「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」の第12弾が放送されました。太川陽介率いるバスチームと、村井美樹率いる鉄道チームが、愛媛・道後温泉~岡山・後楽園で競う企画です。勝負を分析してみました。
なお、以下はネタバレ100%です。また、記事公開後に加筆・修正することがあります。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)
酒井美紀、福田沙紀が参加
「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」は、ローカル路線バスを乗り継ぐチームと、ローカル鉄道を乗り継ぐチームが対決するテレビ番組です。
2022年8月24日に放送された第12弾では、「ルイルイ」こと太川陽介率いるバスチームと、「鬼軍曹」こと村井美樹率いる鉄道チームが、愛媛県松山市・道後温泉~岡山県岡山市・後楽園で乗り継ぎ対決しました。
途中のチェックポイントは、よしうみいきいき館(今治市)、しまなみロマン(瀬戸田町)、ホテル鴎風亭(福山市)、鷲羽山ハイランド(倉敷市)の4箇所です。
バスチームのメンバーは、太川陽介、酒井美紀、土佐有輝(土佐兄弟)。鉄道チームのメンバーは村井美樹、福田沙紀、山本博(ロバート)です。
バスチームが使っていいのはローカル路線バスのみ。鉄道チームが使っていいのはローカル鉄道のみです。ただし、両者とも1万円までタクシーと船、レンタサイクルが利用できます。
ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 バスvs鉄道 第12弾 真夏のしまなみ海道攻略SP
【出演】太川陽介、酒井美紀、土佐有輝(土佐兄弟)、村井美樹、福田沙紀、山本博(ロバート)
【放送日】2022年8月24日(水) 18時25分~21時54分(テレビ東京系列)
バスチームの実際ルート
まずは、ルイルイ率いるバスチームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻をわかる範囲で確認しました。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogleマップにより測定しています。☆はチェックポイントです。船賃は3人の合計です。
▽1日目
公園北口子規記念館前 09:14→10:32今治県病院10:55→11:01高部→徒歩8.2km→12:30道の駅よしうみ☆→徒歩0.3km→下田水港13:44→14:44友浦/友浦港15:00→船2,310円→15:33岩城港/岩城港務所15:36→15:38小漕港16:00→船450円→16:05洲江港→徒歩0.2km→16:10江尻16:48→17:09瀬戸田港→しまなみロマン☆→瀬戸田港18:25→18:46赤崎/赤崎港18:50→船240円→18:54金山港/金山19:28→19:46大橋入口→徒歩5.2km→尾道しまなみゲストハウス
▽2日目
尾道しまなみゲストハウス→送迎10.5km→尾道駅06:45→07:13尾道工業団地07:20→07:51松永駅前/松永駅南口07:55→08:18沼隈支所08:53→09:02阿伏兎→徒歩4.4km→10:10鴎風亭☆→鞆の浦10:50→11:22福山駅前11:50→12:12伊勢丘三丁目→タクシー15km、4,980円+徒歩2.3km→寄島総合支所前13:28→14:00玉島中央町→タクシー5km、1,920円→西之浦浄水場前14:12→14:27観音堂14:35→15:12JR児島駅前15:30→15:40鷲羽山ハイランド遊園地前☆16:40→17:08JR児島駅南/JR児島駅前17:18→17:43王子ヶ岳登山口17:45→18:07宇野駅前18:22→19:20天満屋バスセンター→徒歩1km→後楽園
岡山市中心部の天満屋バスセンターに到着したのが19時20分。そこから1kmほど離れた後楽園まで歩いて、ゴールは19時40分頃でした。
※Googleマップは概略です。
鉄道チームの実際ルート
つぎに、鬼軍曹率いる鉄道チームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻を示しています。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogleマップにより測定しています。
▽1日目
道後温泉08:45→09:12JR松山駅前/松山駅09:36→10:40波止浜駅→徒歩2km→糸山サイクルターミナル→自転車6.7km→道の駅よしうみ☆→自転車30.4km→17:10しまなみロマン☆(2,000円獲得、18:20ミッション開始)→瀬戸田港19:00→船2,520円→19:25三原港→徒歩0.3km→三原駅20:05→20:09糸崎駅20:12→20:44福山駅→徒歩2.4km→22:10ホテルルートイン福山
▽2日目
ホテルルートイン福山→徒歩10.4km→鴎風亭11:30→徒歩12.8km→福山駅14:31→15:31岡山駅15:42→16:05児島駅→徒歩3.5km→鷲羽山ハイランド(時間切れ未着)
鷲羽山ハイランド入場のタイムリミットは17時。あと500mというところで届かず、無念の途中リタイアとなりました。
ということで、第12弾はバスチームの勝利で終わりました。例によって、両チームのとったルートについて検証してみましょう。
大島へ船を使ったら
最初にバスチームの検討です。ルイルイ一行は、道後温泉近くのバス停から今治方面行きに乗り、今治市内から徒歩で来島海峡大橋を渡りました。
今治から大島へは船という方法もあります。仮に船を使っていたらどうなっていたでしょうか。
▽1日目
公園北口子規記念館前 09:14→10:21今治桟橋/今治港12:40→13:00友浦港/友浦13:30→14:00下田水港→徒歩0.3km→道の駅よしうみ
今治からの船の時間が合わず、第1チェックポイントの道の駅よしうみに到着するのは14時過ぎになります。実際ルートより1時間半も遅くなるわけで、バスチームが今治から歩いて大島に渡った判断は正しかったことになります。
船を使わず生口島に向かったら
第1チェックポイントでのミッションを終えたバスチームは、友浦港から船で岩城島に渡ります。岩城島北部の小漕港からはフェリーで海を渡り、生口島に到達。さらに、バスで瀬戸田港(しまなみロマン)に至ります。この区間を、仮に船を使わないで進むとどのようになるのでしょうか。
▽1日目
道の駅よしうみ☆→徒歩0.3km→下田水港13:44→14:06宮窪桟橋→徒歩10km→出口16:36→16:46上浦芸術会館→徒歩3.3km→早瀬17:33→18:06瀬戸田港→しまなみロマン☆
船を使わないと、道の駅よしうみからしまなみロマンまで、途中13km以上を歩くことになります。それでいて到着時刻は実際ルートより1時間ほど遅くなります。
船賃2,760円を節約できますが、これだけ歩くとなると、それに見合うとはいえません。すなわち、船を駆使したルイルイのルート選択は正しかったようです。
宿ワープを使わなかったら
第2チェックポイントのミッションを終えた後、一行はバスで赤崎に向かい、船で因島の金山港に渡ります。因島をバスで縦走した後、徒歩で因島大橋を渡り、そのまま尾道しまなみゲストハウスに到着しました。
翌朝は、ゲストハウスの宿送迎で尾道駅までワープしました。宿送迎ワープは、バスVS鉄道旅ではこれまでにも使われてきた手法ですが、今回は、とくに効果的な区間で用いたように感じられます。
もちろん、送迎がなくても、乗りつなぐことは可能でした。送迎ワープを使わない場合は、以下のようになります。
▽2日目
尾道しまなみゲストハウス→徒歩4.4km→兼吉→渡船300円→土堂→徒歩0.8km→尾道駅06:45→07:13尾道工業団地
このように、早朝、徒歩と渡船で尾道駅に向かうことになります。渡船は午前6時から運航していますので、上記の乗り継ぎは不可能ではありませんが、ゲストハウスを5時頃に出る必要がありました。
また、渡船で300円を使ってしまうと、倉敷市内でタクシー代が若干足りなくなり、終盤の華麗な乗り継ぎが実現できなかった可能性もあるでしょう。
つまるところ、1日目のバスチームのルート選択にミスはなく、ルイルイは宿送迎も含めて完璧だったように感じられます。
松永~福山ルート
2日目、バスチームは尾道駅を6時45分に出発。松永から南下して、沼隈支所を経て阿伏兎に至ります。ここから4kmあまりを歩いて鞆の浦の第3チェックポイント、鴎風亭に到着しました。
鴎風亭の到着時刻は10時すぎ。ミッション開始も10時からなので文句のない時間ですが、4kmの徒歩を避ける方法はなかったのでしょうか。
調べてみると、以下のルートが見つかりました。
▽2日目
松永駅前08:51→09:16福山駅前09:20→09:50鞆の浦
松永駅から福山駅行きバスに乗り、終点で乗り換えれば鞆の浦に10時前に到着できます。福山駅での乗り換え時間が短いですが、福山→鞆の浦間は20分間隔でバスが走っていますので、乗り遅れても大きな問題はありません。
つまり、松永~鞆の浦間に関しては、バスで福山駅を経由すれば、4kmも歩かずに済んだうえに、実際ルートより早く着けたかもしれない、ということです。
鞆の浦を早く出られたら
今回のバスチームの乗り継ぎで、最も難関といえるのが、鞆の浦から鷲羽山でしょう。「ローカル路線バスの旅第24弾」でも苦戦した区間ですが、このときは、乗時から寄島総合支所間の山道を歩きました。
その記憶があったようで、今回のルイルイは惜しまずタクシー代を投入します。福山からバスとタクシーで寄島総合支所に至り、新倉敷行きのバスに乗車。それを玉島中央で降り、タクシーとバスをつないで15時40分に鷲羽山ハイランドに到着しました。
この乗り継ぎは華麗で、突っ込みどころはなさそうです。ただ、前述の松永~鞆の浦間で福山経由のバスを使っていたら、第3チェックポイントに少し早く到着することができていた可能性があります。結果として、ミッション終了が早まれば、鞆の浦を1本(20分)早いバスで出られたかもしれません。その場合、以下のような乗り継ぎが可能になります。
▽2日目
鞆の浦10:30→11:00福山駅前11:10→12:03笠岡駅前→タクシー10.5km、3,520円→寄島総合支所13:28→14:00玉島中央町
鞆の浦を20分早いバスに乗れば、福山駅から笠岡駅行きのバスに乗ることができます。これで笠岡駅まで行けば、寄島総合支所前までのタクシー代を1,400円程度、節約できます。
児島~岡山直行バス
上記の乗り継ぎでも、寄島総合支所前から乗るバスは同じ時刻ですが、1,400円のタクシー代が残っていれば、最終局面で、以下のように乗り継げたかもしれません。
▽2日目
鷲羽山ハイランド遊園地前☆16:30→タクシー3.5km、1,280円→JR児島駅前16:46→18:34天満屋バスセンター→徒歩1km→後楽園
JR児島駅から岡山市内に直通するバスが16時46分にあります。鷲羽山ハイランドを16時30分くらいに出て、残っていたタクシー代をつぎ込めば、この直通バスに間に合った可能性がある、というわけです。
その場合、ゴール最寄りの天満屋バスセンターには実際ルートより45分ほど早く着くことができ、最終的に18時50分頃にゴールできていました。おそらくは、これがバスチームの最速解と思われます。
理想解と最適解
まとめてみると、松永駅から沼隈支所に下らずに、福山駅経由で鞆の浦に行けば20分ほど早く第3チェックポイントに到着でき、その時間を活かして鞆の浦を10時30分に出るバスに乗れたと仮定すれば、福山発笠岡行きのバスに間に合い、タクシー乗車距離を減らすことができ、浮いたタクシー代を鷲羽山から児島でつぎ込めば、18時50分頃にゴールできていた可能性がある、ということです。
もちろん、現実はミッションの所要時間によって左右されます。20分早く着いても、鞆の浦のミッション開始は10時ですので、10時半のバスに乗れたかは定かではありません。
また、バスチームの最後の鷲羽山のミッションの様子を見ると、仮にタクシー代を最後に余らせていたとしても、岡山直通バスに乗れていたかは微妙です。
すなわち、18時50分ゴールは、あらゆる条件が整った「理想解」にとどまります。バスチームが理想解を実現できなかったことをミスというわけにはいかない気がします。
18時50分にゴールできなければ、19時40分のゴールが次善です。すなわち、実際ルートでの19時40分ゴールが、現実的な最適解だったように感じられます。
玉島中央で降りなかったら
これより遅いゴールとなっていた可能性についても検討してみましょう。寄島総合支所からのバスを玉島中央町で降りず、新倉敷駅まで乗った場合です。次のような乗り継ぎになります。
▽2日目
寄島総合支所前13:28→14:11新倉敷駅14:30→14:39霞丘小学校入口15:11→15:27観音堂15:40→16:17JR児島駅前16:30→16:40鷲羽山ハイランド遊園地前☆17:40→タクシー3.5km、1,280円→JR児島駅南/JR児島駅前18:10→18:35王子ヶ岳登山口18:38→18:42日比製煉西門前18:51→19:57天満屋バスセンター→徒歩1km→後楽園
鷲羽山ハイランド到着時刻が1時間後ろだおしになります。玉島中央で使わなかったタクシー代を、鷲羽山から児島駅で投入したとしても、最終的に後楽園ゴールは20時15分頃になっていたでしょう。
つまり、バスチームの後楽園着は、18時50分(理想解)、19時40分(最適解)、20時15分(遅延解)の3パターンがあり、ルイルイは最適解でゴールしたと言えそうです。