JR東日本が、燃料電池と蓄電池を備えた新たなハイブリッド車両を試作します。水素を活用した新たな車両の実現を目指します。
140km走行可能
JR東日本は、水素を燃料とする燃料電池と蓄電池を備えた、新たなハイブリッド車両「FV-E991系」を試作すると発表しました。
JR東日本では、これまでも水素をエネルギー源とする燃料電池車両の開発を進めてきました。2008年にはE995形(NEトレイン)を製作。最高充填圧力35MPa(メガパスカル)の水素を使用し、一充填で50~70kmを走行できる仕様でした。
今回、試作するFV-E991系は、トヨタ自動車の協力を仰ぎ、燃料電池に使用する水素に、鉄道車両としては世界で初めて70Mpaという高圧水素を使用。一充填の走行距離を140kmにまで伸ばしました。
2020年代半ばの実用化めざす
水素は、二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーとして注目されています。FV-E991系では、屋根の上に水素タンクを設置し、車両下にある燃料電池で空気中の酸素と反応させて電気をつくり走行します。
燃料電池車両は、二酸化炭素を排出しないという環境面の長所のほか、電化設備も必要ないため、実用化できれば非電化区間も含め走らせることができます。
燃料電池は一定の負荷を連続して取り出すことが得意な一方で、鉄道車両は加速時に短時間で大量の電力を必要とします。そのため、燃料電池と蓄電池のハイブリッドでの実用化を目指しています。
加速時は燃料電池+蓄電池の電力を使用し、惰行と停車時は燃料電池の電力で蓄電池を充電。制動時は回生電力で蓄電池を充電します。これにより、制動時以外は、一定の負荷を連続して取り出せる燃料電池のメリットが活かせるわけです。
実証実験は2021年度開始予定で、試験運転は、南武線尻手支線、南武線(尻手~武蔵中原) で行います。JR東日本では、2020年代の半ばの実用化を目指しているということです。