阪堺電気軌道が2019年7月20日にダイヤ改正を実施します。恵美須町~住吉間は減便で、日中24分間隔となります。
2時間で5本の運転に
阪堺電気軌道は、大阪市内と堺市内を結ぶ軌道路線です。恵美須町~浜寺駅前の阪堺線と、天王寺駅前~住吉の上町線の2路線があります。ただ、運行系統上は、天王寺駅前~浜寺駅前間が本線扱いで、恵美須町~住吉間が支線のような状態になっています。
恵美須町~住吉間は、現在、日中毎時3本で、12~24分間隔で運転されています。大都市の路面電車としては少ない運転本数ですが、さらなる減便が決まりました。
阪堺電気鉄道が発表した2019年7月20日ダイヤ改正の概要によりますと、恵美須町系統は、現在の日中12~24分間隔をあらため、均等の24分間隔となります。これまで2時間で6本の運転だったのが、2時間で5本の運転になります。
また、終電も繰り上げられ、恵美須町発はこれまでの23時12分発が、22時29分発になります。住吉発は、22時50分が22時09分発となります。それぞれ約40分程度の、大幅な終電繰り上げです。
「利用状況に応じた運行本数」
大阪市内という、公共交通機関が発達したエリアで、昼間は24分間隔、夜は午後10時過ぎには最終が終わってしまう路面電車となると、日常的には利用しづらいでしょう。朝夕ラッシュ時にも、毎時3~4本で、とくに本数が多いわけではありません。
阪堺電軌では、今回の恵美須町系統のダイヤ改正について、「交通量調査などの結果をもとに、現在のご利用状況に応じた運行本数と時刻に変更」と、減便の理由を説明しています。利用者が少ないから減便するという、身も蓋もない話です。
「国土数値情報」によると、2017年度の恵美須町駅の乗降客数は1日715人。天王寺駅前は1日8543人ですので、その差は明らかです。恵美須町系等の将来的な路線の存続も心配になるほどです。
天王寺系等は増発
一方、ダイヤ改正で天王寺系統では増発となります。平日の朝ラッシュ時間帯は、浜寺駅前発天王寺駅前行きを12本から13本に増やします。平日の夕方は、天王寺駅前発我孫子道行きの2本を、浜寺駅前行きに区間延長します。これにより17時から19時までの間、浜寺駅前行きは10分間隔での運転となります。
阪堺電軌によると、堺市の支援で実施している均一運賃や高齢者割引などの効果で、天王寺駅前~浜寺駅前間の利用者は増加傾向にあるそうです。天王寺系統にかんしては、実需に対応した増発ということで、喜ばしいことでしょう。(鎌倉淳)