JR千歳線「ボールパーク新駅」の新たな計画が発表されました。対向式2面ホームで、あいだに通過線を挟む形となります。
北広島駅から約2km
JR北海道は、プロ野球日本ハムの新球場を核とする「北海道ボールパークFビレッジ」に隣接する新駅の修正計画を公表しました。
「ボールパーク新駅」は千歳線上野幌~北広島間に建設します。札幌駅から約20km、北広島駅から約2kmの位置です。
新たに公表された計画では、当初計画より位置を北広島駅側に約200mずらします。球場の北東側で、三塁側ゲートから約300mの距離となり、歩けば4分程度です。当初案では約400m、徒歩5分の計画だったため、新計画では、球場により近づきます。
対向式ホーム
新駅の構造は対向式ホームの2面4線です。現状の上下本線はそのままに、待避線(副本線)を外側に敷設し、対向式ホームを設置します。
新駅には折り返し設備を設置しません。列車の折り返しは、北広島駅の既存施設を活用します。北広島駅では、2番線から札幌方に折り返せるように、渡り線を追加します。
駅舎は球場側に設置し、改札外に線路を渡る南北自由通路も設けます。自由通路と改札内通路は一体的な構造とします。
従来案は?
従来案を改めて見てみると、上下本線を外側に移設し、内側に上下待避線(副本線)を配し島式ホームを設置するという計画でした。北広島方には、上下線の間に引き上げ線を設けています。
従来案は、引き上げ線を上下線の間に設けることで、折り返し列車の運用がしやすくなるというメリットがありました。ただ、工事費が想定より高い見積もりとなったため、北広島市が再検討を求めていました。
運行中も工事実施
従来案と新案を比較すると、本線移設がないので、工事が容易になるのが大きな違いです。待避線を本線から離して敷設することで、本線で列車が運行している間も継続して工事を実施することができます。
その反面、上下線の間に引き上げ線を設けることができなくなるわけです。
これにより、新駅での列車折り返しができなくなり、折り返し機能は北広島駅が肩代わりすることになります。
ダイヤに影響?
北広島駅の待避線を折り返しに使うのであれば、気になるのは、普通列車が快速「エアポート」をどこで退避するのか、という点です。
現在のダイヤは、北広島駅で退避し緩急接続を取っています。しかし、北広島の待避線(2、3番線)を折り返し列車の留置に充てると、これが不可能になります。
代替策として考えられるのは、待避駅をボールパーク新駅にすることです。しかし、対面ホームでの緩急接続がなくなれば、普通列車利用客には不便になるでしょう。
また、試合前後は普通列車だけでは輸送力が不足しそうですが、ボールパーク駅を待避駅にすると、快速列車の臨時停車がしづらくなります。
そうしたことを考えると、北広島駅での緩急接続は活かしたままで、車両留置は島松駅など他駅を使用し、スジを工夫して増発列車を走らせることになるのではないでしょうか。
当然、ダイヤの柔軟性は限られたものになるでしょうが。
工期5年
新計画の概算工事費は85億円~90億円で、当初案の115億~125億円から圧縮します。工期は設計・行政手続き1年、工事期間4年の計5年程度で、当初案の7年程度から圧縮できます。
JRによると、工事の支障となる歩道の付け替えを北広島市が認めたことで、使用可能となる用地の範囲が広がって、擁壁などの土工設備の設置も不要になったということです。
そのためか、待避線の距離も伸びていて、貨物列車の待避にも使えそうです。
2028年開業?
総合的に見て、新案はダイヤの制約を除けばメリットが多く、当初案より優れた内容になっているとみられます。90億円前後の工事費は北広島市の許容範囲とみられ、同市はこの案を受け入れる見通しです。
実現すれば、札幌駅から普通列車で22分程度で結ばれます。快速「エアポート」が臨時停車すれば20分もかかりません。
北広島市は2027年度末(2028年春)までの新駅開業を目指しています。工期を5年と計算すればやや難しそうですが、2024年度に着工できれば間に合いそうです。
順調にいけば2028年シーズンからは、エスコンフィールドでの野球観戦がしやすくなりそうです。(鎌倉淳)