JR各社が2025年お盆の列車利用状況を発表しました。今年のお盆は万博特需で盛り上がったいっぽう、九州では豪雨による運休などがありました。利用者数への影響はどうだったのでしょうか。
お盆の新幹線利用状況
JR各社は列車利用状況の統計を「年末年始」「ゴールデンウィーク」「お盆」の3期のみ発表しています。当サイトでは、JR各社が発表した統計をまとめて、各期ごとにランキングにしています。
今回は、「2025年お盆の新幹線利用者数ランキング」です。2025年8月8日~17日の10日間の統計です。
(配信先で表が崩れる場合は、こちらをご覧ください)
順位 | 路線名 | 区間 | 利用者数(万人) | 対前年比 |
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1 | 東海道新幹線 | 新横浜~静岡 | 409.1 | 113% |
2 | 山陽新幹線 | 新大阪~西明石 | 193.4 | 107% |
3 | 東北新幹線 | 大宮~宇都宮 | 146.9 | 107% |
4 | 上越新幹線 | 大宮~高崎 | 135.5 | 106% |
5 | 東北新幹線 | 那須塩原~郡山 | 127.3 | 107% |
6 | 山陽新幹線 | 新山口~小倉 | 89.9 | 104% |
7 | 山陽新幹線 | 小倉~博多 | 82.0 | 106% |
8 | 北陸新幹線 | 高崎~軽井沢 | 77.4 | 104% |
9 | 東北新幹線 | 古川~北上 | 63.3 | 103% |
10 | 北陸新幹線 | 上越妙高~糸魚川 | 39.3 | 99% |
11 | 九州新幹線 | 博多~熊本 | 37.7 | 101% |
12 | 上越新幹線 | 越後湯沢~長岡 | 34.2 | 105% |
13 | 東北新幹線 | 盛岡~八戸 | 31.1 | 101% |
14 | 九州新幹線 | 熊本~鹿児島中央 | 19.7 | 104% |
15 | 山形新幹線 | 福島~米沢 | 10.2 | 90% |
16 | 西九州新幹線 | 武雄温泉~長崎 | 9.3 | 99% |
17 | 秋田新幹線 | 盛岡~田沢湖 | 9.2 | 103% |
18 | 北海道新幹線 | 新青森~新函館北斗 | 9.0 | 85% |
19 | 山形新幹線 | 山形~新庄 | 2.4 | 102% |
上記のランキングは、JR各社から広報発表された内容をまとめたものです。JR各社によって、区間選定の基準などがばらばらであることをご承知おきください。
万博効果が絶大
2025年のお盆は、11日の山の日が月曜日で、9日からの3連休となりました。12-15日を休むと17日まで9連休と、日並びには恵まれています。九州の豪雨や、山形新幹線での車両不具合による影響もありましたが、多くの路線で利用者数が前年比増となりました。
とくに好調だったのは東海道新幹線で、対前年比113%と高い伸びを示しました。言うまでもなく万博効果です。東海道新幹線は、ゴールデンウィークも5%増と堅調でしたが、それを大きく上回りました。
ゴールデンウィーク期間中の万博は、入場制限が厳しかったのですが、現在は緩和されています。万博協会によると、お盆9日間の一般来場者数はあわせて135万人となり、1日あたり15万人にのぼった計算です。首都圏からの来客の多くが新幹線を利用したとみられ、東海道新幹線の利用者数を押し上げました。
九州豪雨で伸び悩み
山陽新幹線の新大阪~西明石間も、対前年比7%増と好調でした。こちらも万博効果があったとみられますが、東海道新幹線ほどの上積みにはなっていません。九州方面の豪雨が影響したとみられます。
その豪雨の影響を受けたのは、九州新幹線です。九州では8月6日から11日頃にかけて、各地で豪雨被害がありました。
九州新幹線では、博多~熊本間で対前年比1%増にとどまりました。他地方では7%程度の増加となっていることや、万博効果を考えれば、伸び悩んだ数字です。ただ、あれだけの豪雨でも、前年割れをしなかったのは、災害に強い新幹線の面目躍如と言えるかもしれません。
西九州新幹線は、やや前年割れとなりましたが、在来線との接続があってもこの数字で、健闘したほうでしょう。
北海道新幹線激減の理由
対前年比の数字が最も悪かったのは北海道新幹線です。15%もの大幅減となりました。北海道新幹線は、お盆期間中、良好な運行状況だっただけに、意外な数字にも感じられます。
実は、北海道新幹線は、前年に台風の影響で飛行機が欠航となり、その転移で32%の利用者増を記録しています。
今年はその反動で、利用者減となった形です。32%増という前年実績を考えれば、今年が15%減であっても悪い数字ではなく、堅調だったといえるでしょう。
山形新幹線も健闘
山形新幹線は、E8系の車両不具合の影響で、運行本数が限られました。当初131本の運転を計画していた臨時列車が62本に減ったため、利用が伸び悩み、対前年比10%減という結果に終わっています。
ただ、定期列車を含めた全体の運行規模は対前年で8割程度ということなので、乗車率は高かった模様で、運行本数の割には健闘したといえるかもしれません。(鎌倉淳)