2019-2020年シーズンの「フルムーン夫婦グリーンパス」が9月1日に発売開始されました。夫婦合わせて88歳以上が対象なので、同い歳の夫婦なら44歳から利用可です。気がつけば年齢条件を満たしていた、という方。そろそろ「フルムーン」してはいかがでしょうか?
夫婦あわせて88歳以上
JRの「フルムーン夫婦グリーンパス」は、JR全線のグリーン車が乗り放題というフリーきっぷです。購入できるのは、年齢があわせて88歳以上の夫婦。2人1組で利用することが条件です。
東海道・山陽・九州新幹線「のぞみ」「みずほ」は利用できない(自由席も利用不可)といった制約はありますが、それ以外のJR全線が、新幹線や特急も含めて、グリーン車で期間中乗り降り自由です。もちろん普通車にも乗れますし、BRT、JR西日本宮島フェリーも利用可能です。
かつては開放型B寝台も利用できましたが、現在は、開放型B寝台を連結する列車が消滅してしまったので、寝台列車は利用できません。「サンライズ出雲・瀬戸」は個室寝台のみですので、「フルムーン」の乗り放題の対象外で、利用には別途、特急券と寝台券が必要になります。
38年間変更なし
「フルムーン夫婦グリーンパス」が登場したのは、国鉄時代の1981年です。このときに「夫婦あわせて88歳」という設定が決まりました。以来、38年間にわたり、対象年齢の変更はありません。
1980年の平均寿命は男73.35歳、女78.76歳でした。2018年は男81.25歳、女87.32歳ですから、フルムーンが登場した当時は、現在より8~9歳も平均寿命が短かったわけです。
1981年に44歳を迎えた人は、1957年に成人しています。当時の平均初婚年齢は夫27歳、妻24歳くらいでした。夫婦平均25歳で結婚し、26歳で出産したとして、夫婦あわせて88歳のとき、第一子は18歳に。夫婦としても「やれやれ」が見えてくる年齢だったわけです。
そういう時代背景で「夫婦で88歳」がシニアの入口と捉えられ、フルムーンの出発年齢となったのでしょう。当時は55歳定年が残っていましたので、40代後半は「第二の人生」を意識しはじめる年代でもありました。
「夫婦」の定義は?
今となっては、「夫婦で88歳」は、現役世代ど真ん中です。「70歳定年」が議論される時代となり、「第二の人生」なんてまだ先でしょう。にもかかわらず、「フルムーン」は国鉄時代の制度を変更せず、現在に至っています。利用者としては、この前時代的なきっぷを、ありがたく活用させていただきましょう。
ハードルが高い点があるとすれば、2人利用限定、しかも相手は配偶者のみ、という基本設定でしょう。とはいえ、JRは「夫婦」の定義を明確にしておらず、購入時に夫婦の証明も求めていません。「夫婦の形はさまざま」と、柔軟に対応しているようです。
2019-2020年フルムーンパスの概要
2019-2020年シーズンのフルムーン夫婦グリーンパスの概要は以下の通りです。
◆発売期間
2019年9月1日~2020年5月31日
◆利用期間
2019年10月1日~2020年6月30日
※ただし、2019年12月28日~2020年1月6日、3月21日~4月5日、4月27日~5月6日の期間は、有効期間内であっても利用不可。
◆利用資格
「フルムーン夫婦グリーンパス」を利用できるのは、夫婦2人が同一の旅程でかつ年齢の合算が88歳を超える場合。なお、夫婦どちらかの年齢が70歳を超える場合は「シルバー用」が割引価格で購入できます。
◆価格(2019年9月30日発売分まで)
2019年9月30日発売分までの価格は以下の通りです。( )内はシルバー用の価格です。
5日間用 82,800円(77,800円)
7日間用 102,800円(97,750円)
12日間用 127,950円(122,950円)
◆価格(2019年10月1日以降発売分)
2019年10月1日の消費税増税後の価格は以下の通りです。( )内はシルバー用の価格です。
5日間用 84,330円(79,330円)
7日間用 104,650円(99,650円)
12日間用 130,320円(125,320円)
発売箇所は、全国のJRの主な駅と主な旅行会社の支店・営業所です。
「フルムーン夫婦グリーンパス」の購入時に証明書などの提示は不要です。ただし、列車乗車時は、年齢を証明できる公的証明書(健康保険証等)を所持する必要があります。また、「シルバー用」については、購入時にも、前記の書類の提示が必要です。
40代なら、あなたも「フルムーン」できるかも。「夫婦グリーン車乗り放題」の旅を、ぜひどうぞ。(鎌倉淳)