JR東日本の観光用車両「リゾートあすなろ」が2編成とも改造され、「ひなび」「SATONO(さとの)」という新観光列車に生まれ変わります。これにより、現在の「リゾートあすなろ」は、引退することになります。
東北新幹線全線開業にあわせ登場
「リゾートあすなろ」は、ディーゼルハイブリッド車両HB-E300系気動車を使った車両です。2編成が投入され、2010年12月4日の東北新幹線全線開業にあわせて、新青森駅で新幹線と接続する観光列車として運行を開始しました。
当初は、津軽線で「リゾートあすなろ竜飛」、大湊線で「リゾートあすなろ下北」などとして運行されました。しかし、東北新幹線新青森開業の熱気が冷め、津軽線での運行は見かけなくなり、大湊線での「下北」が残るのみとなっています。
「ひなび」「SATONO」に
製造から12年が経ったこともあり、JR東日本は、「リゾートあすなろ」の2編成を改造し、新たな観光列車を運行させると発表しました。
ひとつは「ひなび」で、盛岡・青森地区の観光列車として生まれ変わります。
もうひとつが「SATONO(さとの)」で、宮城・福島・山形の3県を中心に運行する観光列車となります。
青森地区を中心に運行していた「リゾートあすなろ」を改造のうえ、「青森・岩手」「宮城・福島・山形」に再配分するわけです。
レイアウトは同じ
改造後の車内レイアウトは、「ひなび」「SATONO」とも、ほぼ同じようです。
こちらが「ひなび」。上が1号車、下が2号車です。
こちらが「SATONO」。上が1号車、下が2号車です。
いずれも、1号車が定員25名のボックスシート主体の客室になります。2号車は定員34名のリクライニングシートの客室です。
1号車のボックス席は2人用と4人用があり、それぞれ中央にテーブルを設けます。また、窓に向かったカウンター席も設けます。1号車、2号車とも、眺望のいい先頭部にフリースペースを配置するようです。
「ひなび」デザイン
「ひなび」の列車名の由来は、「ぬくもりのあるゆったりとした旅」。「北東北の自然」と「地域とのつながり」をコンセプトに、岩手・青森の自然を車窓から感じられる列車となります。
外観は、白地に赤ラインの「盛岡色」がベースです。横のラインを紐に見立て、先頭には水引の結びである「梅結び」をデザインすることで、地域と地域を結ぶ列車をイメージしています。
2両編成の連結部には、車両をまたぐ形で山をデザインし、波や川の模様、花吹雪などを配置して豊かな自然を表現します。
「SATONO」デザイン
「SATONO」の列車名の由来は、「車窓から眺める、郷の景色」「降り立った瞬間の、郷の香り」。「ゆっくりと、のんびりと、東北の豊かな風土を味わいながら列車旅を楽しむ」という想いが込められています。
外観は、1号車が緑のカラーリング。2号車が青のカラーリングです。
1号車の緑は、東北地方の緑豊かな山々や田・畑の実りを表現。2号車の青は、東北地方の清らかで豊かな水や、透き通った空気を表現しています。
改造車両のデビューは、「さとの」が2023年冬ごろ。「SATONO」が2024年春ごろです。現状の「リゾートあすなろ」は、もうすぐお別れになりそうなので、乗り納めの方はお早めに。(鎌倉淳)