「秋の乗り放題パス」「鉄道の日記念きっぷ」で、どこへ行く? 2016年に乗っておきたいローカル線を探してみた

「秋の乗り放題パス」と「鉄道の日記念 JR西日本一日乗り放題きっぷ」が2016年も発売されます。利用期間は10月8日(土曜日)から10月23日(日曜日)までの16日間。体育の日の3連休をはさんでの設定です。今年はどこへ行きましょうか?

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「秋の青春18きっぷ」

「秋の乗り放題パス」は、JRの在来線全線で、快速・普通列車が乗り放題になるきっぷ。「秋の青春18きっぷ」ともいえる存在です。青春18きっぷとの相違点はいくつかありますが、利用期間が3日間しかなく、日を連続して使用しなければならないことが最大の違いでしょう。

価格は大人7,710円、子ども3,850円です。こども用がある点も、青春18きっぷとの違いです。

一方「鉄道の日記念 JR西日本一日乗り放題きっぷ」(以下「鉄道の日記念きっぷ」)は、JR西日本全線の快速・普通列車が乗り放題になるきっぷ。こちらは1日限り有効で、価格は大人3,000円、子ども1,500円です。利用期間は「秋の乗り放題パス」と同じで、10月8日から10月23日までです。

留萌線

廃止3線に旅行者殺到か

こうした乗り放題パスで注目されるのは、廃止が取り沙汰されているローカル線。現時点では、留萌線の留萌~増毛間が2016年12月4日限りで廃止されることが決まっています。

また、三江線もあと1年程度で廃止される方針が示されています。さらに、石勝線夕張支線が2018年度にも廃止される見通しです。

これら3路線は、「秋の乗り放題パス」「鉄道の日記念きっぷ」を使った旅行者が殺到することでしょう。とくに10月3連休は混雑しそうです。

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青春18期間より空いている

ただ、混雑するローカル線は一部です。青春18きっぷの場合は、期間中、郊外の普通列車がかなり混雑しますが、それに比べると、「秋の乗り放題パス」「鉄道の日記念きっぷ」は知名度が低く、利用者が少ないためか、それほど混雑しません。そのため、「青春18きっぷよりも狙い目」という旅行者も少なくありません。

鉄道旅行の目的地のおすすめとしては、現段階で廃止論の遡上に乗っていないものの利用者の少ないローカル線でしょうか。たとえば、JR東日本とJR西日本の最新統計で、輸送密度300人キロ未満の区間を拾ってみましょう。

JR東日本・輸送密度300人キロ未満の線区

津軽線 中小国~三厩 126
花輪線 荒屋新町~鹿角花輪 103
北上線 ほっとゆだ~横手 131
陸羽東線 鳴子温泉~最上 94
米坂線 小国~坂町 184
水郡線 常陸大子~磐城塙 263
久留里線 久留里~上総亀山 145
只見線 会津坂下~会津川口 222
只見線 只見~小出 115
飯山線 戸狩野沢温泉~津南 158
※2015年度

JR西日本・輸送密度300人キロ未満の線区

大糸線 南小谷~糸魚川 137
福塩線 府中~塩町 201
芸備線 備中神代~東城 84
芸備線 東城~備後落合 8
芸備線 備後落合~三次 191
因美線 東津山~智頭 208
木次線 備後落合~宍道 218
山陰線 益田~長門市 274
※2014年度

いま線路があることを大切に

最近、鉄道路線の災害による長期間運休が増えています。現在も大雨などの被害で根室線や石勝線の一部、日高線、山田線、只見線が長期運休していますし、熊本地震で豊肥線の一部が運休しています。

輸送密度の低い路線は、災害で深刻な被害を受けた場合、復旧が担保されているとはいいがたいのが実情です。上記の路線は廃止候補には挙げられていませんが、いつまでも存続し続ける保証もありません。

鉄道旅行が好きならば、いまそこに線路があることを大切にしておきたいところです。ローカル線沿線の旅を楽しみつつ、できれば1泊くらいして、地元経済にも貢献してはいかがでしょうか。(鎌倉淳)

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