新幹線きっぷ「東京都区内」「山手線内」「市内」の意味。買い方、使い方も解説!

全国に12エリア

新幹線などJRのきっぷを買うと、「東京(都区内)」「東京山手線内」「大阪(市内)」などという表記がされていることがあります。その意味と、買い方、使い方にについて解説してみましょう。

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東京都区内と山手線内のエリア

新幹線など、JRのきっぷに記された「東京(都区内)」とは、文字通り東京23区内を指します。「東京山手線内」とは、山手線内(中央線を含む)のJRの駅を指します。

「東京都区内から」というのは、「都区内のどの駅からでも乗車できます」という意味です。同様に「東京山手線内から」というのは、「山手線内のどの駅からでも乗車できます」という意味です。下車時も同様で、「東京都区内まで」とは、「都区内のどの駅までも乗車できます」という意味です。

東京都区内、山手線内のエリアは下図の通りです。

東京都区内・山手線内
画像:JR東日本ウェブサイトより

 
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特定都区市内駅

大阪市内も同様です。「大阪(市内)から」とは、「大阪市内のどの駅からでも乗車できます」という意味です。大阪市内のエリアは下図の通りです。

大阪市内駅図
画像:JR東日本ウェブサイトより

こうした「市内」エリアは、全国の主要都市に設定されています。北から順番に書くと、札幌市内、仙台市内、横浜市内、名古屋市内、京都市内、大阪市内、神戸市内、広島市内、北九州市内、福岡市内です。

これらを「特定市内駅」といいます。特定市内駅は、全国で10エリアです。

さらに「東京都区内」と「東京山手線内」を加えたものを「特定都区市内駅」といい、全国に合計12エリアが存在します。

東京、大阪以外のエリア図は、この記事の下の方に掲載しています。

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都区内、市内なら追加運賃不要

特定都区市内駅のルールを一言で説明すると、同じ都区市内駅なら、どの駅で乗っても降りても運賃は同じ、ということです。

東京都区内から大阪市内までの乗車券を持っている場合、たとえば、新宿駅でJRの改札に入り中央線に乗り、東京駅で新幹線に乗りかえ新大阪で下車し、JR京都線に乗って大阪まで行き、さらに大阪環状線で天王寺まで行って降りても、「東京駅~大阪駅」の運賃と同額で、追加運賃はかかりません。

新宿から東京駅までは、普通にきっぷを買うと210円します。新大阪から天王寺なら230円です。あわせると440円にもなりますので、少ない金額ではありません。

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「特定都区市内」適用のルール

こうした「都区内」「山手線内」「市内」は、どういうルールで適用されるのでしょうか。

じつは、東京発着のきっぷのうち、距離が101キロから200キロまでのきっぷが「山手線内」になり、距離が201キロ以上になると「都区内」の扱いになります。「市内」も201キロ以上です。

たとえば、東京から静岡(180キロ)のチケットは「東京山手線内→静岡」で、東京から浜松(257キロ)は「東京都区内→浜松」の扱いになります。

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インターネットのきっぷには適用されないことも

JRの正規運賃のきっぷは、条件を満たせば、すべてこの「特定都区市内駅」制度が適用されます。

ただし、インターネット専用販売のチケットや、一部の割引きっぷ、旅行商品には、適用されない場合もあります。

たとえば、東海道・山陽新幹線の「スマートEXサービス」や、その割引きっぷである「EX早特」には、特定都区市内駅制度は適用されません。新幹線駅から新幹線駅までの格安チケットという扱いです。

こうしたきっぷでは、東京都区内で利用できるのは東京駅、品川駅のみで、新宿などから乗車する場合は、「新宿~東京」または「新宿~品川」の別途乗車券が必要です。大阪市内も同様で、利用できるのは新大阪駅のみで、大阪駅で下車する場合は「新大阪~大阪」の運賃が別に必要です。

東北・北海道、上越、北陸、山形、秋田新幹線の「新幹線eチケット」「えきねっとトクだ値」や「タッチでGo!新幹線」にも、特定都区市内駅制度の適用はありません。東京都区内で利用できるのは、東京駅、上野駅のみです。

インターネットで購入した場合でも、正規運賃のきっぷなら、特定都区市内駅制度が適用されます。たとえば、「えきねっと」や「e5489」で東海道新幹線の東京~新大阪間を正規運賃で買えば、「東京都区内~大阪市内」のきっぷとなります。

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旅行商品には適用される場合も

旅行商品では、特定都区市内駅制度が適用される場合と、適用されない場合があります。たとえば、「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」では、特定都区市内駅制度が適用されます。

一方、JR東海ツアーズが発売している「ぷらっとこだま」や「EX旅パック」は、特定都区市内駅制度が適用されず、新幹線駅と新幹線駅の間しか乗車できません。

株主優待割引は自社のみ

株主優待割引を使用する場合、自社線では特定都区市内駅制度が適用されます。

具体的には、JR東日本の株主優待割引では、仙台市内、東京都区内、東京山手線内、横浜市内が適用されます。JR東海では名古屋市内が適用されます。JR西日本は京都市内、大阪市内、神戸市内、広島市内が適用されます。

JR東海の株主優待割引で東海道新幹線を利用する場合は、東京都区内、東京山手線内、横浜市内、京都市内、大阪市内は適用されません。それぞれのエリアでは、東京、品川、新横浜、京都、新大阪といった新幹線駅のみ利用可能です。こうしたきっぷを「単駅表記」ということもあります。

JR西日本の株主優待割引で山陽新幹線を利用する場合に、北九州市内と福岡市内は適用されません。小倉、博多は単駅表記となり、新幹線駅のみ利用できます。

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「都区内」「市内」のきっぷの買い方

「都区内」「山手線内」「市内」のきっぷの買い方には、特別なことはありません。適用条件を満たしていれば、自動的に「都区内」「市内」などが適用されたきっぷを購入できます。

たとえば、東京~新大阪の新幹線の乗車券と特急券を、駅窓口や券売機で正規運賃で購入すれば、何も言わなくても「東京都区内~大阪市内」のきっぷが発券されます。

逆に、条件を満たしていなければ、「都区内発にしてほしい」といっても、買うことはできません。インターネットの「スマートEX」をいくら検索しても、「東京都区内~大阪市内」のきっぷを買うことはできません。

「都区内」「市内」のきっぷの使い方

「都区内」「山手線内」「市内」のきっぷの使い方は、範囲内の駅の自動改札に乗車券を挿入するだけです。普通のきっぷと特に変わることはありません。

気をつけるべき点として、東京都区内、山手線内、市内の駅で改札口を出ること(途中下車)はできません。たとえば、中野駅から乗車し、東京駅で「大丸の地下で弁当を買おう」と思って改札の外に出ることはできません。もし出てしまうと、「途中下車」とみなされ、チケットはそこで無効になってしまいます。

このルールは、乗るときも降りるときも同じです。新大阪駅で新幹線を降りて、そのまま改札口を出てしまうと、きっぷは回収されてしまいます。さらにJR線に乗って大阪駅や天王寺駅に向かう際は、別途運賃が必要となります。

東京都区内、山手線内、大阪市内など、きっぷに表示されている範囲ならどこからでも乗り降りできますが、その範囲内で改札口を出てしまったら、きっぷは無効になる、ということです。

なお、JRの長距離きっぷ(101キロ以上の乗車券)は、特定都区市内駅以外では、原則として途中下車が認められています。東京都区内~大阪市内の乗車券を持っていれば、名古屋駅で途中下車することは可能です。これはこれで注意点もあるのですが、長くなるので省略します。

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全国の市内駅エリア

では、全国の「市内」エリアをご紹介しましょう。各市内駅、都区内駅の範囲は、以下の通りです。

札幌市内駅図

仙台市内駅図

東京都区内・山手線内

横浜市内駅図

名古屋市内駅図

京都市内駅図

大阪市内駅図

神戸市内駅図

広島市内駅図

北九州市内駅図

福岡市内駅図
画像はすべてJR東日本ウェブサイトより

これらのエリアでは、すべて同じルールが適用されます。「大阪市内」も「京都市内」も、ルールは同じです。

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「特定都区市内駅」の例外駅

都区市内にある駅は、原則として「特定都区市内駅」に含まれていますが、例外がいくつかあります。

上図にも示されていますが、神戸市北区にある道場駅は「神戸市内駅」に含まれません。福岡市西部の姪浜駅~周船寺駅間は「福岡市内駅」に含まれません。

いっぽう、南吹田駅、高井田中央駅~衣摺加美北駅は、大阪市内にありませんが「大阪市内駅」に含まれます。また、海田市駅、向洋駅は広島市内にはありませんが「広島市内駅」に含まれます。

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神戸市内駅発着で新神戸駅を利用する方法

神戸市内駅着のきっぷで新幹線を利用して新神戸駅から在来線へ乗り換える場合は、新神戸駅の乗り換え専用自動改札機(黄色の改札機)を通過すれば、きっぷが回収されずに出てきます。それを三ノ宮駅のJR神戸線の自動改札口に通すと、そのままJR神戸線(在来線)の神戸市内の各駅まで乗車できます。

神戸市内のJR神戸線(在来線)各駅から乗車し、新神戸駅で新幹線に乗り換える場合については、三ノ宮駅の自動改札機に乗車券を通せば、そのまま出てきますので、受け取って通過します。心配な場合は、有人改札で新幹線に乗り換える旨を伝えても通過できます。そのきっぷで新神戸駅の新幹線改札口もそのまま通れます。なお、三ノ宮駅に乗り換え専用の改札機はありません。

この特例は、新神戸駅と三ノ宮駅のほか、元町、神戸、新長田の各駅にも適用されます。いずれも、市内駅で改札口を出ることになりますが、「途中下車」とみなされません。当日中に乗り継ぐ場合限定です。また、三宮~新神戸間の地下鉄運賃は別途必要です。(鎌倉淳)

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