「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第18弾 石巻~盛岡を検証する【2】ファインプレーも凡ミスもなく 

決断力早いけれど、間違っていること多い

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「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第18弾 石巻~盛岡を分析する【1】

バスVS鉄道第18弾
Ⓒテレビ東京

「バスVS鉄道乗り継ぎ対決旅」第18弾のルート検証、ここからは鉄道チームの検証です。

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鉄道チームの検証

あらためて、鉄道チームの実際ルートを再掲しておきます。

▽1日目
石巻駅10:36→11:11小牛田駅11:35→11:54新田駅→タクシー1,050円+徒歩、計9.5km→13:42割烹 若鮨☆15:47→徒歩8.3km→17:14新田駅17:54→18:21一ノ関駅19:36→20:59気仙沼駅22:00→徒歩+タクシー5,650円、計19km→23:41陸前高田

▽2日目
陸前高田06:10→徒歩9.3km→08:38大船渡温泉★→大船渡丸清食堂10:15→徒歩4.2km→11:02盛駅11:08→12:01釜石駅12:09→13:41岩根橋駅→タクシー6.3km、2,410円→13:58よねたや☆15:29→タクシー1,710円+徒歩、計6.3km→岩根橋駅17:33→18:02花巻駅18:14→18:57盛岡駅→タクシー2.0km、1,100円+徒歩1.5km→19:20盛岡八幡宮

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新田駅17時07分発に乗れていたら

鉄道チームは石巻駅10時36分の列車で出発し、石巻線と東北線を乗り継いで新田駅に至り、第1チェックポイントまで歩きました。途中、道を間違えてタクシーを使う局面もありましたが、先着ボーナスを得られたので、「軽傷」で済んだというところでしょう。

ただ、帰路で新田駅で17時07分発の列車を、数分の差で乗り逃してしまいました。もし、この列車に乗れていたらどうなっていたでしょうか。

▽1日目
新田駅17:07→17:34一ノ関17:54→19:17気仙沼

気仙沼駅到着が19時17分です。バスチームの到着が、時刻表上で19時23分でしたので、先着ボーナスは僅差で鉄道チームのものとなります。

これは結構重要で、この先着ボーナスを鉄道チームが得られれば、バスチームはタクシー代の総額が実際より1,000円減ってしまいます。すると、先に説明した日詰17時07分発に乗るのは、停留所の位置を知っていたとしても不可能になります。つまり、バスチームの早着の芽を潰すことになるわけで、鉄道チーム勝利の可能性がぐっと高まります。

仮に、今回、バスチームが日詰で見事な乗り継ぎを見せ、鉄道チームが敗北していたら、新田の乗り逃しが大きなポイントになるところでした。ひいては新田駅からの道迷いが響いた、という話になっていたかもしれません。

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一ノ関へ戻っていたら

実際ルートに戻ります。

鉄道チームの大きなポイントは、1日目、気仙沼駅のミッションを終了後、徒歩とタクシーで陸前高田を目指したことでしょう。

選択肢としては、気仙沼に泊まり、翌朝、一ノ関まで戻って大回りをするルートもあります。このルートを選択していたら、どうなっていたでしょうか。

▽2日目
気仙沼駅06:01→07:32一ノ関駅07:50→08:39花巻駅09:15→10:52釜石駅11:38→12:28盛駅→7km→大船渡温泉★→7km→盛駅15:20→16:11釜石駅17:44→19:17宮守駅

気仙沼駅を始発列車で出たとしても、一ノ関や花巻を経由していたら、盛到着は12時28分になってしまいます。折り返しの列車は13時00分で、その次が15時20分です。13時発にはまず間に合わないので、15時20分発となると、宮守着19時17分。この時点で、バスチームはゴール間近なので、鉄道チームに勝ち目はありません。

すなわち、一ノ関ルートはお話にならない、ということです。鬼軍曹が陸前高田経由で大船渡に向かったことは正しかったといえます。

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気仙沼~大船渡のルート

では、気仙沼に宿泊していたらどうなっていたでしょうか。

気仙沼駅から大船渡温泉駅までは30km近くあり、徒歩だけでは乗り切れません。そのため、早朝に気仙沼を出発しても、タクシーと徒歩を組み合わせるという点では、実際ルートと変わらないでしょう。

ただ、実際ルートでは、タクシーを22時以降に使用していて、深夜料金がかかっていたはずです。早朝5時以降に利用すれば深夜料金はかかりませんので、より長くタクシーを利用することができたかもしれません。

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第4CPでタクシーがすぐに来ていたら

実際ルートに戻ります。

2日目、鉄道チームは大船渡でのミッションを終了後、盛駅11時08分発の列車で出発し、釜石を経て13時41分に岩根橋駅に到着しました。9時にスタートする大船渡でのミッションを終えた後、これより早い時間帯の列車に乗ることはほぼ不可能なので、事実上、最速ルートで岩根橋駅に到着したことになります。

岩根橋からは予約していたタクシーを使って第4チェックポイントのよねたやに向かいました。

ミッション終了後、鬼軍曹は宮守駅を15時37分に出る快速列車を狙います。しかし、タクシーが来るのが遅くなったこともあり、失敗。約2時間後の普通列車で盛岡へ向かいました。

仮に、この快速に乗れていたら、どうなっていたでしょうか。

▽2日目
宮守駅15:37→(快速はまゆり6号)→16:39盛岡駅→徒歩2.7km→17:10盛岡八幡宮

このように、17時すぎには盛岡八幡宮に到着します。バスチームに大差をつけて勝利できていたことでしょう。

ただ、結果的には、快速に乗れなくても勝利できましたので、この乗り逃しは影響しませんでした。

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最終局面比較

ここで、最終局面の乗り継ぎを、バスチームと鉄道チームで整理してみます。ゴール時間帯別に「S」「A」「B」「C」「D」と分類しています。

▽バスチーム
S 達曽部15:20→16:38盛岡バスセンター
B 長岡支所前17:05→17:33八幡宮前
B 日詰17:07→17:39南大通二丁目
C 長岡支所前18:05→18:33八幡宮前
D 日詰18:37→19:09南大通二丁目
※盛岡バスセンター、八幡宮前、南大通二丁目から八幡宮は1km以内

▽鉄道チーム
X 宮守駅13:36→岩根橋駅13:41→14;10花巻駅14:35→15:14盛岡駅
A 宮守駅15:37→16:39盛岡駅
D 宮守駅17:29→岩根橋駅17:33→18:02花巻駅18:14→18:57盛岡駅
※盛岡駅~八幡宮は約3.5km

鉄道チームの「X」を実現するには、盛駅10時03分発の列車に乗り、宮守駅に12時41分に到着後、約1時間でミッションを終えて宮守駅に戻ってくる必要があります。現実的には無理なので、参考にとどめてください。

バスチームの「S」は、住田町のコミュニティバスを駆使した乗り継ぎで、時刻表上は実現可能ですが、現実論としては無理でしょう。

現実解(A以下)で最善を尽くした場合で見てみると、実現可能な最善手は鉄道チームが「A」で、八幡宮に17時前後の到着です。バスチームは「B」で、八幡宮に17時40分ごろの到着になりそうです。

つまり、現実的な範囲で最善を尽くした場合、勝利するのは鉄道チームなので、鉄道チームが本質的に有利な設定になっていたことになります。

ただ、鉄道チームは「A」を逃すと、「D」までゴールできません。それに対して、バスは「B」を逃しても、「C」があり、「D」でも鉄道チームと互角です。そう考えると、一方的に鉄道チームが有利とも言いがたく、バランスの取れた設定だったといえそうです。

現実には、両チームとも「D」となり、僅差で鉄道チームが勝利したことは、これまで記してきた通りです。

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まとめてみると

全体を振り返って見ると、バスチームに「敗因」と呼べるほどの凡ミスはなく、鉄道チームに「勝因」と呼べるほどの華麗なファインプレーがあったわけではありません。

そもそもの話として、ルート設定が両チームとも一本道に近く、選択の余地に乏しかったといえます。

そのなかで、勝敗を決めたポイントを挙げるとすれば、鉄道チームが最終局面でタクシー代をきちんと残しておいたことでしょうか。盛岡駅からタクシーに2km程度乗ったうえで9分差という結果をかんがみれば、最終局面で残金がなければ、勝敗は逆だった可能性もあります。

そのタクシー代をどこでひねり出したかといえば、第4チェックポイントからの岩根橋駅へ向かった場面です。宮守駅発の快速に乗るのは無理と早めに見切り、タクシー代の温存に努めたことが、大きな意味を持ったことになります。

これで、鉄道チームが3連勝となり、戦績を10勝8敗としました。次回も楽しみです。(鎌倉淳)

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