航空各社、日欧間の新ルートを開拓。エールフランスは「南回り」でノンストップ

ロシアを避けて

航空各社がロシアを通らない日欧間の新ルートを開拓しています。エールフランスの羽田~パリ線は、カザフスタン上空を抜けるルートで、東京・パリ間をノンストップ運航しました。

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パリ→羽田13時間20分

ロシアのウクライナ侵攻を受け、日本とヨーロッパを結ぶ航空機がロシア上空を飛行することが困難または不可能になりました。

このため、日欧の航空各社で新たなルートを開拓する動きが出ています。先鞭を付けたのはエールフランスで、2022年2月28日にパリ発羽田行きを「南回り」のカザフスタン領空経由で運航。翌3月1日に羽田発パリ行きを同様のルートで運航しました。

フライトレーダー24のログを見ますと、2月28日のAF276便は、パリを13時30分(協定世界時)に出発し、翌02時50分(同)に羽田に到着しています。所要時間は13時間20分。エールフランスのサイトで運航記録を確認すると、パリを14時24分(現地時刻)に出発し、羽田に11時55分(同)に到着しています。

AF276便
画像:flightradar24.com
エールフランス
画像:エールフランス

ブダペスト経由のはずが

注目されたのは、2021年3月1日の羽田発便です。偏西風に逆らう西行きの飛行機では、カザフルートを無給油で飛べないと用心したからか、羽田→パリ便は当初ハンガリーのブダペストで給油するスケジュールが組まれていました。

ところが、フライトレーダー24のログを見ますと、2022年3月1日のAF275便は、05時03分(協定世界時)に羽田を出発、ノンストップで20時44分(同)にパリに到着しています。飛行時間15時間41分、無給油で東京→パリを飛んだようです。

AF275便
画像:flightradar24.com

念のためエールフランスのサイトで運航状況を確認すると、羽田を13時51分(現地時刻)に出発し、パリに21時44分(同)に到着しています。当初の到着地「ブダペスト」には横線が引かれ、「パリ」と改められています。

エールフランス運航状況
画像:エールフランス公式サイトより

つまり、エールフランス機は、パリ~東京間をカザフ経由にてノンストップで往復したわけです。このルートの東京・パリ往復無給油飛行は、商用機ではおそらく初めてでしょう。機材はボーイング777-300でした。

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JALは「北」、ANAは「南」

ロシアを経由しない日欧間の航空ルートには、カザフスタンなどを経由する「南回り」のほか、ベーリング海峡やアラスカを経由する「北回り」も考えられています。

JALは3月4日のロンドン行きを、アラスカからグリーンランドやアイスランド上空を通る「北回り」のルートで飛行すると発表。ロシア上空を飛ぶシベリアルートに比べ、往路で約3時間、復路は約4時間半、所要時間が延びるそうです。

一方、ANAは3月4日の成田発ブリュッセル行きを中央アジアで経由で運航すると発表しています。中国、アゼルバイジャン、トルコなどの上空を飛行する経路を想定しているそうで、シベリアルートに比べ3時間程度所要時間が延びるそうです。

ANAの平子裕志社長は、「北回り」では、双発機による洋上飛行のため緊急時に着陸する空港(代替空港)がロシア以外に確保できない可能性があると発言しています。この問題を避けるため、「南回り」を選択したようです。

各社とも運賃面への影響は明らかにしていませんが、飛行時間の延長はコスト増に直結します。従って、今後、日欧間のチケット価格が高騰しそうです。(鎌倉淳)

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