京急油壺マリンパークが閉館へ。私鉄のレジャー施設がまた消える

京急延伸も実現せず

京急油壺マリンパークが9月限りでの閉館を発表しました。私鉄が運営する昭和的なレジャー施設が、またひとつ姿を消します。

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1968年開業

京急電鉄は同社が運営する神奈川県三浦市の水族館「京急油壺マリンパーク」を、2021年9月30日限りで閉館すると発表しました。

油壺マリンパークは、1968年、京急の創立70周年記念事業として開業。当時「東洋一」と評された大回遊水槽や、「サーカス水族館」の異名を取るパフォーマンスで知られてきました。

しかし、近年は設備の老朽化が進み、これ以上の維持管理が困難であるとして、閉館を決めたものです。飼育中の動物類については、他館への移譲の協議を進めます。

跡地については、大手デベロッパーと共同で滞在拠点の一体開発に向けて検討するとしており、2025年度に新施設が開業する予定です。隣接する「ホテル京急油壺 観潮荘」は営業を継続します。

油壺マリンパーク

パフォーマンスに定評

京急油壺マリンパークといえば、「大海洋劇場ファンスタジアム」で行われているイルカ・アシカのライブパフォーマンスに定評がありました。ミュージカルのようなライブ感とストーリー性のあるショーは独特です。「魚の学校」のパフォーマンスも、他の施設ではお目にかかれない内容でした。

油壺マリンパーク

53,782平米という敷地は広々としていて、まさに「パーク」という印象。昭和時代に作られた施設だけに、スペースに余裕があり、天気のいい日は園内を気持ちよく散策できました。晴れた日には相模湾から富士山を望む眺望も魅力です。

混雑していないこともあり、小さな子ども連れでのんびり海の生き物を見るにはいいところで、筆者も何度か訪れました。

油壺マリンパーク

ただ、建物施設の延床面積は9,578平米と、近年開業している郊外の水族館施設に比して大きくはありません。展示施設の老朽化も進んでいて、かつて「東洋一」といわれた回遊水槽も、いまとなってはよくある規模の水槽になってしまっています。

展示内容も標本展示が目立っていて、「生き物」が意外に少ないという印象がありました。マンボウの飼育で知られた時期もありましたが、それも現在は模型展示です。

油壺マリンパーク

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としまえん末期の雰囲気

近年は里山を再現した展示や、カワウソの飼育に力を入れていて、悪くはなかったのですが、新たな目玉展示を作ろうというほどの意気込みは感じられません。レストランも「食堂」と表現したほうがいいような昔ながらの状況です。

全体として大きな設備投資を避けている様子で、としまえんの末期と同じような雰囲気が漂っていました。そのため、最近訪れたことのある人は、閉園のニュースを聞いてもさほど驚かなかったのではないでしょうか。

三浦半島近辺には、八景島シーパラダイスが1993年に開園。2004年には新江ノ島水族館も開館して、ライバル施設が増えてきました。三浦半島の先端にある油壺は立地がいいとはいえないこともあり、近年は集客に苦労していた様子がうかがえます。

最近になって、ようやく三浦縦貫道路が近くまで延びてきてクルマで行きやすくなりましたが、八景島や江ノ島の利便性にはかないません。

油壺マリンパーク

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京急延伸も頓挫して

そもそもは、京急久里浜線の油壺延伸を見込んだレジャー施設でした。延伸が実現すれば、油壺マリンパークから約1.5kmの位置に京急油壺駅が開業し、鉄道アクセスのいい水族館になっていたはずでした。

しかし、久里浜線は1975年に三崎口まで開業したものの、その先の延伸が進まず、2005年に三崎口~油壺間の免許を廃止。事業再開を模索しましたが実現せず、延伸計画は事実上頓挫しています。

鉄道を延伸して、その先に観光施設を作るという、昭和の私鉄のビジネスモデルに沿ったプロジェクトでしたが、最後まで鉄道は来ませんでした。延伸計画が頓挫し、近隣に大型水族館の開業が相次いだことから、マリンパークはその役割を終えた、ということでしょうか。

昭和的な施設が姿を消すのは残念ですが、時代の流れと受け止めるほかなさそうです。(鎌倉淳)

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