ブラタモリで明かされた、葉山に鉄道が通らなかった意外な理由

駅名には含まれるようになりましたが

神奈川県葉山町。御用邸もある有名な別荘地で、鉄道計画もありましたが、実現しませんでした。その理由が、NHKの人気番組「ブラタモリ」で明かされました。

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三浦半島西部線計画

神奈川県葉山町は、三浦半島西岸にある人口約3万人の町。明治時代に天皇の御用邸ができたことから、別荘地として発展してきました。高度成長期以降は、東京や横浜への通勤圏に入り、ベッドタウンとしての顔も持つようになっています。

葉山町には、現在に至るまで、鉄道が通ったことはありません。ただ、戦前、京急の前身の一つである湘南電気鉄道が、逗子から葉山を経て三崎に至る、「三浦半島西部線」を計画していました。

結局、この路線は実現しなかったのですが、2020年7月11日オンエアのブラタモリでは、計画が頓挫した意外な理由が明かされました。

ブラタモリ葉山
画像:NHK

【番組名】ブラタモリ「葉山~“憧れの葉山”はどうできた?~」
【放送日時】2020年7月11日(土) 19:30~20:15(NHK総合)
【出演】タモリ,浅野里香
【語り】草彅剛

地層が硬すぎて

番組によると、「三浦半島西部線」が頓挫した理由は、地質だそうです。葉山町は全体に葉山層群という非常に硬い地層に覆われているのですが、逗子市と葉山町の境界にある桜山にトンネルを掘るには、この硬い地層を貫通しなければなりません。しかし、当時の技術では難しかった、ということです。

番組によると、「三浦半島西部線」は、1917年(大正6年)に立てられた計画に含まれていました。実際に湘南電気鉄道が逗子まで開業したのは1930年(昭和5年)です。

一方、鉄道計画線と並行する県道には、逗子・葉山境界を貫く「桜山隧道」があり、供用開始は1929年(昭和4年)です。湘南電鉄逗子線開業時には、県道の桜山隧道は開通していたわけです。それを考えると、葉山層群に鉄道トンネルを掘って、葉山まで延伸することが「全く不可能」ではなかったと思います。

ただ、当時は、別荘地に鉄道が走ることに反対する空気も地元にあったようで、住民の歓迎しない雰囲気と、硬い地質の工事の難しさがあいまって、「京急の葉山延伸を阻んだ」ということなのかもしれません。

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葉山への玄関口

番組では、2020年3月に「新逗子駅」から改称されたばかりの京急「逗子・葉山駅」が登場。草彅剛のナレーションで「逗子・葉山駅が、葉山への玄関口です」と紹介されていました。

バスの運行系統や利用状況からみると、実際に葉山への玄関口となっているのは、JR逗子駅です。にもかかわらず、NHKが京急駅を「葉山への玄関口」と認定してくれたのは、京急にとって嬉しいことでしょう。

「新逗子駅」から「逗子・葉山駅」への改称には、疑問の声も多くあったようです。しかし、こうして「葉山」をテーマにした番組に駅が紹介されたりするのであれば、京急にとっては、駅名を変えた意味が大いにあった、といえるかもしれません。(鎌倉淳)

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