「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」の第18弾が放送されました。太川陽介率いるバスチームと、村井美樹率いる鉄道チームが、宮城県の石巻市から岩手県の盛岡市で競う企画です。勝敗を分析してみました。
以下はネタバレ100%です。また、記事公開後に加筆・修正することがあります。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)
鈴木蘭々、水野真紀が登場
「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」は、ローカル路線バスを乗り継ぐチームと、ローカル鉄道を乗り継ぐチームが対決するテレビ番組です。
2023年12月27日に放送された第18弾では、「ルイルイ」こと太川陽介率いるバスチームと、「鬼軍曹」こと村井美樹率いる鉄道チームが、宮城県石巻市の鹿島御児神社から、岩手県盛岡市の盛岡八幡宮まで乗り継ぎ対決しました。
途中のチェックポイントは、割烹若鮨(迫町)、気仙沼グルメ、大船渡温泉、成吉思汗食堂よねたや(宮守町)の4箇所です。
バスチームのメンバーは、太川陽介、鈴木蘭々、小田井涼平。鉄道チームのメンバーは、村井美樹、水野真紀、林家三平です。
バスチームが使っていいのはローカル路線バスのみ。鉄道チームが使っていいのはローカル鉄道のみです。ただし、両者とも10,000円までタクシーが利用できます。さらに、チェックポイントに先着するとボーナス1,000円がもらえるというルールも設定されています。
ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 バスvs鉄道 年末4時間SP!冬の東北決戦
【出演】太川陽介、鈴木蘭々、小田井涼平、村井美樹、水野真紀、林家三平
【放送日】2023年12月27日(水) 17時55分~22時00分(テレビ東京系列)
バスチームの実際ルート
まずは、ルイルイ率いるバスチームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻をわかる範囲で確認しました。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogleマップにより測定しています。☆は獲得したチェックポイント、★は獲得できなかったチェックポイントです。
▽1日目
石巻駅前11:30→12:07飯野川12:31→タクシー2,450円+徒歩6km、計12.2km→13:55柳津駅14:08→14:51登米市役所前→徒歩0.4km→割烹 若鮨★16:05→徒歩0.4km→登米市役所前16:20→17:03柳津駅前17:34→19:23気仙沼駅☆
▽2日目
気仙沼駅06:20→07:22大船渡丸森駅→徒歩0.2km→07:30大船渡温泉☆→大船渡丸森駅10:06→10:33陸前高田駅11:54→12:28世田米駅前13:54→15:20達曽部→よねたや★16:32→タクシー9,510円、27.5km→紫波中央駅→徒歩1.5km→17:32日詰18:37→19:10南大通二丁目→徒歩0.6km→19:29盛岡八幡宮
最終局面では、日詰から盛岡市内までのバスを利用して、盛岡八幡宮に19時29分ごろに到着したようです。
※Googleマップのルートは概略です。実際とは異なります。配信先では表示されない場合があります。
鉄道チームの実際ルート
つぎに、鬼軍曹率いる鉄道チームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻を示しています。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogle Mapにより測定しています。
▽1日目
石巻駅10:36→11:11小牛田駅11:35→11:54新田駅→タクシー1,050円+徒歩、計9.5km→13:42割烹 若鮨☆15:47→徒歩8.3km→17:14新田駅17:54→18:21一ノ関駅19:36→20:59気仙沼駅22:00→徒歩+タクシー5,650円、計19km→23:41陸前高田
▽2日目
陸前高田06:10→徒歩9.3km→08:38大船渡温泉★→大船渡丸清食堂10:15→徒歩4.2km→11:02盛駅11:08→12:01釜石駅12:09→13:41岩根橋駅→タクシー6.3km、2,410円→13:58よねたや☆15:29→タクシー1,710円+徒歩、計6.3km→岩根橋駅17:33→18:02花巻駅18:14→18:57盛岡駅→タクシー2.0km、1,100円+徒歩1.5km→19:20盛岡八幡宮
最終局面では、釜石線の遅延が生じたようですが大事には至らず、盛岡駅からタクシーと徒歩でゴールしました。ゴール時刻は19時20分頃だったようで、わずか9分の差で鉄道チームが勝利しました。
バスチームの検証
では、両チームのルートを検証してみましょう。最初はバスチームです。
石巻の鹿島御児神社から石巻駅までは約1.4km。一行は小走りに急いで、駅の案内所で第1チェックポイントのある登米市方面へのバスルートを尋ねます。
オーソドックスなルートは、石巻駅から河南総合支所にいたり、そこからJRバス(BRT)に乗り継ぐ方法です。しかし、石巻駅から河南総合支所行きのバスは、13時までありません。待っていたら、以下のような乗り継ぎになります。
▽1日目
石巻駅前13:00→13:49河南総合支所→徒歩0.5km→前谷地駅14:30→15:04柳津駅18:09→18:52登米市役所前→徒歩0.4km→割烹 若鮨
この乗り継ぎではタクシーを使わずに第1チェックポイントに到達できます。ただ、柳津駅での接続が悪く、第1チェックポイント到着時刻は19時頃になってしまいます。
実際にこのルートで進んだら、柳津でバスを待たずに登米市役所までタクシーを使う決断を迫られたでしょう。そして、その場合でも実際ルートより遅くなります。
したがって、石巻駅13時発のバスを待たなかったのは適切な判断と言えます。
涌谷ルート
参考ルートとして、仮にバスチームが10時30分に石巻駅を出発できるのであれば、次のような乗り継ぎも成立します。
▽1日目
石巻駅前10:30→10:46イオンモール石巻→タクシー18.5km→涌谷駅11:46→12:24岸が森大橋→徒歩2.3km→筒場内13:27→14:03登米市役所前
この場合は、実際ルートより、約1時間早く第1チェックポイントに到着できます。ただ、バスのない区間(石巻~涌谷間)が約18kmにも及び、実際ルートの飯野川~柳津間の約12kmを上回ります。
そのぶんタクシー代が余計にかかりますし、ここで急いでも、第2チェックポイント到着時刻は実際ルートと同じです。つまり、乗り継ぎとしては、実際ルートに劣後します。
いろいろ検討してみましたが、結論として、スタートから第1チェックポイントまでの道のりで、実際ルートより優れたルートは見つかりませんでした。
大船渡駅ルート
1日目、バスチームは第1チェックポイント終了後、バスを乗り継いで気仙沼駅に19時23分に到着。そこから第2チェックポイントのミッションを開始したために夜遅くなり、結局、気仙沼に泊まることとなりました。
翌日、始発で大船渡温泉へ至り、第3チェックポイントで入浴と朝食のミッションをこなした後、陸前高田へ向かいました。
ここで、仮に大船渡駅方面へ向かっていたらどうなっていたでしょうか。
▽2日目
大船渡丸森駅10:02→10:11大船渡駅/大船渡駅前13:25→15:20達曽部
大船渡駅前を13時25分のバスに乗れば、第4チェックポイントのある達曽部に乗り換えなしで到達します。ただし、このバスは、バスチームが実際に世田米駅前から乗車したバスと同じです。つまり、その後の乗り継ぎは同じです。
大船渡温泉から達曽部にバスで向かうには、大船渡駅に出る方法と、陸前高田に出る方法があるのですが、どちらに出ても最終的に同じバスになる、ということです。
上有住ルート
では、第4チェックポイントに早着する方法はないのでしょうか。
じつは、大船渡から一気にタクシーを使うと、次のような乗り継ぎルートを利用できます。
▽2日目
大船渡丸森駅→タクシー26km→世田米駅11:22→11:43上有住集会センター11:45→12:31遠野駅前12:34→13:20達曽部☆15:20→16:38盛岡バスセンター
世田米駅から住田町のコミュニティバスを乗り継ぎ、遠野に至ります。遠野から岩手県交通の路線バスがあり、達曽部に13時20頃に到着。2時間以内にミッションを終わらせれば、15時20分発の盛岡行きバスに乗車できます。
この盛岡行きバスは、実際ルートでバスチームが乗車してきたバスです。これに達曽部から乗車できれば、16時半頃に盛岡バスセンターに到着できます。ゴールは16時50分頃になるでしょう。
これより早く鉄道チームがゴールすることは困難ですから、バスチームに「必勝ルート」が存在したことになります。
日詰17時07分発に乗れていたら
実際ルートに戻ります。バスチームは、16時半頃にタクシーで第4チェックポイントを出発。紫波中央駅にタクシーで向かいます。達曽部から紫波中央駅までは、Googleマップで27.6km。タクシー代9,510円で、残金をほぼ使い尽くします。
しかし、紫波中央駅でバス停留所が見つからず、位置が違うことを知らされます。探し出した日詰停留所に着いたのは17時32分。しかし、バスは17時07分に出発したばかりでした。
仮にこのバスに乗れた場合、次のようになります。
▽2日目
日詰17:07→17:40南大通一丁目→徒歩0.6km→盛岡八幡宮
ゴールの盛岡八幡宮到着は17時50分頃で、鉄道チームに勝利できていました。
ちなみに、ルイルイを悩ませた、日詰バス停と紫波中央駅の位置関係は、以下のようになっています。
バスチームは県道25号線で北上川を渡り、紫波中央駅に直行したとみられます。一方、日詰バス停は、4号線の一本東の商店街にあります。バスは商店街を南北に走っています。
つまり、タクシーのルート上にバス停はありません。そのため、タクシー運転手がバスのルートを知っていなければ、気付くことはできなかったでしょう。
仮に気付いていれば、日詰17時07分発のバスには何とか間に合ったタイミングで、惜しいところでした。
長岡ルート
もう一つの可能性として、長岡支所からのバスという手もあります。
バスチームは大迫方面から国道396号線を走っていて、途中で県道20号線へと曲がり、紫波中央駅へ向かったと思われます。ここで曲がらずに、盛岡方面へ直進すれば、長岡という場所に着きます。長岡支所を17時05分に出るバスに乗れれば、盛岡に早く着くことができました。
▽2日目
長岡支所前17:05→17:33八幡宮前→徒歩すぐ→盛岡八幡宮
国道と県道の分岐点は中松原という場所です。中松原~紫波中央駅が5.2km、中松原~長岡支所は4.8kmです。したがって、タクシー代の残金で届いた可能性が高いでしょう。時間的にもギリギリ間に合うタイミングです。
仮に間に合わなかったとしても、長岡支所前からは1時間後にもバスがあり、これには間に合っていたでしょう。
長岡支所前18:05→18:33八幡宮前
このバスでは、八幡宮前に着くのは18時30分すぎです。鉄道チームは19時20分頃のゴールなので、バスチームが勝利できていました。
ただ、このルートは、長岡支所前からのバスの情報を知っていなければ選べないでしょう。その情報を得られるチャンスがあったかは、何ともいえません。
ミスらしいミスなし
バスチーム全体のルート取りを検討してみると、ミスらしいミスはありません。世田米からのコミュニティバスの情報か、日詰停留所の正確な位置、あるいは長岡支所からのバスの情報を知っていれば勝てた可能性はありますが、いずれも簡単に入手できる情報とは言いがたいです。
そう考えると、バスチームは概ねベストを尽くしたと言えそうです。
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バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第18弾 石巻~盛岡を分析する【2】