寝台特急「カシオペア」がツアー列車で復活し、北海道まで運行。できれば稚内や釧路へも行ってほしいけど

JR東日本は、上野~札幌間の定期運行を終了した寝台特急「カシオペア」の客車を使った臨時列車を走らせると発表しました。旅行会社のツアー専用の団体臨時列車とし、東北地方や北海道を周遊する旅行商品を企画・販売します。

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「カシオペアクルーズ」「カシオペア紀行」の2列車

いまさら説明を要しないかもしれませんが、「カシオペア」は1999年に運行を始めたJR東日本の豪華寝台特急です。上野~札幌間を週3回程度、運行してきましたが、北海道新幹線の開業に伴い、2016年3月20日限りで廃止となりました。青函トンネル内の電圧が変更され、在来線用の機関車が走れなくなったことが廃止の大きな理由とされています。

「カシオペア」のツアー列車としての運行再開は、廃止前の2月に各メディアから報じられていましたが、2016年4月6日に、JR東日本から正式発表がありました。運行されるのは、上野発着で道内と東北地方の太平洋側と日本海側を回る「カシオペアクルーズ」と、上野~札幌間を夜行で走る「カシオペア紀行」の2列車です。

カシオペア

土休日を中心に設定

ツアー日程は7月まで決まっており、いずれも土曜・休日を中心に運行されます。「カシオペアクルーズ」は、途中の観光地を周遊しながら走る、いわゆる「クルーズ列車」。3泊4日で20万~40万円程度の価格を想定しているとのことです。6、7月は第1土曜日から4日間の設定です。

一方、「カシオペア紀行」は、上野~札幌間の夜行寝台列車に食事サービスを組み合わせるもので、これまでの「カシオペア」に近い形になるようです。6、7月は第2週以降の毎週土曜に上野を出て札幌に翌日着き、その日に上野へ折り返します。片道乗車が可能で、札幌からも乗車できます。価格などの詳細は未発表です。

カシオペアツアー

これらの旅行商品は、まずびゅうトラベルサービスが催行し、4月下旬から予約を受け付けます。JR駅の窓口ではきっぷ販売はありません。8月以降の日程は追って発表されますが、秋を中心に農産物輸送が多い時期は青函区間がネックになり、北海道に渡るのは難しいようです。

両列車とも、客室や食堂の車両は「カシオペア」で使っていたE26系をそのまま使います。本州内走行の際の機関車は2010年まで「カシオペア」で使っていた懐かしのEF81形が再登板。青函区間では、新幹線との共用区間の電圧で走れるJR貨物のEH800形機関車を使います。

「四季島」導入を見据えたテスト

JR東日本は、2017年よりクルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島(トランスイート しきしま) 」を導入する予定です。今回の「カシオペア」ツアー列車の運行は、「四季島」導入を見据えたテストの意味合いもあるとみられます。したがって、「四季島」の運転開始後も「カシオペア」ツアーが生き残るのかは不透明で、短期間の運行に終わる可能性もありそうです。

今回の発表では、この両列車とも、北海道内は札幌までの運行です。でも、せっかく団臨にして運行するのなら、道東や道北にも足を伸ばしてほしいところ。とくに、「カシオペアクルーズ」は4日も日程があるのなら、稚内や釧路あたりまで行けるのではないか、と妄想してしまいます。

JR北海道内を広く走らせると、JR東日本の収益が減るとか、JR北海道の人繰りの問題とか、いろいろとハードルはありそうです。それでも、北海道の広大な鉄道ネットワークと雄大な景色は旅行者には魅力。これらを活かして、定期列車時代にはできなかったバリエーション豊富な旅、ツアー列車だからこそ行ける旅を提供してほしいところです。(鎌倉淳)

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