河合チームの検証
つづいて、河合チームの検証です。もう一度ルートを掲載しておきましょう。
▽1日目
宇都宮駅08:59→09:25芳賀工業団地西→徒歩1.9km→10:20唐桶宗山公園(☆芳賀町)→徒歩1.8km→芳賀バスターミナル11:44→11:56芳賀町役場→徒歩4.4km→13:05道の駅サシバの里いちかい(☆市貝町)→道の駅いちかい14:22→14:51JR烏山駅→徒歩0.5km→山あげ会館(☆那須烏山市)→徒歩0.5km→JR烏山駅15:35→16:07川崎入口→徒歩すぐ→大八寿司(☆那珂川町)→タクシー20km、8,200円→さくら市スバル付近→徒歩4.6km→お食事処勝山(さくら市、営業終了)→徒歩2.6km→20:00氏家仲町
▽2日目
氏家仲町07:38→徒歩7.1km→朝日屋本店(☆高根沢町)→徒歩0.2km→10:09宝積寺駅→タクシー1,800円+徒歩、計6km→10:47 JR岡本駅西口11:15→11:39宇都宮駅東口/西口13:00→13:37若林入口→徒歩1km→マツガミネコーヒー(☆下野市)→徒歩1km→若林入口14:57→15:32馬場町→徒歩0.1km→二荒山神社(☆宇都宮市)
1日目、河合チームは茂木行きのバスを途中で乗り捨て、芳賀町の陣を押さえました。結果的に、茂木町には足を伸ばさなかったのですが、仮に茂木町へ直行していたらどうなっていたかをみてみます。
▽1日目
宇都宮駅08:59→10:02茂木駅(☆茂木町)→タクシー8.6km→道の駅サシバの里いちかい(☆市貝町)
茂木町の陣が茂木駅近辺にあると仮定します。茂木で陣を押さえた後、折り返すバスは13時30分までありませんので、タクシーを使って市貝町に入り、市貝町の陣(道の駅)へ向かうでしょう。
つまり、芳賀町の陣の代わりに茂木町の陣を獲得し、タクシー代を余計に使うだけ、という結果です。したがって、河合チームが茂木行きバスを途中で降車し、芳賀町の陣を取りに行ったのは間違っていなかったように思えます。
氏家行きバスに乗ったら
河合チームは、芳賀町、市貝町と陣を押さえた後、コミュニティーバスで那須烏山町に至り、ここでも陣を確保。さらに北方へ展開し、那珂川町の陣も獲得します。この付近は、河合チームが実際にたどったルート以外に有効なバス乗り継ぎがなく、那珂川町までは、制作側が想定したルートに沿って進んだように感じられます。
問題はその後で、那珂川町の陣(大八寿司)を前にして、さくら市(氏家)方面の最終バス時刻が迫っていることがわかりました。河合は、バスよりも目の前の1陣を優先したのですが、仮にここで氏家行きのバスに乗っていたらどうなっていたでしょうか。
▽1日目
JR烏山駅15:35→16:07川崎入口16:25→17:12氏家駅前→徒歩2.5km→お食事処勝山(さくら市、営業時間外)→徒歩5km→朝日屋本店(高根沢町、営業時間外)
さくら市の陣であるお食事処勝山には17時30分頃に到着できそうです。しかし、同店の営業時間は11時30分~15時と短く、到着できていたとしても営業時間外で陣は得られません。
そこから高根沢町へ歩いて向かうと、高根沢町の陣である朝日屋本店に着くのは19時頃。同店は18時30分で営業時間終了ですので、これも得られません。タクシーを使えば別ですが、そうでないなら、那珂川町から3つ続けて、陣に達しながら獲得できないという事態に陥っていた可能性もあります。
そう考えると、那珂川町で、目の前の1陣をきっちり確保した河合の判断は間違っていなかった、という結論になりそうです。
烏山に戻ったら
河合チームにとっての試練はその後です。那珂川町の陣を確保した後、タクシーを使って氏家方面に向かいました。ここで使ったタクシー代は8,200円。いわば大勝負に出たのですが、さくら市の陣(お食事処勝山)は営業時間外。空振りに終わってしまいました。
では、那珂川町から他のルートはなかったのでしょうか。
那珂川町のミッションを終えたのが17時すぎ。土休日ダイヤでこの時間から町外に向かって出発するバスは、烏山方面に戻る便だけです。それに乗ると以下のようになります。
▽1日目
川崎入口17:27→17:59JR烏山駅18:52→19:28市塙駅
▽2日目
市塙駅入口06:44→07:43宇都宮駅西口
1日目は市塙駅周辺で宿泊し、2日目の始発バスに乗ると、8時前に宇都宮駅に到着できます。太川チームが宇都宮駅に到着するのは09時05分ですから、1時間あまりの先着です。
この時点で、陣取りは4対4の同数で、河合チームはタクシー代を満額残していますので、形成はやや有利です。したがって、那珂川町から烏山に戻るのは、悪い乗り継ぎではありません。
日光と鹿沼
ただし、その後、仮に日光方面に向かうなら、太川チームが乗った09時25分発までバスはありません。そのため、どちらかのチームが日光市に向かい、もう一方が鹿沼市に向かう、という形になるでしょう。
その場合、時刻表上は以下のような往復となります。
▽日光市へ向かう
宇都宮駅西口09:25→11:28中禅寺温泉(☆☆)12:00→15:16馬場町
▽鹿沼市に向かう
宇都宮駅西口09:30→11:23古峯神社(☆☆)13:00→14:38馬場町
現実には、日光へ向かった太川チームは、途中でタクシーを使ったので14時14分に馬場町に着いています。いずれにしろ、両チームが9時半頃に宇都宮駅を出発した場合、鹿沼市経向かっても日光市へ向かっても、ゴールの馬場町に、近い時間帯に戻れるように設定されていたことがわかります。
両チームが同条件で宇都宮駅でかち合った場合、日光に行くか鹿沼に行くか、タクシーをどこで使うかによって、勝敗が分かれたに違いありません。
話がだいぶ横道に逸れましたが、河合チームが那珂川町から烏山へ戻った場合、両チームが互角の情勢で2日目朝に宇都宮駅でかち合った可能性が高い、ということです。
那珂川に泊まっていたら
実際ルートの那珂川町に戻ります。無理をせずに、那珂川町で1泊するという考え方もあるでしょう。その場合、翌朝のバスで氏家に向かうことになります。
▽2日目
川崎入口06:46→07:33氏家駅前→タクシー2.5km→お食事処勝山(営業時間外)→タクシー5km→朝日屋本店(☆高根沢町)→タクシー約6km→岡本駅09:15→09:39宇都宮駅東口
始発バスで川崎入口を出発し、氏家駅からタクシーでさくら市の陣に向かうと仮定します。
前述したように、さくら市の陣(お食事処勝山)の営業時間は11時30分~15時と短く、この時刻でも入店できません。したがって、そのままタクシーで高根沢町の陣(朝日屋本店)に向かいます。
ここは朝8時から営業しているので確保。タクシーとバスを岡本駅で乗り継いで、宇都宮駅東口に09時39分に到着できます。
この場合、太川チームより30分遅く宇都宮駅に到着することになり、日光東照宮行きのバスも出てしまっています。
しかし、河合チームはすでに5陣を確保していて、タクシー代にも余裕があります。河合チームの実際ルートでは、同じ5陣確保で11時39分に宇都宮駅東口到着、タクシー代残額ゼロでしたので、それに比べると優位といえるでしょう。
まとめると、河合チームが1日目の夜、タクシー代の大半を投じてさくら市に攻め込んだのは、策としては裏目に出た、という結論になりそうです。
那須塩原を目指したら
頭の体操として、2日目、那珂川町から「どデカ陣地」の那須塩原町を目指した場合も考えてみましょう。那須塩原方面の陣地がどこにあるかは不明なので、ここから先は、ルート検証と言うよりもルート妄想です。
▽2日目
川崎入口06:47→07:27大田原市役所入口(☆大田原市)08:02→08:14西那須野駅東口/西口08:35→09:20塩原温泉バスターミナル(☆☆那須塩原町)10:28→10:50上三依塩原温泉口駅→タクシー13.7km→湯西川温泉駅11:15→11:45鬼怒川温泉駅13:05→13:36小倉町14:18→15:16馬場町
大田原市の陣が市役所付近にあり、那須塩原市の陣が塩原温泉付近にあると仮定した乗り継ぎです。この場合、日光市の陣を得られませんが、7陣を得て宇都宮市に戻ることはできます。ゴールの陣を得られれば8陣です。
矢板に向かったら
塩原温泉から矢板に向かうルートも考えてみましょう。
▽2日目
川崎入口06:47→07:27大田原市役所入口(☆大田原市)08:02→08:14西那須野駅東口/西口08:35→09:20塩原温泉バスターミナル(☆☆那須塩原町)10:35→11:20西那須野駅西口→タクシー11km→矢板駅(☆矢板市)12:40→13:05玉生宿(☆塩谷町)14:42→15:43馬場町
矢板市と塩谷町の陣もどこか不明ですが、矢板駅周辺と塩谷町役場周辺と仮定しました。このように取りやすいところにあれば、2日目に最大5陣を得て、合計9陣を得て宇都宮に戻れます。ゴールの陣とあわせて10陣となります。
各市町村の陣の位置が公表されていないので仮定の話にすぎませんが、那珂川町の陣を獲った後、さまざまな展開方法があったことはおわかりいただけたかと思います。
まとめてみると
全体をまとめてみると、太川チームで最も悔やまれる点は、2日目14時過ぎにゴールしなかったことよりも、益子町から真岡市に向かう際、バスを2時間近くも待ってしまったことではないでしょうか。
ここでタクシーを使っていれば、1日目に下野市の陣を取れます。河合チームが2日目に同陣を得られないことを意味しますので、ゴールの陣の帰趨にかかわらず、太川チームが勝利できていた可能性が高かったでしょう。
そう考えると、意外かもしれませんが、益子町からタクシーを使わなかったことが「敗因」の一つと表現できるかもしれません。
番組の盛り上がりという点では、市貝町の陣を狙ってほしかったところです。太川チームが市貝町に殴り込んだら、陣の奪い合いが起こり、番組はもう少し混戦模様になったと思います。
一方、河合チームは勝利しましたが、全体としては厳しい戦いでした。苦戦の原因はいうまでもなく、那珂川町からタクシーでさくら市に向かったことでしょう。
ここで違った判断をしていれば、圧勝できていた可能性もありました。河合はさくら市へ向かうと決めつけていたようですが、烏山へ引き返したり、那須塩原方面へ向かったりすることを検討してもよかった気がします。
いっぽう、終盤で「どデカ陣地」にこだわらず、下野市の陣を狙いにいったのは好判断です。手近な陣を確実に抑える戦術を選んだのでしょう。2陣の誘惑に負けなかったのは、目立たない好プレーだったように思えます。
これで河合チームは連敗を脱出。通算成績は太川チームの5勝4敗2分けで、勝ち越しは1つになりました。次回も楽しみです。(鎌倉淳)