JR北海道の2026年度第1四半期の線区別輸送密度で、函館線の岩見沢~旭川間が前年同期比12.7%減となり、特急自由席廃止の影響が浮き彫りになりました。一方、釧網線は15.8%増となるなど、道東やオホーツク方面では増加した区間もありました。
岩見沢~旭川が12.7%減
JR北海道が公表した2026年度第1四半期(4~6月)の線区別収支によると、全線区合計の輸送密度は4,697人/日でした。前年同期の4,635人/日から1.3%増えています。
一方、22区間のうち10区間では、輸送密度が前年同期を下回りました。減少率の大きい順に並べると、以下の通りです。
・函館線 岩見沢~旭川 6,266人→5,473人(12.7%減)
・室蘭線 沼ノ端~岩見沢 337人→308人(8.6%減)
・根室線 釧路~根室 202人→190人(5.9%減)
・日高線 苫小牧~鵡川 437人→414人(5.3%減)
・宗谷線 旭川~名寄 1,095人→1,047人(4.4%減)
・石勝・根室線 南千歳~帯広 2,476人→2,407人(2.8%減)
・函館線 長万部~小樽 473人→460人(2.7%減)
・宗谷線 名寄~稚内 258人→252人(2.3%減)
・函館線 札幌~岩見沢 40,130人→39,257人(2.2%減)
・根室線 帯広~釧路 1,126人→1,105人(1.9%減)
とくに目立つのが、岩見沢~旭川間の12.7%減です。減少幅は793人/日で、率、数ともに今回の公表区間では最大です。

旭川方面特急は前年比81%
岩見沢~旭川間を走る都市間列車では、2026年3月14日のダイヤ改正で、「カムイ」「ライラック」をはじめとする旭川・稚内・網走方面の特急列車が全車指定席となり、自由席が廃止されました。これにより、北海道内の定期特急はすべて全車指定席となりました。
同時に、自由席往復割引きっぷ「Sきっぷ」や指定席往復割引きっぷ「Rきっぷ」など、駅で販売していた割引商品の多くが発売を終了しています。
JR北海道が公表している特急列車の利用実績を見ると、札幌~岩見沢間は4月が前年比16%減、5月が20%減、6月が21%減で、4~6月累計では19%減でした。
岩見沢~旭川間の輸送密度の減少率12.7%は、特急列車の利用減が大きく影響したとみられます。
前年には「あさひかわ菓子博」
2025年6月には旭川市で「あさひかわ菓子博2025」が開かれていました。そのため、2026年の利用者の大幅減には、菓子博の反動減も含まれています。
ただ、岩見沢~旭川間の輸送密度を3年間でみると、24年度第1四半期が6,130人、25年度が6,266人、26年度が5,473人です。26年度は、菓子博開催前の24年度と比べても10.7%少なくなっています。
となると、輸送密度大幅減は、やはり、特急の全車指定席化と割引きっぷの廃止が最大の理由とみられます。
収入減は抑える
営業収益(収入)については、岩見沢~旭川間で、前年同期の11億6,900万円が11億1,700万円となっていて、5,200万円減少しました。
ただ、輸送密度が12.7%減少したのに対し、収入の減少率は4.4%にとどまっています。JR北海道は、全車指定席化に加え、イールドマネジメントを強化しており、旅客単価の増加により、利用者減による収入の落ち込みを抑えていることがうかがえます。
宗谷線は影響小さく
道北では、宗谷線も前年を下回りました。旭川~名寄間は1,095人から1,047人へ4.4%減、名寄~稚内間は258人から252人へ2.3%減です。
ただし、2024年度第1四半期は旭川~名寄間が1,069人、名寄~稚内間が254人でした。名寄~稚内間については、2026年度も2年前とほぼ同じ水準です。
宗谷線の輸送密度については、岩見沢~旭川間ほど大きな落ち込みは表れていません。宗谷線内に関しては、特急の全車指定席化の影響は小さかったと言えそうです。
道東では地震や津波警報の影響
道東方面では、石勝・根室線の南千歳~帯広間が2.8%減、帯広~釧路間が1.9%減、釧路~根室間が5.9%減となりました。
特急の南千歳~トマム間の利用実績は、4~6月累計で前年比5%減でした。こちらも、特急列車の利用減が、輸送密度減少の大きな原因とみられます。
JR北海道は2026年第1四半期の道東方面について、津波警報の発令や十勝地方南部を震源とする地震の影響を挙げています。また、「特急トクだ値」縮小の影響もあったとしています。
増加は12区間
一方、輸送密度が増えた区間は12区間ありました。増加率の大きい順に並べると、以下の通りです。
・釧網線 東釧路~網走 272人→315人(15.8%増)
・石北線 上川~網走 493人→537人(8.9%増)
・根室線 滝川~富良野 364人→391人(7.4%増)
・北海道新幹線 新青森~新函館北斗 4,525人→4,808人(6.3%増)
・石北線 新旭川~上川 679人→720人(6.0%増)
・函館線 函館~長万部 2,907人→3,054人(5.1%増)
・室蘭線 長万部~東室蘭 3,777人→3,925人(3.9%増)
・富良野線 富良野~旭川 1,086人→1,126人(3.7%増)
・千歳・室蘭線 白石~苫小牧 46,275人→47,476人(2.6%増)
・室蘭線 室蘭~苫小牧 5,452人→5,556人(1.9%増)
・札沼線 桑園~北海道医療大学 16,439人→16,674人(1.4%増)
・函館線 小樽~札幌 39,995人→40,401人(1.0%増)
釧網線で大幅増
目立つのは釧網線です。東釧路~網走間は輸送密度が315人となり、前年同期の272人から15.8%増えました。今回公表された線区のなかで最大の伸び率です。
24年度同期は298人だったため、25年度に減少したものの、26年度に回復し、2年前の水準を5.7%上回りました。営業収益(収入)も2024年度6,500万円、2025年度7,200万円、2026年度7,900万円と、右肩上がりに増えています。
営業収益の増加率は2年間で約22%に達し、輸送密度の伸びを上回ります。25年4月の運賃改定の影響も含まれるため、収益の増加のすべてが利用者増によるものとはいえませんが、長い距離を利用したり、別途料金を支払う旅客が増えていることを示唆しています。
釧網線では、2026年が現行の「くしろ湿原ノロッコ号」の最終運行年となっています。ラストイヤー需要など、観光客の利用増が輸送密度を押し上げた可能性もありそうです。

石北線は利用者増も収入減
石北線も堅調で、新旭川~上川間の輸送密度が720人となり、前年同期比6.0%増でした。上川~網走間は537人で8.9%増でした。
石北線は2025年3月のダイヤ改正で、旭川~網走間の特急「大雪」を、特別快速「大雪」に変更しました。その影響もあり25年度の利用者は落ち込みましたが、26年度に回復した形です。
24年度同期は、新旭川~上川間702人、上川~網走間525人でしたので、26年度は、いずれの区間も24年度の水準を上回っています。
ただ、営業収益は、新旭川~上川間が24年度の5,000万円から25年度4,900万円、26年度4,900万円と伸び悩んでいます。上川~網走間も、1億5,300万円から1億4,600万円、1億4,400万円とじりじり減少しています。輸送密度は2024年度を上回ったものの、収入は同年度の水準に戻っていません。
JR北海道は2025年度第1四半期の資料で、石北線について、特急列車の快速化により「特急料金部分での減収」があったと説明しています。25年4月の運賃改定後も、26年度の営業収益は24年度を下回っており、快速化による特急料金収入減の影響が続いているとみられます。(鎌倉淳)























