東九州新幹線が宮崎まで整備された場合の、宮崎県内への経済波及効果について調べた報告書が公表されました。日豊本線ルートで年間234億円、新八代ルートで同159億円と試算されています。
日豊本線ルートと新八代ルートを調査
宮崎県は、新幹線のルート案として、「日豊本線ルート」と「新八代ルート」「鹿児島中央先行ルート」の3つを検討しています。
日豊本線ルートは、小倉~大分~宮崎~鹿児島中央を結ぶ路線です。新八代ルートは、新八代~宮崎間を結びます。鹿児島中央先行ルートは、日豊本線ルートのうち鹿児島中央~宮崎間を先行して着手する案です。
今回公表された報告書では、このうち、日豊本線ルートと新八代ルートについて、経済波及効果の試算が示されました。鹿児島中央先行ルートは日豊本線ルートの一部のため、今回の試算対象から外されています。

年間159から234億円の経済波及効果
宮崎県が公表した報告書によると、日豊本線ルートが全面開通した場合、新幹線施設の整備による経済波及効果は2兆4441億円と試算されました。宮崎県への入り込み客は年間で128万人増加し、開業後の県内への経済波及効果は年間234億円になるとしました。
一方、新八代ルートでは、整備による経済波及効果は1兆5723億円。入り込み客は年間85万人増えると想定し、開業後の県内への経済波及効果を年間159億円としました。
ちなみに、北陸新幹線延伸による福井県の経済波及効果は年間309億円、西九州新幹線開業による長崎県は193億円とされています。北海道新幹線の新函館北斗開業による北海道は136億円です。東九州新幹線の経済波及効果は、それらと比較して見劣りする数字でないことが確認されたわけです。
議論活性化の基礎資料として
整備費用は、日豊本線ルートが2兆6960億円、新八代ルートが1兆608億円と見積もられています。経済波及効果の金額は日豊本線ルートが大きいですが、整備費用も大きいため、必ずしも日豊本線ルートに優位性があるとは限りません。
今回の調査は、新幹線開業に伴う効果を定量的に把握し、新幹線整備効果を広く周知し、新幹線整備に向けた議論を活性化することを目的としておこなわれました。報告書は、東九州新幹線整備の機運醸成を図るための基礎資料と位置づけられています。(鎌倉淳)