ケタ号車の自由席は案外空いているからです。
1~5号車の自由席が満席に近くても、2ケタ号車はガラガラ、ということもあります。したがって、とくに途中駅から乗車する場合は、2ケタ号車の自由席に並んだ方が、座れる確率が高く、いい席も確保しやすいといえます。
2ケタ号車に自由席が設置されているのは、「こだま号」や一部の「やまびこ号」「なすの号」です。乗車前に確認しましょう。
途中駅発着の列車を狙う
「自由席に座る方法その3」は、途中駅発着の列車を狙うことです。
東海道新幹線の場合は、新大阪発着(東京~新大阪間運転)の列車が比較的空いています。こうした運転区間の短い列車は、長い列車に比べて利用者が少ないので、自由席は空いている傾向があります。
東北新幹線の場合は東京~仙台間の列車が比較的空いています。
ほかにも、名古屋、広島、越後湯沢など、途中駅発着の列車を狙うのも、自由席に座るための基本的な戦略です。
改札口から離れたドアから乗る
「自由席に座る方法その4」は、途中駅から利用する場合、改札口から離れたドアから乗る、ということです。
新幹線のほとんどの車両には、一つの車両につき2つのドアがあります。途中駅から乗車する場合は、このうち、改札口から遠いドアで待つようにすると、座れる確率が上がります。
なぜなら、その駅で降りる客は改札口から近いドアから降りる傾向があるので、改札口寄りのドアは降車客が降り終わるのに時間がかかります。改札口から遠いドアでは、先に客が降り終わるので、先に乗車できます。
先に乗車したほうが、空席を確保しやすいのはいうまでもありません。なお、始発駅から乗車する場合は、この方法は意味がありません。
立つときは車両中央部で
新幹線に途中駅から乗ると、どうやっても自由席に座れないことがあります。
もし、座れなかった場合は、なるべく自由席の客室車両中央で立ちましょう。なぜなら、次の駅で降りる客がいた場合、車内の中央に立っていた方が、席の確保がしやすいからです。
デッキに立っていると、降車客がいても、客室内で立っている人に先に席を取られてしまいます。
つまり、「自由席に座る方法その5」は、立つときは車両中央部にいる、ということです。
それでも座れないときはある
以上、自由席に座るための知恵をご紹介しました。でも、お盆や年末年始のようなピーク時は、どんなに工夫しても座れないこともあります。ですので、最後に一つ、大切なこと。
座れなかったらあきらめる
自由席に乗る時は、「座れたらラッキー」くらいの気持ちでいたほうが、座れなかったときに心穏やかでいられます。
念のためですが、自由席特急券で指定席車両は利用できません。指定席に空席があったとしても、座ることはできません。(鎌倉淳)