イギリスのブリティッシュ・エアウェイズ(英国航空)が、新しい搭乗方法を明らかにしました。搭乗客をグループ分けし、手荷物を預けない最低運賃の利用客は最後になる、というものです。
搭乗客を5分類
飛行機の搭乗順序は航空会社によって多少異なりますが、おおむね、ファーストクラス、ビジネスクラス、マイル上級会員、乳幼児連れが先に来て、エコノミークラスの利用者が最後に乗る、という流れです。
ブリティッシュ・エアウェイズでは、これをさらに細分化し、搭乗客を「1」~「5」に分類。搭乗券に番号を印字し、番号の若い順から搭乗させるという、新しい「ボーディング・ポリシー」を決定しました。ヨーロッパ域内の運航路線が対象で、実施は2017年12月12日です。
英インディペント紙2017年11月17日付によりますと、「1」はマイレージのゴールド・メンバーやファーストクラス利用者など、「2」はシルバー・メンバーなど、「3」はブロンズ・メンバーなどです。
「4」は、エコノミークラスの利用者でマイル上級会員でない旅客。「5」は、そのうち「機内持込手荷物のみの旅客」です。「5」に該当する運賃は、ブリティッシュ・エアウェイズがイージージェットに対抗するために、2013年に導入した新運賃「ベーシック」です。
乳幼児を連れた旅客や、移動が不自由な旅客は、これまでどおりの優先搭乗が実施されます。
「物入れ占拠」を予防?
ブリティッシュ・エアウェイズは、新搭乗方法の狙いとして「旅客が搭乗順を理解しやすくすることで、搭乗を簡素化するため」と述べています。
これだけでははっきりしませんが、筆者の想像では、機内持込手荷物のみの客=手荷物を預けない旅客が先に搭乗して、持ち込んだ荷物で物入れを占拠することを予防するためではないか、と考えます。
機内に手荷物を多量に持ち込む旅客はどこにでもいる一方、ゲートでのチェックには限界があり、対処に航空会社が頭を悩ませている現状があるからです。
「階級社会」との批判も
どんな理由であれ、機内持込手荷物のみのチケット「ベーシック」は最低運賃であるため、新搭乗方法では、「最低運賃の旅客」を明確に分ける形で最後に搭乗させることになります。そのため、イギリス国内では疑問の声も出ています。
とくにインディペント紙は批判的に報じており、11月22日付では、「最低運賃で国内線や欧州域内線を搭乗する場合、手荷物預けと座席指定の権利を失うが、2017年12月12日からは、最後に搭乗することになる」と解説した上で、新しい搭乗方法を「’WALK OF SHAME’ BOARDING POLICY(恥をさらして歩かせる搭乗方法)」と手厳しく表現しました。
「格安チケット」利用を「SHAME」と表現するのはちょっと大袈裟な気もしますが、ネット上でも、イギリスの階級制度に絡めて批判するコメントもあります。「ベーシック」では座席指定ができないため、後部座席利用が多くなる傾向があり、「最後に乗る客が後部座席」という、搭乗順の非効率さを指摘する識者もいます。
そのため、今後、新搭乗方法は修正されるかもしれません。(鎌倉淳)