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寝台特急カシオペア、「先頭車以外は廃車」の衝撃。鉄道博物館に搬入されず

カシオペアスイート車両のみ保存

寝台特急「カシオペア」の車両が、先頭車以外は保存されないようです。カシオペアスイートを備える先頭車のみ、大宮駅近くに屋外展示されることが発表されましたが、残る車両は廃車回送されました。

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カシオペアスイートは保存展示

寝台特急「カシオペア」は、上野と札幌を結ぶ豪華寝台特急として人気を集め、2025年6月に完全引退しました。

その車両E26系について、JR東日本は、1号車スロネフE26のみ、大宮駅近くに開業する複合施設に保存すること明らかにしました。スロネフE26は、展望室タイプのカシオペアスイートを有する車両です。

スロネフE26カシオペア

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大宮駅近くの施設に

保存される場所は、「桜木PPJ(仮称)」と呼ばれる新たな複合施設で、JR大宮駅から徒歩10分の距離にあります。

屋外広場に展示スペースを設け、カシオペアの歩みを学べる解説板や見学デッキを整備します。ただし、イメージ図を見ると、展示スペースに屋根はありません。

寝台特急「カシオペア」保存
画像:JR東日本ニュースリリース

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残る11両は廃車か

E26系は12両編成で、スロネフ以外の11両の車両の扱いについては、JR東日本から公式発表はありません。ただ、11両は、9月3日に長野総合車両センターに回送されたことが確認されています。その処遇は明らかではありませんが、おそらくは廃車になるとみられます。

E26系は、個室寝台を2層構造で配置した巧みな設計で知られ、華やかな食堂車や展望車も備えます。1990年代の日本の繁栄と、発足直後のJRの意気込みが感じられる傑作です。

いわば、日本の寝台列車の完成形ともいえる車両で、日本の鉄道において、歴史的な価値を有します。そのため、引退後も、展望車、中間車、食堂車くらいは保存されるのだろうと思っていた方も多いでしょう。

カシオペア

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トワイライトエクスプレスは4両保存

JR西日本では、同時期に走っていた豪華寝台特急の「トワイライトエクスプレス」について、京都鉄道博物館で、A個室車、食堂車、サロンカー、電源車の4両を保存しています。

それに対し、「カシオペア」のE26系車両は、先頭車すら、大宮の鉄道博物館に搬入されないわけです。そのうえ、それ以外の車両が廃車になってしまうのであれば、ちょっと衝撃的です。

おそらくは展示スペースの問題などがあるのでしょうが、日本の寝台特急の栄光を体現する車両だっただけに残念です。(鎌倉淳)

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