阿佐海岸鉄道DMVの運行計画全詳細。車両、ルート、時刻表、運賃など掲載!

公道乗りものアトラクション

阿佐海岸鉄道が、計画中のDMVの運行ルートや時刻表、運賃案を発表しました。室戸岬までは、休日に1日1往復運転します。運行計画の全詳細を見てみましょう。

広告

地域活性化で導入

阿佐海岸鉄道は阿佐東線海部~甲浦間8.5kmを運行する第三セクター鉄道です。同線の利用者は年間5万人程度で、1日あたりでは約140人に過ぎません。沿線は過疎化が進んでいて、地元利用主体では路線の維持が困難という課題がありました。

そこで、DMV(デュアル・モード・ビーグル)という線路と道路の両方を走れる乗りものを導入し、世界で初めて営業運行することで、地域活性化の手段として活用しようというのが、阿佐東線のDMV導入計画です。

DMV
画像:阿佐東線DMV導入協議会資料

JR阿佐海南~海部間を編入

具体的には、3両のDMVを導入し、阿佐東線から道路に乗り入れて「バスモード」で地域輸送をするほか、一部便は室戸岬方面まで直通運転をします。

阿佐東線DMV導入ルート
画像:阿佐東線DMV導入協議会資料

DMV車両は片運転台で折り返しスペースが必要なため、JR牟岐線の阿佐海南~海部間を編入し、駅前にスペースのある阿佐海南駅まで路線を延長して折り返せるようにします。

阿佐海南駅はバス停とJR牟岐線のホームを隣接させて接続。モード・インター・チェンジを抜けて阿佐東線に入ります。

阿佐海南駅工事
画像:阿佐東線DMV導入協議会資料

甲浦駅には、高架上にモード・インター・チェンジを設置し、DMV用の坂路を設け、高架から地上の道路に接続します。

甲浦駅計画図
画像:阿佐東線DMV導入協議会資料

海部駅、宍喰駅も、それぞれホームを移設するなどして、DMVの低い乗降位置に合わせます。

現在、これらの大規模な改築工事を行っているところです。

広告

DMVの運行ルート

阿佐海岸鉄道のDMVは2020年度中の営業運転開始を目指しています。運行ルート、時刻表と運賃案も発表されました。

まず、運行ルートですが、阿波海南文化村…阿波海南駅~甲浦駅…海の駅東洋町…リビエラ宍喰(道の駅宍喰温泉)が基本です。(~が阿佐東線鉄道区間、…がバス区間)。土休日に一部便が室戸(海の駅とろむ)まで足を伸ばします。

DMVルート
画像:阿佐東線DMV導入協議会資料

DMV時刻表

公表された時刻表では、基本区間を平日10往復します。土休日は13.5往復で、室戸便は1往復です。

時刻表は以下の通りです。JR牟岐線と室戸方面へのバス接続時刻も示しています。

■阿佐東線DMV時刻表

[平日ダイヤ]

DNV平日ダイヤ
画像:阿佐東線DMV導入協議会資料

[休日ダイヤ]

阿佐東線DMV時刻表
画像:阿佐東線DMV導入協議会資料

※時刻表は現在のJR時刻にあわせたもの。JRでダイヤ改正があれば変更の可能性あり。

観光客向けダイヤに

ダイヤの特徴として、平日の日中に運転本数が手厚いことが挙げられます。一般に、ローカル線は朝夕の通学輸送に重点を置いたダイヤを組むことが多く、日中時間帯の運転本数は少ないですが、阿佐東線DMVは平日日中時間帯でもおおむね1時間10分間隔で運転しています。

もともと、これまでの鉄道路線の阿佐東線は、9時~15時の利用者が多いという特徴がありました。DMVでは、そうした実績を基に、観光客を重視し日中の運行を充実させるダイヤとなっています。休日はさらに日中に増便し、夏季などの繁忙期には、9時~17時頃に臨時便の運行も想定しています。

ただし、これまでの阿佐東線(海部~甲浦間)は1日16往復でしたので、それに比べると減便となります。運転士は平日2名、休日3名の体制です。

広告

DMV運賃

運賃は鉄道区間の阿波海南~甲浦間が大人500円。文化村~室戸間は2,400円となりました。

運賃はわかりやすくするため100円単位で、初乗り運賃は、鉄道(5km以内)、バス(2km以内)を200円としています。km単価は、鉄道45円、バス40円で、端数は100円単位に切り上げています。

■阿佐東線DMV運賃

阿佐東線DMV運賃
画像:阿佐東線DMV導入協議会資料

運賃は高め

全体として、日常利用する人に「お得さ」を訴えかけるものではなく、観光客向けに高めの運賃を設定しています。現在の鉄道・バス運賃と比べると1~2割の値上げです。ただ、地元住民が使いやすいように、回数券などの設定も検討しています。

また、未確定ですが、「All SHIKOKU Rail Pass」など、他社との共通フリーきっぷについても取り組むとしています。

関連記事

需要予測

徳島県の需要予測では、開業後5年間の平均利用者数として7万5000人を見込んでいます。2019年度の阿佐東線の利用者数が約5万3000人ですから、約4割増えると見ています。

阿佐東線は、近年は定期利用者がきわめて少なく、年間1,440人程度にすぎません。DMV導入後も定期客の増加は見込んでおらず、既存の定期外客に加え、DMV目的の利用者を年8,500人見込むなど、新規需要の掘り起こしを狙います。

阿佐東線DMV需要予測
画像:阿佐東線DMV導入協議会資料

「DMV目的」をはじめとする「新規需要」により鉄道で約1100万円、バスで約560万円の増収を見込み、8年間の平均収支はこれまでと比べて年間約1400万円改善するとしました。ただ、依然として年間約5400万円の赤字を見込んでいます。つまり、営業黒字を見込んでDMV事業を開始するわけではありません。

阿佐東線DMV収支予測
画像:阿佐東線DMV導入協議会資料

一方で、「世界初」のDMV導入により、阿佐東地域へ年間2億1400万円の経済波及効果を見込んでいます。

これまでにも新聞や鉄道系雑誌に阿佐東線DMVが掲載されたことから、全国の鉄道ファンが「甲浦駅の工事状況」の見学や、引退する現行車両の乗車に訪れるなどの実績があり、徳島県では、既にDMV導入効果が現れているとしています。

広告

公道を使った乗りものアトラクション

徳島県では、今後、観光ツアーの企画・売り込みや、性能試験の見学会などのイベントを実施し、運行開始に向けた機運を醸成します。

阿波海南駅、甲浦駅において、DMVならではの「モードチェンジ」の見学、撮影ができるスポットの整備も予定しています。宍喰駅ホームから見える田畑に、花などを用いて景観を演出するなどして観光資源としての魅力を高める一方で、シェアサイクルの導入も検討するなど観光客の利便性の向上も図ります。

徳島県としては、DMVの営業運行を「世界初」「世界唯一」とPRし、観光資源として最大限活用していく意気込みです。地域の交通手段というよりは、公道を使った公営乗りものアトラクションとして、阿佐東線とDMVを位置づけているわけです。

総事業費は約14億円。これまでにない地域振興事業といえますが、どの程度の結果を出せるのか注目です。開業は2021年春です。(鎌倉淳)

広告