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太川蛭子の旅バラ「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決」を分析する。ルイルイのファインプレーが光ったが

「太川蛭子の旅バラ」で、「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決」が放送されました。バスチームと鉄道チームが盛岡~八甲田山間で競う企画です。勝負を分析してみました。

なお、以下はネタバレ100%です。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)

バス・鉄道とタクシーの旅

「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決」は、テレビ東京系のレギュラー番組「太川蛭子の旅バラ」の企画です。ローカル路線バスを乗り継ぐチームと、ローカル鉄道を乗り継ぐチームが対決します。

バスチームは、おなじみルイルイこと太川陽介と蛭子能収のコンビにマドンナ・南明奈を加えた3人。鉄道チームは、鉄道ファンとして知られる村井美樹をリーダーに、スギちゃん、西野未姫を加えた3人です。

バスチームが使っていいのはローカル路線バスのみ。鉄道チームが使っていいのはローカル鉄道のみです。ただし、両者とも1万円までタクシーが利用できます。

「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決」のスタートは岩手県の盛岡駅で、ゴールは青森県の八甲田ロープウェー乗り場。途中、八幡平ハイツと八食センター(八戸)という2箇所のチェックポイントを経て、1泊2日でのゴールを目指します。先にゴールしたチームが勝ちとなります。

太川蛭子の旅バラ「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決」
画像:テレビ東京

太川蛭子の旅バラ2時間SP バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅 盛岡~八甲田山
【出演】太川陽介、蛭子能収、南明奈、村井美樹、スギちゃん、西野未姫
【放送日】2019年11月13日(テレビ東京系列)

バスチームの実際ルート

まずは、ルイルイ一行によるバスチームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻を示しています。

▽1日目
盛岡駅東口10:42→12:08八幡平ハイツ13:36→14:32巣子ニュータウン入口→徒歩1.2km→家畜保健所14:53→15:31いわて沼宮内駅前16:02→16:54葛巻17:40→18:21伊保内営業所19:00→19:37二戸駅前→タクシー約8.6km(3,020円)→金田一温泉(きたぐに旅館)

▽2日目
金田一温泉→タクシー約16.3km(5,580円)→軽米大町07:07→08:01三日町/六日町08:15→08:40八戸駅08:55→09:07八食センター10:00頃→タクシー約3.7km(1,390円)→10:10頃八戸駅10:20→11:23十和田市中央11:26→12:15焼山13:56→15:03ロープウェイ駅前


※グーグルマップ上のルートは概略です。一行がたどったルートなどを正確に表示しているとは限りません(以下同)

盛岡駅まで戻っていたら

ルイルイ一行は、バスで一気に八幡平ハイツまで行き、最初のチェックポイントをクリア。入浴後すぐに折り返して、盛岡駅行きのバスで折り返します。

その車中で、ルイルイは運転手さんに聞き込んで、盛岡駅まで戻らずに沼宮内へ抜ける短絡ルートの情報を得ます。途中、巣子ニュータウン入口バス停で下車して、家畜保健所バス停まで早歩きし、いわて沼宮内行きバスを掴まえました。

ルイルイのファインプレーに思えた乗り継ぎですが、もし盛岡駅まで戻っていたらどうなっていたでしょうか。

▽1日目
盛岡駅東口10:42→12:08八幡平ハイツ13:36→14:58盛岡駅前15:10→16:54葛巻

このように、盛岡駅での一度の乗り換えだけで、徒歩もなく葛巻に到着できます。葛巻到着時刻は実際ルートと同じです。

というのも、一行が実際にいわて沼宮内駅で乗車したのは、盛岡駅始発のJRバス「白樺号」ですが、このバスには盛岡駅まで戻っていてもギリギリ乗り継げるからです。ただ、上記のように盛岡駅での乗り継ぎ時間は10分程度と少ないので、現実に盛岡駅まで戻っていたら、乗れていたかは微妙です。

仮に乗り遅れたら、以下のようになっていました。

▽1日目
盛岡駅東口10:42→12:08八幡平ハイツ13:36→14:58盛岡駅前18:00→19:44葛巻

▽2日目
葛巻06:30→07:54二戸駅前09:35→10:33軽米大町13:32→14:26三日町14:45→15:02八食センター

このように、路線バスだけを使うなら八食センターに到着するのが2日目夕方になり、鉄道チームに刃が立ちません。盛岡駅前15時10分発の「白樺号」に乗り遅れたら、大きなロスとなっていたことがわかります。

実際ルートで「巣子ニュータウン入口→徒歩1.2km→家畜保健所」の乗り継ぎに失敗していても、これと同じ結果になっていました。つまり、「徒歩1.2kmの21分乗り継ぎ」か、「盛岡駅での12分乗り継ぎ」を成功させなければ、バスチームは惨敗していた可能性があったわけです。

実際には、巣子ニュータウンには7分遅れて着いたので、条件はさらに過酷でした。

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巣子乗り継ぎ

どちらも難しい乗り継ぎで、うまく乗り継いだルイルイはすごい! と思ってしまいそうですが、じつはもっと簡単にいくルートがあります。八幡平から盛岡へ向かうバスと、盛岡からの「白樺号」は、盛岡駅~巣子間で同じ道を走るので、以下のような乗り継ぎも可能です。

▽1日目
盛岡駅東口10:42→12:08八幡平ハイツ13:36→14:39巣子15:27→16:54葛巻

要するに、八幡平ハイツからのバスを巣子ニュータウン入口で降りずに、少し先の巣子まで乗っていれば、「白樺号」に余裕で乗り継げたわけです。したがって、ルイルイの巣子ニュータウン入口での下車は、残念ながら「ファインプレー」とまではいえない、という結論になってしまいます。

さらにいうと、一行がぎりぎりで沼宮内方面のバスを捕まえた家畜保健所バス停から約400mの位置に盛岡農高前というバス停があり、そこにも「白樺号」が停車します。したがって、仮に一行が家畜保健所で乗り遅れていたとしても、周辺で聞き込んで情報を得られれば、挽回は可能だったことになります。

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久慈ルート

実際ルートに戻りましょう。ルイルイ一行はいわて沼宮内駅で「久慈まで行けば八戸方面に乗り継げる」という情報を得ます。そこで乗車した久慈行きバスが「白樺号」ですが、その運転手から葛巻、九戸(伊保内)、二戸、軽米と乗り継ぐルートを教えられ、葛巻で降車します。そして19時半過ぎに二戸駅まで到着しました。

この乗り継ぎでもルイルイの聞き込みが奏功したように感じられました。一方で、沼宮内で得た情報通り、「白樺号」を葛巻で降りずに、終点の久慈まで乗っていたらどうなっていたかも気になります。

▽1日目
いわて沼宮内駅前16:02→17:55久慈駅前18:00→18:50陸中大野

▽2日目
大野06:55→07:57三日町(八戸)

このように、実際ルートとほぼ同時刻に八戸の三日町に到着できます。これを「久慈ルート」と呼びましょう。

ご記憶の方もいらっしゃると思いますが、久慈ルートは、「Zシリーズ」の第7回で、田中・羽田一行が利用した道筋です。「白樺号」の盛岡駅15時10分発というバスの時刻も同じです。田中・羽田一行は、大野の宿が満室で久慈泊まりとなりましたが、大野に泊まれると仮定した場合、ルイルイ一行の三日町への到着時刻は、上記のとおり実際ルートとほぼ同じになります。

となると、結末も実際ルートに収斂すると考えてしまいそうですが、「久慈ルート」では八戸到着時点でタクシー代を満額残している点が異なります。そのため、以下のような展開が可能です。

▽2日目
大野06:55→07:57三日町/六日町08:15→08:40八戸駅08:55→09:07八食センター10:00頃→タクシー約3.7km(1,390円)→10:10頃八戸駅10:20→11:23十和田市中央11:26→12:15焼山→タクシー約26km(概算8,470円)→ロープウェイ駅前

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バスチームが勝てた可能性

焼山の近くには奥入瀬タクシーの営業所があり、タクシーがいれば、呼ぶのにそれほど時間がかかりません。焼山から八甲田ロープウェイの26kmは、タクシー代で約8,500円。八食センター~八戸駅間のタクシー代とあわせて、ちょうど1万円程度です。

そのため、ルイルイ一行が八戸までタクシー代を温存していた場合、焼山から八甲田ロープウェイまでタクシーを使い、13時ごろにはゴールできていた可能性があります。

つまり、「久慈ルート」なら、バスチームが鉄道チームに勝てていた可能性があるわけです。

まとめると、バスチームの最善手は、以下の乗り継ぎとみられます。

▽1日目
盛岡駅東口10:42→12:08八幡平ハイツ13:36→14:39巣子15:27→17:55久慈駅前18:00→18:50陸中大野

▽2日目
大野06:55→07:57三日町/六日町08:15→08:40八戸駅08:55→09:07八食センター→タクシー約3.7km(1,390円)→八戸駅10:20→11:23十和田市中央11:26→12:15焼山→タクシー約26km(概算8,470円)→ロープウェイ駅前

二戸に宿泊できていたら

バスチームの最後の検討として、二戸に宿泊できていた場合も考えてみましょう。ルイルイ一行は二戸で宿泊しようとしたところ、ホテルが見つからずに金田一温泉までタクシーで移動しました。仮に、二戸に宿泊したらどうなっていたでしょうか。

▽2日目
二戸駅前07:05→08:03軽米大町09:02→09:56三日町/六日町→タクシー約4.8km(概算1,750円)→八食センター→タクシー約3.7km(1,390円)→八戸駅前12:30→13:33十和田市中央14:31→15:25焼山15:41→16:48ロープウェイ駅前

このように、三日町着が実際ルートより2時間ほど遅くなり、その遅れを最後まで挽回できません。

ただ、実際に二戸に一行が泊まったとしても、2日目の早朝は軽米大町までタクシーを使っていたでしょう。そのため、金田一温泉宿泊の実際ルートと、同じ結果になっていたとみられます。

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鉄道チームの実際ルート

次に、鉄道チームの村井一行を見てみましょう。まずは実際ルートです。

▽1日目
盛岡駅10:20→10:43好摩駅13:04→13:15大更駅→徒歩13.2km→八幡平ハイツ→タクシー約13km(4,460円)→大更駅18:43→18:54好摩駅19:32→20:57八戸駅→徒歩2.5km→新八温泉

新八温泉→徒歩約1km→09:00八食センター→徒歩3.3km→八戸駅11:04→12:29筒井→徒歩約1.2km→リトルパパ13:50頃→タクシー約18.5km(5,530円)→14:30頃八甲田ロープウェイ

八幡平ハイツに泊まっていたら

鉄道チームの一つ目のポイントは、八幡平ハイツで宿泊しなかったことです。1日目、八幡平ハイツの入浴もそこそこにタクシーで大更駅に向かい、乗り継いで八戸駅に至りました。大更駅近くでは、少し手前でタクシーを降り、タクシー代を節約するという緻密さです。このときに節約したタクシー代が、最後に効いてきます。

仮に、八幡平ハイツに宿泊していたら、翌日はどうなっていたでしょうか。

▽2日目
八幡平ハイツ→徒歩13.2km→大更駅09:01→09:12好摩駅09:35→10:59八戸駅

大更駅の始発列車は06時59分発ですが、この列車は好摩駅で八戸方面へ接続しません。大更駅から八戸駅へ普通列車だけで向かう場合、大更駅09時01分発が始発乗り継ぎとなります。

そのため、八幡平ハイツに宿泊した場合、大更駅まで早朝にタクシーを使う意味は小さく、13kmを歩いてタクシー代を温存するのが得策です。その代わり、八戸駅からは、タクシー代を使いまくれます。すなわち、以下のような乗り継ぎになります。

▽2日目
八幡平ハイツ→徒歩13.2km→大更駅09:01→09:12好摩駅09:35→10:59八戸駅→タクシー約3.7km(1,390円)→八食センター→タクシー約3.7km(1,390円)→八戸駅13:18→14:43筒井駅→タクシー約20.2km(概算6,340円)→八甲田ロープウェイ

この乗り継ぎでは、八戸駅から八食センターまで1時間19分で往復して食事までしなければならないですが、それを実現できれば、八甲田ロープウェイに15時半頃に到着できそうです。

ルイルイ一行が実際ルートで八甲田ロープウェイに到着したのは、時刻表上で15時02分、実際は15時25分頃なので、村井一行が八幡平ハイツに泊まっていたら、互角の勝負になっていたことでしょう。

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スギちゃんが迷わなかったら

鉄道チームの2つの目のポイントは、八食センターから八戸駅への徒歩です。

村井一行は八戸駅発10時09分の列車を狙いますが、スギちゃんが道に迷い乗り遅れました。実際に乗車したのは、11時04分発の列車です。仮に10時09分発に乗れていたら、以下のようになります。

▽2日目
八戸駅10:09→11:34筒井駅

11時半すぎに筒井駅に到着します。ここから少し歩いてタクシーを使った場合、八甲田ロープウェイには、最速で12時半頃に到着できそうです。ルイルイ一行が最善手でゴールした場合は13時すぎなので、それよりは30分程度早くゴール可能という理屈です。

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最善手なら鉄道チーム勝利

つまり、お互い最善手でゴールした場合には、鉄道チームが勝利するわけです。となると、本質的には村井一行に有利な設定だったことになります。

ただ、鉄道チームには、合計約54kmの「鉄道のない区間」があります。このうちタクシーが1万円で利用できるのは小型車で最大35km程度なので、少なくとも20km程度の徒歩が生じます。これだけの距離を歩かなければならないので、机上論で有利といったところで、実際はそう簡単な話ではないでしょう。

歩かなければならない距離が圧倒的に長い上に、タクシー代の配分を間違えると、ゴール直前で急な坂道を歩いて登らなければならない設定でした。「最後の山道」の存在は、一行のプレッシャーになっていたはずです。

しかし、賢明な鉄道チームのリーダー村井は、冷静に計算していました。大更駅手前でタクシーを降りたり、八食センター往復を全部歩いたり、筒井駅からタクシーに乗る場所を先にしたりして、歩く負担の少ない平地でタクシー代を少しずつ節約し、最後の山道で歩く距離を最小限に留めました。

1,120円足らない設定

ちなみに、筒井駅~八甲田ロープウェイのタクシー代ですが、タクシー代検索サイトでは小型車の概算で6,340円が必要となっています。八幡平ハイツ~大更駅が普通車概算で4,780円ですので、合計で11,120円。つまり、両区間をフルでタクシーに乗ることはできず、1,120円足らない設定になっていました。

村井がどこまで綿密に計算していたかまではわかりませんが、大更駅近くと筒井駅近くで少し歩いたのは、きわめて適切な判断だったといえます。結果として、鉄道チームは、おそらく最も合理的に近いタクシー利用で、ゴールを達成したことになります。

バントのような

番組ではルイルイのファインプレーが目立っていました。実際、ルイルイは今回も念入りな聞き込みをして、一か八かの勝負に打って出るなど、「バス旅」熟練の技を見せて番組を盛り上げました。しかし、結果として、効果的な乗り継ぎでなかったことは、前述したとおりです。

着実に局面を打開しながら、失敗をしなかったのは村井でした。鉄道旅にはバス旅のような乗り継ぎの難しさがありませんので、一か八かのファインプレーよりも、バントのような堅実なプレーで塁を進めることが勝利への近道だったのでしょう。

村井は「ローカル路線バスの旅Z第4弾」で、無念の失敗を経験しています。その悔しさからか、ゴールへの強い執念が画面を通じて伝わってきました。それも勝利を引き寄せた要因の1つかもしれません。

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第2弾を期待したいけど

今回はどちらが先にゴールするか、というゲームでしたので、「正解」はありません。「バス旅」の乗り継ぎの難易度も低かったですが、番組の趣旨を考えれば当然といえます。

番組のおもしろさを決めたのは、タクシー料金を考慮したチェックポイントの配置など、バスチームと鉄道チームのゲームバランスでした。その点は、勝負が互角になるよう非常によく練られていました。

第2弾を期待したくなるような秀逸な企画でしたが、オンエアの最後で、蛭子さんの体力上の事情による番組打ち切りが発表されました。「旅バラ」の最終放送は12月25日で、「太川蛭子のバス旅2019第7弾」となりそうです。

「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決」が、今後メンバーを変えてオンエアされるか定かではありませんが、少しばかり期待したくなります。(鎌倉淳)