JRバスの「ドリーム号」に新型車両が投入されます。「グランドリーム」という名称で、西日本ジェイアールバスとジェイアールバス関東が共同運行する東京~京阪神間の夜行高速バスで10月31日から運行開始となります。
「グランドリーム」は、トイレ付き3列独立シート(28席)で、新開発のクレイドルシート(ゆりかごタイプ)、空気清浄器、Wi-Fi設備、充電用コンセント、プライベートカーテンが装備されています。車種名は発表されていませんが、公表されたイラストから日野セレガハイデッカー車とみられます。
現在、東京~京阪神路線のJRの夜行バスには、「プレミアムドリーム」「ドリーム」「青春エコドリーム」の3種類が設定されています。おおざっぱにいうと、「プレミアムドリーム」は2列と3列シート、「ドリーム」が3列シート、「青春ドリーム」が4列シートです。「グランドリーム」は、このうちの無印の「ドリーム」(レディスドリーム含む)を置き換えます。以下に、グランドリーム運行車両の時刻表を掲載します。
グランドリーム時刻表
(主要停留所のみ掲載)
19号 東京駅22:30→新宿駅23:10→京都駅06:39→大阪駅07:51→USJ 08:31
33号 新木場駅22:30→東京駅23:10→新宿駅23:50→大阪駅07:50→天王寺08:37
25号 東京駅22:50→京都駅06:27→三宮08:23
339号 東京駅23:30→大阪駅07:38→USJ 08:18(週末運行)
12号 USJ 21:10→大阪駅22:00→京都駅23:10→新宿駅06:44→東京駅07:14
30号 天王寺22:00→大阪駅23:00→新宿駅07:11→東京駅07:41
10号 三宮21:00→京都駅23:00→新宿駅06:34→東京駅07:04
338号 大阪駅23:30→東京駅07:37→新木場駅08:12(週末運行)
※時刻は変更されることがあります。ご利用時はご自身でお確かめください。
エアロキングの後継問題に決着か
今回の新型車両は「エアロキング」の代替とみられます。エアロキングは三菱ふそうが製造していた国産唯一のダブルデッカー車(2階建てバス)です。このエアロキングは、2階建ての輸送力が評価され、JRバス各社が大量投入してきました。しかし、2010年の新排ガス規制をクリアできずに生産が打ち切られ、代替車種の販売もされていません。
そのため、JRバス各社は、エアロキングの後継車両をどうするか、という問題に直面しています。ダブルデッカー車での運行を継続するには海外製車両を投入するしかありませんが、メンテナンスなどで問題が生じる可能性があります。そのため、ダブルデッカー車の使用を諦め、ハイデッカー車(1階建て)を投入するという結論になった可能性があります。それが、今回の「グランドリーム」新型車両なのかもしれません。
「プレミアムドリーム」は存続できるか?
となると、今後、「プレミアムドリーム」や「青春エコドリーム」も、現行のダブルデッカー車からハイデッカー車に移行する可能性が高くなったといえます。
しかし、「プレミアムドリーム」の看板シートであるプレミアムシートは、ダブルデッカー車だからこそ実現できたという側面があります。「プレミアムドリーム」がハイデッカー車に置き換えられたとき、プレミアムシートは生き残ることができるのでしょうか。
もちろん、ハイデッカー車にプレミアムシートを搭載することは可能ですので、今後も「プレミアムドリーム」の運行が継続される可能性は残されています。しかし、採算性の問題で廃止になるかもしれません。「プレミアムドリーム」の存続には不透明感が漂います。
一方、4列シートの「青春ドリーム」ですが、ダブルデッカー車が廃止された後は、ハイデッカー車で運行すれば問題はないとみられます。そのため、「青春ドリーム」は今後も残るでしょう。
東京~京阪神間の無印の「ドリーム」は、今後「グランドリーム」に置き換えられていくとみられますので、この区間では「無印ドリーム」は消滅するかもしれません。