JR各社から2021-2022年末年始の列車利用状況が発表されました。新型コロナウイルス感染症からの回復で、各路線とも前年比で大きく利用者を増やしましたが、コロナ前の水準には達していません。詳細をランキング形式で見ていきましょう。
年末年始の利用状況
JR各社は列車利用状況の統計を「年末年始」「ゴールデンウィーク」「お盆」の3期のみ発表します。このうち「2021-2022年末年始の利用状況」がこのほど発表されましたので、各社の情報をまとめて、「年末年始の新幹線利用者数」をランキングにしてみました。
2020年12月28日~2021年1月5日の9日間の統計です。
新幹線利用者数ランキング2022年新春版
順位 | 路線名 | 区間 | 利用者数 (万人) |
前年比 | 前々 年比 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 東海道新幹線 | 新横浜~静岡 | 284.4 | 257% | 78% |
2 | 山陽新幹線 | 新大阪~西明石 | 133.5 | 290% | 76% |
3 | 山陽新幹線 | 岡山~広島 | 98.5 | 283% | 75% |
4 | 東北新幹線 | 大宮~宇都宮 | 97.4 | 253% | 70% |
5 | 上越新幹線 | 大宮~高崎 | 93.6 | 237% | 77% |
6 | 東北新幹線 | 那須塩原~郡山 | 86.3 | 269% | 75% |
7 | 山陽新幹線 | 広島~新山口 | 70.6 | 265% | 75% |
8 | 山陽新幹線 | 新山口~小倉 | 63.2 | 257% | 74% |
9 | 山陽新幹線 | 小倉~博多 | 54.5 | 231% | 74% |
10 | 北陸新幹線 | 軽井沢~高崎 | 47.9 | 239% | 76% |
11 | 東北新幹線 | 古川~北上 | 42.6 | 260% | 78% |
12 | 九州新幹線 | 博多~熊本 | 24.5 | 210% | 74% |
13 | 上越新幹線 | 越後湯沢~長岡 | 24.2 | 297% | 74% |
14 | 北陸新幹線 | 上越妙高~糸魚川 | 23.9 | 262% | 78% |
15 | 東北新幹線 | 盛岡~八戸 | 20.1 | 260% | 79% |
16 | 九州新幹線 | 熊本~鹿児島中央 | 12.8 | 220% | 77% |
17 | 山形新幹線 | 福島~米沢 | 9.4 | 328% | 71% |
18 | 秋田新幹線 | 盛岡~田沢湖 | 7.2 | 258% | 82% |
19 | 北海道新幹線 | 新青森~新函館北斗 | 4.7 | 302% | 74% |
20 | 山形新幹線 | 山形~新庄 | 2.6 | 353% | 68% |
上記のランキングは、JR各社から広報発表された内容をまとめたものです。JR各社によって、区間選定の基準などがばらばらであることをご承知おきください。
満席列車が続出
2020-2021年末年始は、新型コロナウイルスの第6波の直前で、感染状況が低く抑えられていたこともあり、東京発着では満席の列車が続出する混雑となりました。各路線の利用者とも前年比倍増を記録し、山形新幹線や北海道新幹線では3倍を超えました。
とはいえ、対前々年比でみるとほとんどの区間で70%台にとどまり、コロナ前の水準に戻ったとはいえません。
対前々年比でも回復傾向が強いのが東北方面で、秋田新幹線の82%を筆頭に、東北新幹線盛岡~八戸が79%、同古川~北上が78%などとなっています。東北地方はコロナ禍で列車利用の落ち込みが激しかったので、その反動が大きいのかもしれません。
「のぞみ」「ひかり」で明暗
東海道新幹線も対前々年比で78%と健闘しました。全車自由席の「のぞみ」を臨時運転するなど、異例の対応をするほどの盛況となりましたが、それが数字に表れています。ただ、そこまでしても、コロナ禍前の8割に届かないという見方に立てば、苦しい状況が続いているといえます。
上表にはありませんが、東海道新幹線では「のぞみ」が対前々年度比で81%と堅調だった一方、「ひかり」67%、「こだま」71%と、停車駅の多いタイプが伸び悩みました。「のぞみ」と「ひかり」で明暗が分かれた形です。
山陽新幹線でも同じ傾向があり、新大阪~西明石間では「のぞみ」79%、「みずほ」75%に対し、「ひかり」62%、「さくら」69%、「こだま」66%と、停車駅の多い列車の回復が鈍くなっています。
大都市間を移動する帰省客の利用は回復傾向にあったものの、沿線を訪れる観光需要の戻りが遅いのかもしれません。
各社とも、年末年始の利用者がコロナ前に戻るには、帰省客のほか観光客の回復が重要ですが、まだそこまでは至っていないようです。(鎌倉淳)