不動産デベロッパーのオープンハウスが、水上宝台樹スキー場の運営を引き受けることが発表されました。スキー場事業に参入します。
みなかみ町の大規模スキー場
群馬県などが出資する第三セクターの武尊山観光開発は、運営する水上宝台樹スキー場と同キャンプ場の事業を、不動産業のオープンハウスに譲渡すると発表しました。
水上宝台樹スキー場は、群馬県みなかみ町のスキー場で、総面積は193平米。このエリアでは大規模スキー場に分類される広さです。
かつては年間30万人以上が訪れていた人気ゲレンデですが、近年は10万人程度に低迷。新型コロナウイルス感染症の影響による来場者減もあり、経営は苦しい局面を迎えていました。
水上宝台樹スキー場の土地やリフトは武尊山観光開発や県などが所有しています。現在は、武尊山観光開発が指定管理を受託して運営していますが、オープンハウスが子会社を設立して事業を引き継ぎ、新たな指定管理者となる方向です。
ゲレンデをどう変えるか
経営難の水上宝台樹スキー場が、新たな出資者を得て存続するというのは良いニュースです。さらに注目は、その引き受け手が、不動産デベロッパーとして急成長しているオープンハウスである、ということでしょうか。
オープンハウスがスキー場運営を手がけるのは初めてとみられます。同社は今回の投資を「地域資源をビジネスに生かす『地域共創プロジェクト』の一環」と位置づけていて、新たなビジネスモデルを模索するようです。
日本全体を見渡せば、ニセコを筆頭とする巨大スキー場は、コロナ以前にインバウンド客が殺到し、隆盛を取り戻しています。しかし、水上宝台樹クラスのスキー場はインバウンドの恩恵に必ずしも与れておらず、厳しい局面が続いていました。
水上宝台樹はバランスのとれた良質なゲレンデを擁していますが、公的企業の運営だったからか、思うように設備投資ができていなかったようにも察せられました。施設の老朽化が進んでいて、それが苦戦の要因にもなっていたように見受けられます。
そこへ急成長中のデベロッパーのオープンハウスが参入するわけです。新たな力でゲレンデをどう変えていくのか。今後の水上宝台樹に注目せずにはいられません。(鎌倉淳)