「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第7弾 京都~姫路を分析する。ルイルイがちょっと心配に

全部使って大丈夫ですか?

「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」の第7弾が放送されました。太川陽介率いるバスチームと、村井美樹率いる鉄道チームが、京都~姫路で競う企画です。勝負を分析してみました。

なお、以下はネタバレ100%です。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)

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ロンブー亮が登場

「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」は、ローカル路線バスを乗り継ぐチームと、ローカル鉄道を乗り継ぐチームが対決するテレビ番組です。

2020年12月30日に放送された第7弾では、「ルイルイ」こと太川陽介率いるバスチームと、「鬼軍曹」こと村井美樹率いる鉄道チームが、京都市・仁和寺~兵庫県・姫路城で乗り継ぎ対決しました。

バスチームのメンバーは、太川陽介、浅田舞、ちゅうえい(流れ星)の3人。鉄道チームのメンバーは、村井美樹、田村亮(ロンドンブーツ1号2号)、渚(尼神インター)の3人です。

バスチームが使っていいのはローカル路線バスのみ。鉄道チームが使っていいのはローカル鉄道のみです。ただし、両者とも1万円までタクシーが利用できます。

第7弾のスタートは京都市の仁和寺で、ゴールは兵庫県姫路市の姫路城。永沢寺(三田市)、有馬温泉兵衛向陽閣(神戸市)、ネスタリゾート神戸(三木市)、明勝寺(姫路市)の4箇所のチェックポイントを経て、1泊2日でのゴールを目指します。先にゴールしたチームが勝ちとなります。

鉄道バス対決旅第7弾
Ⓒテレビ東京

水バラ ローカル路線バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅7 京都~有馬温泉~姫路城
【放送日】2020年12月30日(水) 17時55分~22時00分(テレビ東京系列)
【出演】太川陽介、浅田舞、ちゅうえい、村井美樹、田村亮、渚
【ナレーター】服部伴蔵門

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バスチームの実際ルート

まずは、ルイルイ率いるバスチームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻をわかる範囲で確認しました。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogleマップにより測定しています。*はチェックポイントです。

▽1日目
御室仁和寺09:07→09:51京都駅前10:08→11:13亀岡駅南口→タクシー14km、5,610円→園部駅西口12:15→12:52福住13:12→13:38篠山営業所→タクシー10km、3,930円→永沢寺*17:03→17:16乙原バレイ17:18→17:45三田駅18:11→18:43岡場駅19:00→19:15東有野台→徒歩2km→有馬温泉向陽閣

▽2日目
有馬温泉向陽閣*→徒歩0.2km→有馬駅前07:58→08:17岡場駅08:30→08:37吉尾インター09:44→10:14志染小学校前→徒歩3.7km→ネスタリゾート神戸*→徒歩3.7km→志染小学校前12:46→13:35社営業所→徒歩3.5km→社町駅14:35→15:16八重畑→徒歩2km→明勝寺*→徒歩2km→八重畑→徒歩3.5km→岩屋17:24→17:55姫路城大手門前

バスチームの姫路城ゴールは、時刻表どおりなら18時頃。実際は少し遅延していたようですので、18時10分頃のようです。


※Googleマップは概略です。実際のバスルートとは異なります。

鉄道チームの実際ルート

つぎに、鬼軍曹率いる鉄道チームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻を示しています。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogleマップにより測定しています。

▽1日目
仁和寺→徒歩1.3km→花園駅09:32→09:44京都駅10:00→10:35尼崎駅11:59→13:14篠山口駅→徒歩4.7km+タクシー5.6km、2,090円→母子小学校前→徒歩2.2km→永沢寺*→タクシー17.2km、5,770円→三田駅18:23→18:43有馬口駅18:48→18:52有馬温泉駅→徒歩0.3km→有馬温泉向陽閣*

▽2日目
有馬温泉向陽閣→徒歩0.3km→有馬温泉駅06:16→06:20有馬口駅06:22→06:45鈴蘭台駅07:00→07:27緑が丘駅→徒歩8.1km→ネスタリゾート神戸*→徒歩8.1km→緑が丘駅12:30→13:00粟生駅13;07→13:31加古川駅13:38→13:47姫路駅13:52→13:58野里駅14:29→14:31砥堀→タクシー5.5km、2,090円+徒歩1.3km→明勝寺*→徒歩5.7km→仁豊野駅17:18→17:34姫路駅→徒歩1.0km→姫路城

鉄道チームのゴール時刻は17時50分頃のようです。バスチームより14分早く、宝箱を開けて勝利となりました。両者のとったルートについて、検証してみましょう。なお、タクシー代の概算はタクシー料金検索サイトに依拠しています。

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京都駅に寄らなかったら

まず、バスチームです。最初に気になったのは、仁和寺から京都駅に向かったことでしょうか。案内所で情報を得るためですが、篠山は西、京都駅は南で方向が違います。最初から亀岡方面を目指すと決め込んで西を目指したら、どうなるでしょうか。以下のようにつながります。

▽1日目
御室仁和寺09:07→09:23西大路御池09:30→09:44七条千本09:55→10:53亀岡駅南口

このように、亀岡行きの1本早いバスに乗車できます。ただ、その差は20分にすぎず、その後のバス乗り継ぎに影響はありません。そもそも、案内所などでの綿密な情報収集なしに亀岡へのルートを正確に把握するのも難しいので、最初に京都駅に向かったのはやむを得ないでしょう。

亀岡で待ったら

次のポイントは、亀岡駅です。園部駅行きの次のバスは13時15分。情報収集の結果、園部駅で福住行きのバスに乗れば丹波篠山方面へ抜けられることがわかりましたが、福住行きの園部駅発は12時15分の次が15時26分です。この3時間の差は大きいと判断し、タクシー代5,610円を投入して、園部へワープ。12時15分発をなんとか捕まえました。

ここで仮に、園部駅15時26分発のバスを待っていたらどうなっていたでしょうか。

▽1日目
京都駅前10:08→11:13亀岡駅南口13:15→14:25園部駅西口15:26→16:03福住16:36→17:01篠山営業所→タクシー10km、3,930円→永沢寺*18:36→19:20三田駅20:11→20:42岡場駅20:45→21:00東有野台→徒歩2km→有馬温泉向陽閣

このように、永沢寺に17時20分頃に到着できます。ミッションを1時間程度でこなせば、当日中に有馬温泉に到達できるでしょう。それによりタクシー代を5,000円以上温存できれば、終盤に威力を発揮したことは間違いありません。

ただ、永沢寺のミッションは蕎麦打ちですので、打って全部食べることを含めると、1時間で終わるのは難しいでしょう。つまり、上記の乗り継ぎの永沢寺18時36分発のバスにはおそらく乗れません。そしてこのバスは最終便ですので、逃すとタクシーで三田駅に行くほかありません。永沢寺~三田駅の距離は約17km。亀岡駅~園部駅の約14kmより長く、タクシー代の残額約6,000円では収まりません。

要するに、初日は亀岡駅~園部駅か、永沢寺~三田駅のどちらかでタクシーを使わなければならず、その金額は後者のほうが高く付く、という設定になっていました。となると、結果論でみても、ルイルイがタクシー代約5,600円を投じて園部駅に至り、先発バスに飛び乗った判断は間違っていなかったといえます。

永沢寺へのタクシー代を節約したら?

タクシー代で議論があるとすれば、篠山営業所から永沢寺まででしょう。スタッフが「全部使って大丈夫ですか?」と心配するほどで、初日にタクシー代をほぼ全額使い切るのは異例の戦術です。2日目の勝負どころでタクシーが使えず苦戦する遠因ともなりました。

とはいえ、篠山市街から見て永沢寺は峠の向こうにあり、歩くには難があります。そのためタクシー利用は不可避で、節約できるとすれば、鉄道チームのように麓の小枕まで歩いて一部区間のみタクシーを使うという判断だったでしょうか。以下のようになります。

▽1日目
福住13:12→13:38篠山営業所→徒歩2.8km→小枕→タクシー5.6km、2,090円→母子14:24→14:28永沢寺*17:03→17:16乙原バレイ17:18→17:45三田駅18:11→18:43岡場駅19:00→19:15東有野台→徒歩2km→有馬温泉向陽閣

篠山~永沢寺間約10kmのうち、タクシー利用を半分の約5kmにとどめる戦法です。篠山営業所~小枕は歩き、母子~永沢寺はバスに乗ります。永沢寺では2時間半の滞在時間を確保して、永沢寺17時03分発のバスで実際ルートに収斂します。

結果として、永沢寺でのタクシー代を2,000円程度に抑えられ、2,000円程度を残すことができたでしょう。

ということで、スタッフの「全部使って大丈夫ですか?」の発言は、「少しは歩いて残した方がいいのでは?」という意味の裏返しだったと捉えることもできます。この点は、ルイルイの判断ミスといえるかもしれません。

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永沢寺への別ルート

亀岡駅から永沢寺へ別ルートがなかったかも検討してみます。たとえば、以下のようなルートが見つかりました。

▽1日目
京都駅前10:08→11:13亀岡駅南口13:15→13:33国道佐伯13:36→14:15土ヶ畑→タクシー21.3km、概算8,410円→永沢寺

土ヶ畑経由にすると、概算8,400円程度のタクシー代で、15時頃に永沢寺に着けそうです。この時間なら、蕎麦打ちミッションをこなして17時03分発の三田行きに乗れますので、全く歩かずに、タクシー代を1,000円あまり温存して実際ルートに収斂しそうです。

ただ、この乗り継ぎは、見つけるのが難しいわりに確実性は高くありません。土ヶ畑へタクシーを呼ぶのも大変そうです。そう考えると、現実感のない乗り継ぎに感じられます。

国道423号線経由は?

念のため、亀岡から国道423号線で池田方面に向かうルートも調べてみましょう。永沢寺へのバスは三田駅から出ているので、南から三田に回り込む作戦です。

▽1日目
京都駅前10:08→11:13亀岡駅南口12:33→12:43京都先端科学大学13:12→13:50神地→徒歩0.5km→牧15:31→16:16池田

このように、亀岡からバスだけで乗り継ごうとすると、池田到着時点で16時すぎになってしまいます。南から永沢寺にバスでアプローチする場合、三田駅に15時頃に着いていなければならないので、途中でタクシーを使ったとしても間に合いそうにありません。

このほか、高槻経由も検討してみましたが、時間がかかりすぎて到達不可能なようです。

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八重畑で乗れていたら

実際ルートに戻ります。1日目にミッションを一つしかクリアできなかったバスチームですが、2日目は、順調に巻き返していきます。

早朝に手早く入浴のミッションをこなして有馬温泉を出発。岡場駅からのバスを、吉尾で三木方面行きに乗り継ぐという、三田市内のショートカットにも成功します。ネスタリゾート神戸では、恒例のジップライン撮影を一度で決めて、最短時間で社営業所に到着しました。

13時50分頃に到着した社営業所では、次の姫路方面行きバスは15時44分発までないと言われたものの、3.5km離れた社町駅まで行けば14時35分発のバスがあると知り、急いで歩いて間に合います。このあたりの乗り継ぎにも隙はありません。

最後に気になったのは、八重畑での乗り逃しでしょうか。明勝寺での護摩行のミッションを16時22分ごろに終えたものの、約2km離れた八重畑を16時36分に出るバスを乗り逃します。2kmを14分で歩かなければならないというハードなタイミングですので、そもそも時間的に難しかったと思いますが、ルイルイの出発時刻の勘違いもあって、間に合いませんでした。

仮に16時36分発のバスに乗れていたらどうなっていたでしょうか。

▽2日目
社町駅14:35→15:16八重畑→徒歩2km→明勝寺*→徒歩2km→八重畑16:36→16:58姫路城大手門前

このように、姫路城には17時過ぎに到着となり、実際ルートより約1時間、早くなります。鉄道チームよりも40分以上早いタイミングでゴールできていたことになります。

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姫路セントラルパーク系統

八重畑での乗り逃しの後、一行は3.5km離れた岩屋まで歩いて、別の路線バスを捕まえます。このバスは、姫路駅と古法華公園を結ぶ路線です。実は、明勝寺からは八重畑より岩屋のバス停のほうが近く、この系統を先に知っていれば、1.2kmほどの歩きで済みました。

とはいえ、先着を狙うなら八重畑16時36分発を目指すのは当然で、岩屋発に先に気づかなかったのはミスとはいえません。ポイントがあったとすれば、八重畑で乗り逃してしまったあと、岩屋以外にアプローチできる停留所がなかったのか、という点でしょう。

地図を開けば近くには姫路セントラルパークがあり、そこにバスが発着することは想像できるでしょう。姫路セントラルパークからのバスは、八重畑から1.6kmほど先の清水で姫路方面と合流します。清水にセントラルパーク系統のバスがあるとあたりを付けられれば、夕方に便があることも予想できます。

早い話、八重畑からなら、清水バス停に行ったほうが良かったのではないか、ということです。以下のようになります。

▽2日目
社町駅14:35→15:16八重畑→徒歩2km→明勝寺*→徒歩2km→八重畑→徒歩1.6km→清水17:05→17:25姫路城大手門前

姫路城到着時刻は17時30分頃で、実際ルートより約30分早くなります。となると、鉄道チームより約15分先着で勝利していたでしょう。

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タクシー代を節約していたら

バスチームをまとめてみると、1日目のルート選択は間違っておらず、悔やまれる点があるとすれば、丹波篠山で、営業所から永沢寺まで満額タクシー代を使ってしまったことでしょう。タクシー利用を峠部分に限っても永沢寺のミッションに支障はなかったので、結果的にはもったいないことをしました。

タクシー代を残していたら、1日目の岡場~有馬間に使うことができたでしょう。この区間は約5kmあり、タクシーなら2,000円程度で、永沢寺でタクシーを節約していれば、ギリギリ残り得る金額です。一行は岡場駅に18時45分に到着していましたので、そこでタクシーをすぐに捕まえれば、19時に有馬温泉向陽閣に到着し、入浴ミッションを達成できたかもしれません。夜の徒歩移動の危険を減らすこともでき、ルイルイの溝への転落も防げたでしょう。

ただ、仮に1日目に有馬温泉の入浴ミッションをこなせた場合でも、翌日の朝の乗り継ぎは同じです。有馬温泉から岡場へ向かうバスの始発が、実際ルートで利用した便だからです。早朝から東有野台まで歩けば、より早い便に乗れますが、次に説明するように、ネスタリゾート神戸のチェックポイント以降の先発バスに間に合わず、ゴールは同じになります。

逆算してみると

念のため、2日目の後半を逆算してみます。10時オープンのネスタリゾート神戸のミッション後、志染小学校前で乗れるバスは、早くても11時16分発です。これに乗れば、社営業所を12時30分発のバスに間に合い、明勝寺に早く着けます。

ただ、10時にネスタリゾートのジップラインを開始して、1時間16分後に、3.7km離れた志染小学校発のバスに乗るのは、タクシーを使わない限り不可能でしょう。しかし、ここまでタクシー代を多少なりとも温存していたら、1日目に有馬温泉のミッションをこなせませんので、10時にネスタリゾートに着くことはできません。つまり、この乗り継ぎはどうやっても実現できません。

逆に、1日目にタクシー代を2,000円残してネスタリゾートに着いた場合、その使いどころはネスタリゾート~志染小学校、社営業所~社町駅、明勝寺~八重畑の3カ所に限られます。いずれもタクシー代でワープしても先発バスに乗ることはできないので、歩く距離を減らす以外の効果はありません。

とどのつまり、2日目以降にタクシー代を少し残していても、時間短縮に意味はなかったことになります。というよりも、今回のバス乗り継ぎは、1日目にタクシー代を全部使い切る仕様になっていたように思われます。

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バスチームの最適解

いろいろ検討してみましたが、バスチームが実現可能な最速パターンは、どうやら八重畑を16時36分発のバスに乗ることのようです。つまり、17時に姫路城ゴールが、バスチームの最速解だったことになります。

ということで、バスチームの最適解は、篠山~永沢寺でタクシー代を節約し、有馬温泉の夜間歩きを避ける以下のルートではないか、と思います。

▽1日目
御室仁和寺09:07→09:51京都駅前10:08→11:13JR亀岡駅南口→タクシー14km、5,610円→園部駅西口12:15→12:52福住13:12→13:38篠山営業所→徒歩2.8km→小枕→タクシー5.6km、2,090円→母子14:24→14:28永沢寺*17:03→17:16乙原バレイ17:18→17:45三田駅18:11→18:43岡場駅→タクシー5.0km、2,090円→有馬温泉向陽閣*

▽2日目
有馬温泉向陽閣→徒歩0.2km→有馬駅07:58→08:17岡場駅08:30→08:37吉尾インター09:44→10:14志染小学校前→徒歩3.7km→ネスタリゾート神戸*→徒歩3.7km→志染小学校前12:46→13:35社営業所→徒歩3.5km→社町駅14:35→15:16八重畑→徒歩2km→明勝寺*→徒歩2km→八重畑16:36→16:58姫路城大手門前

バスに遅延がない場合、バスチームの最速ゴールは17時過ぎとなります。

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