新幹線の「学割」はどのくらい安いのか。「格安チケット」と比べてみた!

乗車券2割引は意外と強力

学生の特権が学生割引(学割)。JR全線の乗車券(運賃)が2割引になるというお得な制度です。

ただ、割引になるのは乗車券だけで特急券は無割引。では、新幹線に乗る場合、JRの他の割引きっぷや格安チケットと比べてどの程度お得なのでしょうか。調べてみました。

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学割のしくみ

まずは、学割のしくみをおさらいしましょう。学割は、JRから指定を受けた学校の生徒を対象に、JR運賃が2割引になるという制度です。中学生、高校生、大学生のほか、専門学校生の多くも学割の対象になります。学割が利用できるのは、片道101km以上JR線を利用する場合です。

学割を利用するには、所属する学校が発行する「学生・生徒旅客運賃割引証」(学割証)が必要です。学割証は、所属する学校で申請すれば、簡単な手続きで発給されます。それを駅の窓口に持って行けば、学割でJRのきっぷを購入することができます。

学生証だけ持って駅の窓口に行っても、学割の適用は受けられません。

新幹線N700米原駅

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東京~新大阪間で比べてみると

では、学割はどの程度安いのでしょうか。まずは、定番の東京~新大阪間で比較してみましょう。節約したいなら自由席で十分ですので、自由席が使える場合は自由席を基準とします。また、各種割引きっぷには購入日の制限などが設定されている場合がありますが、詳細は省略します。

東京~新大阪を新幹線で利用した場合の定価は、普通車自由席で13,870円です。内訳は乗車券(運賃)が8,910円+自由席特急券(特急料金)が4,960円です。

学割では乗車券が2割引なので7,120円となり、特急券(無割引)とあわせて12,080円となります。この価格で「のぞみ号」や「ひかり号」「こだま号」の自由席に乗車できます。(のぞみはお盆期間中、全車指定席)。

これより安い割引きっぷを探してみましょう。東海道新幹線の格安チケットの王道といえば、「ぷらっとこだま」です。この場合、普通車指定席が11,210円。おお、あっさり学割より安いです。

ただし、名前の通り、「ぷらっとこだま」では「こだま号」しか乗れません。「こだま号」の場合、東京~新大阪は約4時間。それでもいい、という人は、学割より「ぷらっとこだま」がおすすめです。

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「のぞみ号」に乗れる格安チケットは?

「のぞみ号」にも乗れる格安チケットとしては、公式インターネット予約サイト「スマートEX」で販売されている「EX早特」もあります。

EX早特にはいくつか種類がありますが、最安値が「EXこだまグリーン早特3」で11,410円。これなら学割より安いです。

一方、「のぞみ号」に乗れるチケットなら「EX早特28ワイド」が12,240円でありますが、学割より高くなります。

ということで、東京~新大阪間では、「のぞみ号」に乗れる格安チケットで学割より安いものは見当たりません。「こだま号」でもいいのなら、学割より安いチケットがいくつかあります。

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東京~広島間では強力な割引きっぷが

次に、新幹線と飛行機の競合が激しい東京~広島間で見てみましょう。

東京~広島間の普通車自由席の定価は18,380円です。内訳は乗車券11,880円+自由席特急券6,500円です。学割は16,000円で、内訳は乗車券9,500円+特急券6,500円です。

東京~広島間は片道601km以上ありますので、往復割引(運賃1割引)があり、学割と併用できます。学割で往復割引乗車券を買うと、特急券とあわせ片道あたり15,050円となります。

これに対し、「スマートEX」で販売している格安チケットとしては、「EX早特21ワイド」が15,000円で最安値です。往復学割よりわずかに安いですが、21日前の予約という制限があります。7日前まで買える「EX早特7」は平日16,190円、土休日15,790円で、いずれも往復学割より高いです。ただし、土休日は片道学割より安いです。

ということで、東京~広島間で、往復学割より安い格安チケットは、「EX早特21ワイド」だけのようです。

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JR東日本では「トクだ値」が安い

目を転じて、東京~仙台ではどうでしょうか。JR東日本は「トクだ値」という割引率の高いチケットを公式予約サイトの「えきねっと」で販売しています。学割と比較した場合に、どちらが安いのでしょうか。

東京~仙台間では、自由席は「やまびこ号」にしか連結されていませんので、「やまびこ号」で比較してみましょう。JRの定価は普通車自由席で10,560円です。内訳は乗車券6,050円+自由席特急券4,510円です。学割は9,350円で、内訳は乗車券4,840円+特急券4,510円です。

えきねっと販売している「トクだ値14(やまびこ)」は7,610円、「トクだ値1(やまびこ)」は9,790円です。トクだ値14は学割より安いですが、トクだ値1は学割より高いです。

JR東日本の新幹線では、他の区間でも「トクだ値14」が利用できれば、学割より安いでしょう。ただ、「トクだ値14」は販売枚数が少なく、チケットを確保するのが難しいことでも知られています。

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「はやぶさ」では?

「やまびこ号」ではなく、「はやぶさ号」を利用したい場合はどうでしょうか。東京~仙台間の「はやぶさ号」の定価(通常期)は普通車指定席で11,410円(乗車券6,050円+指定席特急券5,360円)です。

「はやぶさ」には自由席がありませんので、学割も指定席利用として10,200円(乗車券4,840円+指定席特急券5,360円)です。この区間には、「はやぶさ」の「トクだ値」は設定されていませんので、学割が最安値ということになります。

土休日で東京~仙台間を往復する場合に限れば、「週末パス」が8,880円で売っていて、片道あたり4,440円の乗車券として使えます。この場合は、学割乗車券4,840円より安いので、「はやぶさ」でも週末パス利用が安いです。

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東京~新函館北斗では

「はやぶさ」しか走っていない東京~新函館北斗間ではどうでしょうか。「はやぶさ」の指定席の定価は23,430円(乗車券12,100円+指定席特急券11,330円)で、学割は21,010円(乗車券9,680円+指定席特急券11,330円)です。

この区間では往復割引が適用されるので、往復で購入した場合、学割は20,020円(乗車券8,710円+指定席特急券11,310円)です。

これに対し、「トクだ値14」は17,410円、「トクだ値1」は22,050円です。「トクだ値14」は学割・往復学割より安いですが、「トクだ値1」は高い、という結果です。

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新幹線で10%以上の割引きっぷは少ない

ということで、いろいろ見てみましたが、学割より安い新幹線の割引きっぷはあまりありません。学割は乗車券のみ2割引で、特急券を含めた総額では12~13%の割引となりますが、10%以上の割引をしている新幹線チケットは少ないからです。

学割は往復割引と併用すれば、総額で18~19%程度の割引となり、さらにお得度が増します(片道601km以上限定)。学割には、変更や取消、途中下車で正規のきっぷと同じ扱いなど、他の割引きっぷにはないメリットもあり、表面的な価格以上の価値もあります。

ということで、学割を使える学生の皆さんが、うらやましい限りです。(鎌倉淳)

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