筑豊電鉄が新型低床車両を導入へ。JR直方駅までの延伸可能性も調査。

福岡県の筑豊電気鉄道の活性化が検討されることになりました。沿線3市が支援して新型車両の導入が決定。また、地元直方市が予算を計上し、JR直方駅までの延伸可能性も調査します。

筑豊電気鉄道は、黒崎駅前~筑豊直方までの16.0kmを結ぶ鉄道です。1959年に開通し、最盛期の1974年には年間2100万人の利用者がありましたが、近年は500万人に程度にまで落ち込んでいます。また、一部の車両の老朽化が著しく、車両の置き換えの必要性が高まっていました。

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初の独自車両

新しい車両は、2015年3月に登場予定です。1編成3両の連節低床式で、全長17.6m、1編成あたりの定員は87名です。ICカード乗車券のnimoca(ニモカ)に対応します。2018年3月までに計4編成が導入され、筑豊電鉄の最初期の車両と入れ替えられるとのこと。筑豊電鉄が独自に新型車両を導入するのは創業以来初めてです。

筑豊電鉄新型車両

この車両は、北九州、中間、直方の3市が合同で、筑豊電鉄の設備投資を支援する事業によって作られます。この事業には今年度から4年間で総額17億4000万円が投じられ、2014年7月9日に、3市が支援協定に調印しました。

これとは別に、延伸計画も検討されています。筑豊電鉄は、創業時の計画では、直方を経て福岡市までの延伸計画があり、そのため筑豊直方駅は直方市中心部から約1km離れた場所に建設されました。しかし、結局、福岡延伸は断念となり、終着駅が中途半端な位置に高架駅として残されたままです。筑豊直方からJR直方駅までは徒歩15分ほどかかり、JRとの接続は延伸断念後の課題になっていました。

筑豊直方駅

地元直方市はJR駅周辺の市街地整備事業をすすめてきましたが、昨年度にこれを終了。引き続き、今年度からは、筑豊直方駅からJR直方駅までの延伸ルートや需要などを検討する予算1000万円を計上しました。直方市と福岡県、筑豊電鉄による3者の会合を6月から開いているそうです。今後も検討を重ねながら、延伸の可否を判断するそうです。

とはいえ、いまさら高架を延伸して、専用軌道で新たな鉄道を市内に建設するのは現実的ではないような気もします。可能性があるとすれば、道路整備にあわせて路面に軌道を敷く方式でしょう。筑豊直方駅からJR直方駅までの道路を4車線化し、そこに筑豊電鉄を走らせる、という考え方で、そのほうが道路予算を使えるので実現可能性がありそうです。もともと筑豊電鉄は路面電車仕様ですし、軌道でJR直方駅前まで乗り入れられれば、便利で機動性の高いLRT路線になるかもしれません。

 全国縦断 路面電車 九州編

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