阪急、阪神、山陽、能勢電、12月17日ダイヤ改正の概要。4社一斉に合理化

アフターコロナの新ダイヤ

阪急、阪神、山陽、能勢電の各私鉄は、12月17日にダイヤ改正を実施します。全体的には合理化で、停車駅変更や列車の両数変更などがおこなわれます。

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阪急・阪神グループが4社一斉に

阪急電鉄、阪神電鉄、山陽電鉄、能勢電鉄は、2022年12月17日にダイヤ改正をおこなうと発表しました。

直通運転をしている阪急・阪神グループの4社が、「アフターコロナ」による利用動向の変化に対応し、一斉にダイヤを見直します。

阪急

ほぼ全列車が8両に

阪急電鉄では、朝の通勤時間帯のみ運行している10両編成の列車について、京都線と宝塚線ではすべて8両編成に変更します。神戸線では神戸三宮を始発とする通勤特急を除き、8両編成に変更します。神戸三宮始発の通勤特急は、これまで通り10両編成です。

京都・神戸・宝塚の主要3線でほぼ全列車が8両編成になるわけで、アフターコロナの利用客減少を受け、ラッシュ時の輸送力を削減する形です。今回のダイヤ改正を象徴する内容と言えます。

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21時以降は12~15分間隔に

阪急各線の日中時間帯の運転間隔に変更はありません。一方、平日の夜間・深夜時間帯(21~23時台)の運転本数は削減します。京都、神戸、宝塚の各線とも、21・22時台を12分間隔に、23時台を15分間隔にします。

終電も各線で見直し、最大で15分程度、繰り上げます。大阪梅田から京都河原町、神戸三宮、宝塚への最終電車は、いずれも23時45分発の急行となります。

快速急行を準特急に

京都線では、「快速急行」の名称を「準特急」に変更します。準特急の停車駅は、梅田、十三、淡路、茨城市、高槻市、長岡天神、桂、西院、大宮、烏丸、京都河原町です。さらに「快速」の停車駅に西京極を追加して、列車種別を「急行」とします。

阪急京都線停車駅
画像:阪急プレスリリース

2024年からは、京都線の「特急」「通勤特急」「準特急」で有料の座席指定サービスを開始する予定で、名称変更はその下準備ともいえます。

京都線では、土休日に運行している観光特急『京とれいん』は運行をとりやめ、『京とれいん雅洛』のみ1日4往復を運行します。

関連して、京都線と直通運転する大阪メトロ堺筋線も、同日にダイヤを改正します。平日朝ラッシュ時間帯の運転間隔をこれまでの3分間隔から3分30秒間隔に変更。日中時間帯は5分間隔から6分40秒間隔に変更します。深夜時間帯も運行本数を削減し、現行の10分間隔から12分間隔に変更します。

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箕面線直通が廃止

箕面線では、箕面発大阪梅田行き直通列車の運行をとりやめます。石橋阪大前における箕面線と宝塚線(大阪梅田方面)の接続時間を長くします。

箕面エリアでは、北大阪急行線の箕面萱野延伸を2024年春に控えています。延伸開業後は相当数の乗客が北急・御堂筋線に流れることが見込まれます。直通列車廃止は、北急延伸を見据え、近い将来のワンマン化などを視野に入れた合理化準備にも感じられます。

日生線を「本線化」

能勢電鉄では、普通列車の基本的な運行系統を変更し、川西能勢口~日生中央間を直通とし、山下で山下~妙見口間の折り返し列車に接続する運行形態が基本となります。

これまで支線扱いだった日生線を「本線化」する内容で、今回の4社改正のなかで、もっとも抜本的な見直しとなるトピックスです。能勢電鉄の川西能勢口を除く各駅で最も利用者数が多いのが日生中央駅ということもあり、日生線を重視する姿勢を鮮明にしたといえます。

日生エクスプレスを繰り上げ

能勢電では、このほか土曜ダイヤを廃止し、土休日ダイヤへ統合します。

平日朝は、6時30分~9時のあいだに川西能勢口へ到着する列車を5列車減便します。平日夕は、特急「日生エクスプレス」の運転時間帯を20分繰り上げます。また、普通列車の運転間隔を10分間隔とします。

平日深夜時間帯は、普通列車の運転間隔を、21・22 時台は12分間隔、23時台は15分間隔とします。終電も繰り上げ、大阪梅田発(川西能勢口乗り換え)の最終列車は、日生中央方面が23時45分、妙見口方面が平日23時30分(土休日23時20分)となります。

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阪神、尼崎解結を解消

阪神電鉄では、快速急行で大きな動きがあります。まず、平日夕に近鉄線と直通運転している快速急行を8両で運行し、尼崎駅での解結作業をなくします。これまでは阪神線内(尼崎以西)6両、近鉄線内(尼崎以東)10両でしたが、すべて8両となります。解結作業の解消により、所要時間が3分程度短縮します。

また、快速急行の停車駅を見直し、武庫川・今津について、平日朝を除き、全時間帯で停車します。また、芦屋については、平日朝のみ停車となります。

平日日中時間帯(09時30分頃~16時00分頃)の快速急行について、毎時3本だった運転本数を毎時2本とします。ただ、大阪梅田~尼崎間の急行を毎時1本、西宮まで延長するため、大阪梅田~西宮間の運転本数は改正後も変わりません。西宮~神戸三宮間では毎時1本の減少です。

終電繰り上げも実施します。大阪梅田発神戸三宮行きは23時45分の特急が最終電車なります。

山陽も終電繰り上げ

山陽電鉄では、夕ラッシュ時の荒井、白浜の宮の直通特急列車の停車時間帯を見直します。現在、両駅には17時30分から21時の時間帯に直通特急列車が停車していますが、17時から20時30分に短縮します。平日夕ラッシュの上りS特急列車を増発し、3列車運行します。

また、終電も繰り上げます。大阪梅田発山陽姫路行き最終は22時36分発に、新開地発山陽姫路行き最終は23時15分発となります。

全体的には寂しい印象を受けるダイヤ改正です。ただ、大幅なサービス削減とまではいえない内容で、乗客の利便性に配慮しつつ、合理化を進める姿勢が見て取れます。(鎌倉淳)

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