ANAが成田~プノンペン線開設を発表しました。2016年9月よりボーイング 787-8型機で毎日運航します。日本・カンボジア間の直行便は初めてですが、東南アジア最大の遺跡であるアンコール遺跡観光が便利になるのでしょうか?
航空協定発効により路線開設
ANA(全日本空輸)が1月20日に発表した2016年度の運航計画によりますと、国際線の新規路線として成田~武漢(中国)線を4月28日に開設。さらに、9月1日からは初のカンボジア直行便として成田~プノンペン(カンボジア)線を開設します。また、国内線では羽田~宮古線、岩国~那覇線を開設します。
旅行者的な注目はなんといってもプノンペン線。日本とカンボジアの間では、2015年1月14日に航空協定が結ばれ、両国間で直行便が開設されることで合意されていました。これを受け、かねてから意欲を見せていたANAが路線開設に踏み切ったものです。
シェムリアップではなくプノンペン
カンボジアへの就航候補地としては、首都プノンペンのほか、アンコール遺跡群に近いシェムリアップがあります。シェムリアップには、JALによるチャーター便の運航実績がありますが、定期便はANAが先んじる形で、プノンペンへの就航となりました。
アンコールワットを中心とするアンコール遺跡群は、いうまでもなく世界トップクラスの巨大遺跡で、東南アジア観光のハイライトです。一方、プノンペンは、正直、観光的には、あまり見るべきところはありません。したがって、旅行者の立場としては、シェムリアップ直行便のほうが便利ですが、航空会社としてはビジネス需要を重視した、ということなのでしょうか。
ANA成田~プノンペン線時刻表
ANAの成田~プノンペン線の時刻表は以下の通りです。
NH817便:成田10:50→プノンペン15:10
NH818便:プノンペン22:50→成田翌06:45
仮にシェムリアップまで/から乗り継ぐ場合、現在のカンボジア国内線(カンボジア・アンコール航空)の時刻を当てはめると、以下のようになります。
成田10:50→15:10プノンペン17:50→18:35シェムリアップ(計9時間45分)
シェムリアップ19:10→19:55プノンペン22:50→翌06:45成田(計8時間35分)
アンコール遺跡への所要時間は短縮されない
現在、シェムリアップには多数の航空会社が乗り入れており、日本からはバンコクやハノイでの乗り換えで9時間ほどで着くことができます。
たとえば、ベトナム航空で以下のようなルートがあります。
成田10:00→13:55ハノイ15:30→17:10シェムリアップ(計9時間10分)
シェムリアップ21:40→22:40ホーチミン0:40→07:45成田(計8時間5分)
シェムリアップまでのアクセスという視点でみると、ANAのプノンペン線開設で所要時間は短縮しません。つまり、アンコールワット観光を目的とする場合、日本からの利便性が向上するわけではありません。その点は残念です。(鎌倉淳)