所用があって北京まで往復してきました。使ったのはJAL021便と022便。羽田発着の北京便で、筆者は日ごろあまり使わない「ビジネス路線」です。日中両国の首都を移動してみて考えたことは、まあ、近くなりましたね。
羽田空港の昼間枠で北京線が開設されたのは2014年です。したがって、「何をいまさら」みたいな話ですので、ご興味のない方はスルーしてください。
あの頃は大変だった
むかし話で恐縮ですが、十数年前、北京に行くのは結構大変でした。北京線は成田空港からしか発着しなかったのですが、成田スカイアクセス線は未開業。リムジンバスにしろ、スカイライナーにしろ、都心から1時間~1時間半程度はかかります。筆者が住む東京西部からですと、成田に行くだけで小旅行でした。
北京首都空港から北京市内までも、公共交通機関はバスしかありませんでした。渋滞はひどかったですし、市内に出るのに一苦労でした。成田も北京も、空港アクセスで疲弊した記憶があります。
しかし、今は違います。成田に行く必要はなくなりましたし、羽田へのアクセスも年を追うごとに改善してきました。北京空港から市内へも、2008年のオリンピック時に地下鉄が整備され、渋滞のストレスから解放されました。
羽田空港までわずか20分
11月のある平日、世田谷区の自宅から羽田空港へ。荷物が多かったのでタクシーを使いましたが、羽田空港までわずか20分あまりです。いうまでもなく、首都高速中央環状線のおかげ。タクシー代は高いですが、これだけ速いとリーズナブルですし、何より疲れないのは助かります。
荷物が少なければ京急やモノレール、リムジンバスを使うでしょうが、それでも1時間かからずに空港まで着けます。東京西部の居住者には、羽田はやはり便利です。
機内食も改善
羽田からはJAL021便で、機材はボーイング787でした。エコノミーのシートは可もなく不可もなくですが、気圧の変化の小さい機種なので、身体はラクです。フライトタイムは4時間10分で、オンデマンドで映画を一本見るにはちょうどよい長さです。
そして、機内食。最近の大手航空会社の機内食の改善は著しいですが、JALもなかなか。往路はマルセイバターサンド、帰路はハーゲンダッツのデザート付きでした。こういうのはうれしいですよね。
「機場快軌」は俊足で
遅延もなく北京首都国際空港に到着。イミグレーションの行列は長いですが、進み方は速く、ストレスを感じさせません。入国審査官はきびきびしています。
北京空港は広いので、バゲッジクレームまでが遠く、着いた頃には、ターンテーブルで荷物が回っていました。ピックアップして到着ロビーに出て、地下鉄乗り場へ向かいます。
北京空港へ乗り入れている地下鉄は、「北京地下鉄機場線」といいます。現地名は「機場快軌」。空港を出ると、市街地の三元橋駅までノンストップです。約20kmの距離を20分程度で結ぶ俊足です。
地下鉄といいますが、ほとんどの区間は地上走行。中低速リニアモーターを使用したシステムで、最高時速110kmの4両編成。日中は10分ごとに運転されています。感覚としては、品川~羽田空港の京急快特、という感じでしょうか。
FSCの速さは魅力
東京都内から北京市内まで、所要時間はだいたい10時間程度。フライトタイムが短い帰路は9時間程度でした。空港での待ち時間に余裕を見て、この時間です。慣れた人なら、8時間くらいで移動できそうです。
いまさらの話ですが、空港の位置やアクセス性というのは本当に大事です。空港までのアクセスがラクだと、移動全体の疲労感が違うので、全体の所要時間が短く感じられます。今回、東京と北京はこんなに近くなったのかと感心しました。
アジア圏の航空移動は、これからLCCが主力になっていくといわれています。たしかに、LCCと、JALをはじめとするFSCとの価格差を考えれば、LCCが増えていくのは間違いないでしょう。
とはいえ、LCCを使うときは早めに空港に行かなければならない上に、遅延も多いですし、東京の発着地は成田空港です。そのため、成田~北京間にLCCができたとしても、羽田発着のFSCの存在価値は失われない、とも感じます。
価格面ではLCCが魅力的ですが、スピーディーでオンタイムのFSCはやっぱり快適。旅行者としては、上手に使い分けたいところです。(鎌倉淳)