「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」の第10弾が放送されました。太川陽介率いるバスチームと、村井美樹率いる鉄道チームが、姫路城~天橋立で競う企画です。勝負を分析してみました。
なお、以下はネタバレ100%です。また、記事公開後に加筆・修正することがあります。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)
藤原紀香が参加
「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」は、ローカル路線バスを乗り継ぐチームと、ローカル鉄道を乗り継ぐチームが対決するテレビ番組です。
2022年1月3日に放送された第10弾では、「ルイルイ」こと太川陽介率いるバスチームと、「鬼軍曹」こと村井美樹率いる鉄道チームが、兵庫県姫路市・姫路城~京都府宮津市・天橋立で乗り継ぎ対決しました。
途中のチェックポイントは、姫路セントラルパーク、植村直己冒険館、城崎温泉御所の湯、いろり処ふなや浮島、そば一の5箇所です。
バスチームのメンバーは、太川陽介、藤原紀香、山根良顕(アンガールズ)の3人。鉄道チームのメンバーは、村井美樹、前園真聖、クロちゃん(安田大サーカス)の3人です。
バスチームが使っていいのはローカル路線バスのみ。鉄道チームが使っていいのはローカル鉄道のみです。ただし、両者とも1万円までタクシーが利用できます。
ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 バスvs鉄道 第10弾 藤原紀香も参戦SP
【出演】太川陽介、藤原紀香、山根良顕(アンガールズ)、村井美樹、前園真聖、クロちゃん(安田大サーカス)
【放送日】2022年1月3日(月) 17時55分~22時00分(テレビ東京系列)
バスチームの実際ルート
まずは、ルイルイ率いるバスチームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻をわかる範囲で確認しました。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogleマップにより測定しています。*はチェックポイントです。
▽1日目
姫路城大手門前08:39→08:59清水→徒歩3.3km→姫路セントラルパーク*→徒歩4.7km→仁豊野11:47→12:17福崎駅前→タクシー13.1km、4,650円→神崎総合病院13:26→13:48生野駅裏/生野駅西口13:50→14:47和田山駅15:42→16:17八鹿駅16:18→16:32江原河畔劇場/江原駅17:00→17:11植村冒険館前*18:05→18:18→江原駅/江原河畔劇場20:08→21:53城崎温泉駅
▽2日目
城崎温泉・御所の湯*→徒歩0.3km→城崎温泉駅08:02→08:25三原→徒歩5.7km→ふなや浮島*→湊小橋11:28→11:52久美浜駅12:12→12:42尉ケ畑→タクシー6.7km、2,570円→モンゴル博物館前13:12→13:26南尾→そば一*→南尾15:40→16:01中藤→タクシー7.9km、2,660円→四辻17:07→17:43天橋立ケーブル下
ゴール地点は天橋立ケーブル乗り場のようだったので、バス停から数分で着けます。そのため、バスチームのゴールは17時45分頃のようでした。
Googleマップは概略です。実際のルートを正確に表示しているわけではありません。
鉄道チームの実際ルート
つぎに、鬼軍曹率いる鉄道チームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻を示しています。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogleマップにより測定しています。
▽1日目
京口09:26→09:35仁豊野→徒歩5.7km→10:42姫路セントラルパーク*11:50頃→徒歩5.5km→仁豊野13:07→13:40寺前14:35→15:29和田山15:48→16:06江原→徒歩4.3km→17:00頃 植村直己冒険館*18:00頃→徒歩4.3km→18:40頃 江原18:44→19:13城崎温泉19:41→19:53豊岡
▽2日目
豊岡05:45→05:56城崎温泉→徒歩0.3km→御所の湯*→徒歩0.3km→城崎温泉07:06→07:19豊岡07:30→07:53小天橋08:40→徒歩3.5km→09:30頃 ふなや浮島*10:30頃→徒歩3.5km→小天橋11:12→11:36豊岡→タクシー19.4km、6,050円→合橋小学校前→徒歩0.6km→12:35頃 そば一*13:50頃→徒歩7.8km→モンゴル博物館15:30頃→タクシー10.7km、3,930円→ちりめん歴史館付近→徒歩5.1km→17:00頃 与謝野17:40→17:49天橋立→徒歩3.7km→18:30頃 天橋立ケーブル下
鉄道チームは、ゴール最寄りの天橋立駅に17時49分に到着。そこから3.7kmを急ぎ、ゴール時刻は18時30分頃のようでした。バスチームより40分程度遅くなり、惜しくも敗れました。
ということで、第10弾はバスチームの勝利で終わりました。例によって、両者のとったルートについて、検証してみましょう。
直通バスを待っていたら
まずは、バスチームの検証です。
冒頭、バスチームは姫路城大手門のバス停で最初のチェックポイントである姫路セントラルパークへの直行バスを見つけました。しかし、発車時刻が遅いので、セントラルパーク近くを通る早発のバスに乗車して、先を急ぎました。仮に、直行バスを待っていたらどうなっていたでしょうか。
▽1日目
姫路城大手門前09:34→10:05姫路セントラルパーク→徒歩4.7km→仁豊野11:47→12:17福崎駅前
姫路セントラルパークの到着が、実際ルートより30分ほど遅くなります。ただ、ミッション終了後、仁豊野11時47分発のバスに乗るとして、パークでの滞在時間を1時間ほど確保できます。ミッション遂行には十分な時間があるので、直行バスを待つという判断もありだったでしょう。
直行バスを使っていれば、3kmあまりの徒歩を省略できましたし、姫路駅に立ち寄って情報収集をする時間も確保できたに違いありません。ただ、その後の乗り継ぎは同じなので、大勢に影響を及ぼすことはありませんでした。
福崎からバスはなかったか
次のポイントは、福崎駅からの北上ルートです。福崎駅から先に行くバスが見当たらず、案内所で聞き込んだところ、神崎総合病院まで行けば北上するバスがあるという情報を得ます。そこで、タクシーに13.1km乗車、4,650円を投じました。
この間に、他のルートはなかったのでしょうか。実は、ロケ日が月・火・木・金であれば、約4km先の甘地駅からコミュニティバスで乗り継ぐことが可能です。
▽1日目
12:17福崎駅前→徒歩4.0km→甘地駅15:07→15:39神崎総合病院15:46→16:08生野駅裏→タクシー7.4km→山口17:39→19:00八鹿駅19:07→19:21江原河畔劇場
甘地駅まで行けばバスがあるものの、発車まで2時間程度待つことになります。その結果、生野駅から先のバスに乗り継げず、タクシーを使ったとしても江原に到着するのは19時以降。これでは植村直己冒険館の閉館に間に合わず、ミッションが翌日になってしまうかもしれません。
ちなみに、福崎駅からタクシーを使わずに神崎総合病院まで13kmを歩いた場合も上記のルートに収斂します。要するに、福崎駅からタクシーに乗って先を急いだことは正解でした。
新野駅からのバス
実際ルートでタクシーを飛ばした神崎総合病院よりも手前で、別のバスに乗る方法もありました。
▽1日目
12:17福崎駅前→タクシー10.8km→新野駅12:46→12:54神崎総合病院13:26→13:48生野駅裏
このように、新野駅12時46分発のバスに乗れれば、タクシーの利用を少し減らすことができました。ただ、福崎駅での情報収集の時間を勘案すれば、新野駅12時46分発には間に合わないかもしれません。
そもそも、案内所で聞き込んだ結果として神崎総合病院から先のバスの情報を得たわけですから、神崎総合病院までタクシーに乗ったのは、ルイルイとしては万全を尽くした結果だったといえます。
1日目は、福崎駅~神崎総合病院間以外では、判断に迷うような乗り継ぎはありませんでした。江原河畔劇場からは予約制高速バスの下道を利用しましたが、「ローカル路線バスの旅Z」と異なり、「バスVS鉄道対決旅」では、当日予約できる予約制バスの利用は認容されています。
2日目の乗り継ぎ
2日目、バスチームは城崎温泉駅08時02分発のバスで三原に向かい、山間部を5kmほど歩き、小天橋にある「ふなや浮島」に到着しました。この三原行きのバスを見つけ、タクシー代を温存できたことが、後に効いてきます。城崎温泉~小天橋は約13kmあり、ここでタクシー代を使っていたら、最終盤の中藤~四辻で歩かなければならなかったからです。
「ふなや浮島」でのかにミッションを手早く済ませたバスチームは、湊小橋から久美浜駅行きのバスに乗り、さらに尉ケ畑行きに乗り継ぎます。バス終点に待たせていたタクシーで山を越え、モンゴル博物館から豊岡方面行きのバスを拾って最終チェックポイントの「そば一」に至る道筋で、この乗り継ぎも見事です。
城崎温泉に戻ったら
「ふなや浮島」から久美浜駅へのバスへ乗るときには、先の見通しはありませんでした。いわばえいやで乗ってしまったわけですが、手堅く次のチェックポイントを目指すなら、タクシーで城崎温泉に戻るという選択肢も考えられます。
▽2日目
ふなや浮島→タクシー13.2km→城崎温泉駅12:00→12:17豊田町(豊岡)12:58→13:45南尾→そば一
実際ルートより、南尾到着が20分ほど遅くなります。そしてふなや浮島~城崎温泉でタクシーを使うと、最終局面の中藤~四辻間のタクシー代が不足する事態に陥ります。その場合、バスチームは敗北する結果に終わったでしょう。
南尾を早く出られたら
バスチームで気になった点があったとすれば、「そば一」から中藤方面へ向かう際、ルイルイが南尾バス停で時刻表を見間違えていたことでしょうか。14時10分発と勘違いしていたバスは反対方向で、順方向の一本早い便は13時45分でした。これに乗れていたらどうなっていたでしょうか。
▽2日目
南尾13:45→14:06中藤→タクシー7.9km→四辻14:54→15:30天橋立ケーブル下
実際ルートと同じように乗り継いだとして、天橋立ケーブル下に15時30分に到着して圧勝できます。
ただ、実際ルートのバスチームの南尾到着は時刻表上で13時26分です。13時45分発のバスに乗るには、19分間でバス停からそば屋に移動し、ミッションを完了してバス停に戻らなければならず、まず無理でしょう。
したがって、南尾13時45分発に乗るというプランは、現実的には不可能な乗り継ぎだったと思われます。つまり、南尾バス停の時刻表の見間違いは、大勢に影響を及ぼしませんでした。
南尾を早発する方法
ただし、南尾13時45分発に乗れる方法が存在しないわけではありません。可能性があったとすれば、尉ケ畑から直接「そば一」にタクシーで乗り付けた場合でしょう。以下のようになります。
▽2日目
久美浜駅12:12→12:42尉ケ畑→タクシー12.3km→そば一→南尾13:45→14:06中藤→徒歩7.9km→四辻16:08→16:44天橋立ケーブル下
「そば一」に13時10分頃に到着し、ミッションを30分で片づければ、南尾を1本早いバスに乗ることは不可能ではなさそうです。
ただ、その場合、中藤から四辻に至る峠越えに使うタクシー代がなくなります。それでも、7.9kmの峠道を約2時間で越えられれば、実際ルートより1本早いバスで天橋立ケーブル下に着くことができます。
実際には、悪天候と藤原紀香の足の具合を考慮すると、この乗り継ぎを実現することはできなかったでしょう。30分でクリアするにはミッションでの幸運も必要です。天候、メンバーの脚力、運の三拍子が揃えば可能性があったといえるので、「理想解」としては成立するかもしれません。
全体としてバスチームの乗り継ぎを振り返ると、福崎駅からのタクシー、城崎駅から三原へのバス、尉ケ畑や中藤へのタクシー手配と、全ての選択と段取りが完璧でした。
要するに、今回のルイルイはノーミスで、最適解をたどったといえそうです。