「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第8弾 熊本城~平戸城を分析する。甘い罠に気をつけて!

ニュー太川、ゆる軍曹

「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」の第8弾が放送されました。太川陽介率いるバスチームと、村井美樹率いる鉄道チームが、熊本城~平戸城で競う企画です。勝負を分析してみました。

なお、以下はネタバレ100%です。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)

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乃木坂とNGTが対戦

「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」は、ローカル路線バスを乗り継ぐチームと、ローカル鉄道を乗り継ぐチームが対決するテレビ番組です。

2021年5月5日に放送された第8弾では、「ルイルイ」こと太川陽介率いるバスチームと、「鬼軍曹」こと村井美樹率いる鉄道チームが、熊本県・熊本城~長崎県・平戸城で乗り継ぎ対決しました。

バスチームのメンバーは、太川陽介、高山一実(乃木坂46)、岩橋良昌(プラス・マイナス)の3人。鉄道チームのメンバーは、村井美樹、中井りか(NGT48)、とにかく明るい安村の3人です。乃木坂46とNGT48のメンバーが両チームに分かれて対決するのも注目点となりました。

バスチームが使っていいのはローカル路線バスのみ。鉄道チームが使っていいのはローカル鉄道のみです。ただし、両者とも1万円までタクシーが利用でき、今回はそれに加えてフェリーも1万円の範囲で利用可とされました。

第8弾のスタートは熊本城で、ゴールは平戸城。グリーンランド(荒尾市)、史跡料亭花月(長崎市)、ベイサイドハウスモア(時津町)、有田ポーセリンパーク(有田町)の4箇所のチェックポイントを経て、1泊2日でのゴールを目指します。先にゴールしたチームが勝ちとなります。

バスVS鉄道対決旅第8弾
Ⓒテレビ東京

バスVS鉄道対決旅第8弾
Ⓒテレビ東京

水バラ ローカル路線バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅8 春の九州 熊本・熊本城~長崎・平戸城
【出演】太川陽介、高山一実、岩橋良昌、村井美樹、中井りか、とにかく明るい安村
【放送日】2021年5月5日(水) 18時25分~21時54分(テレビ東京系列)

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バスチームの実際ルート

まずは、ルイルイ率いるバスチームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻をわかる範囲で確認しました。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogleマップにより測定しています。*はチェックポイントです。

▽1日目
熊本城二の丸駐車場10:58→11:19桜の馬場・城彩苑→徒歩0.4km→熊本桜町バスターミナル11:30→12:39玉名駅前13:22→14:02あらおシティモール→徒歩0.9km→グリーンランド*→徒歩0.9km→あらおシティモール15:26→15:32桜山団地上→徒歩5km→16:45長洲港17:15→フェリー1,350円→18:00多比良港→タクシー17.3km、5,420円→愛野18:50→19:17諫早駅前19:38→20:49長崎駅前/長崎駅前南口20:55→21:02思案橋→徒歩0.4km→史跡料亭花月*→徒歩0.4km→思案橋→長崎駅前

▽2日目
長崎駅前07:08→07:51ことのうみ→徒歩0.3km→ベイサイドハウスモア*→徒歩0.3km→ことのうみ09:26→10:18大串10:55→11:09西海橋東口11:16→11:38早岐田子の浦11:51→12:16有田駅前12:30→12:45戸矢北→徒歩2.7km→有田ポーセリンパーク*→タクシー7.6km、2,330円→伊万里口14:48→15:32佐世保駅前16:30→17:58猶興館高校入口→徒歩0.7km→平戸城

バスチームの平戸城ゴールは、18時10分頃だったようです。


※Googleマップの表示ルートは目安です。実際のルートとは異なります。

鉄道チームの実際ルート

つぎに、鬼軍曹率いる鉄道チームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻を示しています。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogleマップにより測定しています。

▽1日目
熊本城→徒歩1.0km→段山町11:18→11:24上熊本11:50→12:30荒尾→徒歩4.1km→14:08グリーンランド*15:20→徒歩4.1km→16:20荒尾16:38→16:46長洲→徒歩1.8km→17:12長洲港17:15→フェリー1,350円→18:00多比良港→徒歩0.6km→多比良18:35→19:25諫早19:40→20:13長崎/長崎駅前20:23→20:34思案橋→徒歩0.4km→史跡料亭花月*→徒歩0.4km→思案橋→長崎22:34→22:44道ノ尾→タクシー3.6km、1,780円→ヤスダオーシャンホテル

▽2日目
ヤスダオーシャンホテル06:50→徒歩4.7km→ベイサイドハウスモア*08:55→徒歩+タクシー1,090円、計4.7km→時津港(ヤスダオーシャンホテル)09:40→高速船2,250円→10:05長崎空港→タクシー1,570円+徒歩2km、計5.1km→10:52竹松10:58→11:40早岐12:39→12:51有田→徒歩1km+タクシー3.8km、1,210円→有田ポーセリンパーク*14:37→徒歩4.6km→15:46有田15:51→16:14伊万里17:03→18:09たびら平戸口→タクシー750円+徒歩、計4.4km→平戸城

鉄道チームのゴール時刻は18時30分頃で、バスチームに20分ほど及びませんでした。

ということで、第8弾はバスチームの勝利に終わったわけですが、両者のとったルートについて、検証してみましょう。なお、タクシー代の概算はNAVITIMEのタクシー料金検索に依拠しています。

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バスチームの検証

まずは、バスチームの検証です。最初に熊本桜町バスターミナルへ向かおうとして、熊本城二の丸駐車場から熊本城周遊バスに乗ったものの、城をひとまわりして、乗り場近くまで戻ってしまいました。それなら最初から熊本桜町バスターミナルへ歩いていたほうがよかったのでは、と思ってしまいます。

これについては、桜町バスターミナルから玉名駅前へのバスは、一行が乗車した11時30分発の前は09時13分発なので、どのみち間に合いません。したがって、熊本城をぐるりと回ったことによるタイムロスはありませんでした。

ちなみに、その次のバスは13時40分発までなく、あらおシティモール到着は16時02分になります。11時30分を乗り逃したら一大事となっていたでしょう。

その点で、桜の馬場・城彩園で周遊バスを乗り捨てて、桜町バスターミナルまで歩いたルイルイの判断は、目立たないですがファインプレーといえます。

もっとも、周遊バスに乗り続けていても、11時25分には桜町バスターミナルに着きますので、ギリギリで玉名行きに間に合ったかもしれませんが。

岩橋が走れなかったら

バスチームの最初の難所は、グリーンランドでのミッション終了後、荒尾から長洲港へのアクセスでしょうか。ルイルイは、あらおシティモールから桜山団地上までバスに乗り、5kmを歩いて長洲港を目指しました。

グリーンランドでのミッション終了が15時14分、あらおシティモール発のバス時刻が15時26分で、オンエアによると、12分で約1.3kmを移動する必要がありました。体重100kgの岩橋にはやや厳しい道のりですが、岩橋は「走れますよ」と宣言。意地を見せ、どうにか間に合いました。

仮に、ここで15時26分発のバスに乗り遅れていたらどうなっていたでしょうか。次のバスは16時17分です。

▽1日目
あらおシティモール16:17→16:32マックスバリュ桜山店→徒歩4.6km→長洲港17:15→フェリー→18:00多比良港

このように、4.6kmを43分で歩き切れれば、実際ルートに追いつきます。

ただ、ルイルイ一行は、有明フェリーの出航時刻を知らなかったようなので、急いで歩かずに、17時15分発のフェリーには乗り遅れた可能性が高いでしょう。すると、次のフェリーになります。

▽1日目
長洲港18:10→フェリー→18:55多比良港→タクシー17.3km→愛野19:56→20:23諫早駅前20:42→21:49長崎駅前

長崎駅の到着時刻が、実際ルートよりちょうど1時間遅くなります。料亭花月到着は22時すぎになっていたでしょう。料亭花月の「門限」が何時かは不明ですが、この程度の遅延は想定内と思われるので、ミッション遂行に問題はなさそうです。龍馬の刀傷を見つけた後、長崎泊となり、実際ルートに収斂していたとみられます。

要するに、荒尾における、岩橋の怒濤の走りに1時間を稼ぐ意味はありましたが、走らなくても1日目の最後には実際ルートに追いついていた可能性が高く、大勢に影響はなかったであろう、ということです。

ちなみに、荒尾市内から長洲港へのバス路線は、2020年3月まで走っていました。当時の時刻表を見ると15時すぎにあらおシティモールを出るのが最終便で、今回のロケ時刻では間に合いません。

荒尾から長洲港へは、他に代替ルートも見あたらず、一行がたどったルートそのものに間違いはなかったといえます。

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愛野でよかったのか

バスチームは長洲港から有明フェリーで海を渡り、多比良港に到着。しかし、多比良港から諫早方面へのバスは、すでに終わっていました。

ここで、ルイルイは迷うことなくタクシー利用を決断。他のバス路線がありそうな愛野まで乗車しました。多比良周辺には他に使えそうなバス路線はなく、ここでタクシーを利用したルイルイの判断も正しいといえます。

愛野は、島原半島西側と諫早とを結ぶ路線が合流する地点です。したがって、愛野でバス停を探し、タクシーを降りたのも正解です。結果として、多比良港を降りてから、長崎市内に至るまで、ルイルイのルート取りとタクシーの使い方は完璧でした。1日目のバスチームは、ほぼノーミスで長崎駅に到着したといえます。

高速船を利用したら

2日目、バスチームは、長崎駅前07時08分のバスで出発しました。それより早い便もありますが、第3チェックポイントのベイサイドハウスモアの営業時間が8時以降ということを事前に知らされていたようなので、このバスで間に合います。

カヤックのミッションを短時間で終わらせ、ことのうみ09時26分発のバスに乗車して大串方面へ。一本早い08時51分のバスに気づかなかったことをルイルイは悔やみましたが、乗ったところで、大串発が同じバスになるのは、オンエアの通りです。

ここで検討すべき点があるとすれば、バスチームも時津港からの高速船に乗車していたら、ということくらいでしょうか。鉄道チームと同様に、時津港09時40分発の便に乗れたと仮定すると、以下のようになります。

▽2日目
時津港09:40→高速船→10:05長崎空港10:45→11:58早岐田子の浦

長崎空港から早岐方面へ直通バスに乗れますが、早岐田子の浦を11時51分に出る有田駅行きバスにタッチの差で間に合いません。つまり、利用したとしても、有田到着は実際ルートより遅くなります。したがって、高速船を使う意味はありませんでした。

そもそも、高速船の運賃はヤスダオーシャンホテルに泊まらないと高額なので、利用する可能性は、ほぼなかったと思われます。

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有田のタクシー利用は?

実際ルートに戻ります。バスチームは大串から先の接続も良く、早岐田子の浦では、1日1便しかない有田駅行きを絶妙の乗り継ぎで捕まえます。有田駅では、岩橋のファインプレーで戸矢北行きのコミュニティバスを発見。タクシー代を温存して、第4チェックポイントの有田ポーセリンパークに到着しました。

ポイントとなったのは、ポーセリンパークからの復路でしょう。一行は伊万里口バス停までタクシーを使いましたが、往路同様にコミュニティバスを使う方法もありました。その場合は、以下のようになります。

▽2日目
有田ポーセリンパーク*→徒歩2.7km→戸矢北15:12→15:19有田駅→徒歩3.0km→伊万里口16:39→17:22佐世保駅前17:40→19:08猶興館高校入口→徒歩0.7km→平戸城

復路にコミュニティバスを使うと、有田町内を合計5km以上歩くことになるうえに、伊万里口から乗れるのは実際ルートより2時間近く遅い便になってしまいます。最終的に、平戸城ゴールは1時間ほど遅くなり、19時20分頃だったでしょう。

タクシー代を余らせても仕方ないので、有田でタクシーを使ったルイルイの判断も正しかったといえます。

さらに言えば、ポーセリンパークからの帰路にタクシー代を満額使えたのは、往路にコミュニティバスを使ってタクシー代を残したからです。そのバス停を発見したのは岩橋ですので、早着できたのは、岩橋のファインプレーのおかげ、といえるかもしれません。

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完璧なルート取り

ここまで、バスチームの乗り継ぎを検証してきましたが、どちらに進むかで迷う場面はほぼなく、選択の余地に乏しいルートでした。難所があったとすれば、荒尾市内から長洲港へのアクセスのほか、佐世保行きのバスが伊万里口から出ているという情報を得ることくらいでしょうか。

タクシーの使いどころとしては、多比良~愛野間と、有田ポーセリンパーク~伊万里口間の2カ所が効果的でした。ルイルイは、切り札の出し方も間違えなかったということです。

要するに、ルイルイ一行は、途中でわずかなミスはあったものの、全体的には完璧なルート取りに近く、最速でゴールしたといえそうです。

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