2020年7月の豪雨で、各地の鉄道に大きな被害が出ています。わかっている範囲で、現時点の鉄道の被害状況をまとめてみました。
肥薩線
2020年7月豪雨で、最も大きな被害を受けたとみられるのはJR九州の肥薩線です。7月4日に熊本県人吉市の球磨川の堤防が複数箇所で決壊し、鎌瀬~瀬戸石間にある球磨川第1橋梁と、那良口~渡間にある第二球磨川橋梁が流失しました。
このほか、多数の箇所で線路や鉄道施設に大きな被害が生じている模様です。この影響で、JR肥薩線は八代~吉松間で、当分の間、運転を見合わせます。
くま川鉄道、久大線でも鉄橋流出
くま川鉄道湯前線では、人吉温泉駅において、土砂流入、線路冠水、車両浸水が発生。川村〜肥後西村間では球磨川第四橋梁が流出しました。これらの影響で、人吉温泉~湯前間の全線で当分の間、運転を見合わせます。
JR久大線では、7月7日の豪雨で、豊後中村~野矢間の第二野上川橋梁が流失しました。この影響で、日田~向之原間で、当分の間、運転見合わせます。
肥薩線、湯前線、久大線の3路線では、橋梁流出が生じているため、復旧まで相当の長期間を要するとみられます。したがって、これら3線の長期運休は避けられない見通しとなっています。
鹿児島線、日南線
JR鹿児島線では、熊本県内の玉名~肥後伊倉間で切取崩壊の被害を確認。長洲~植木間が当分の間、運休します。
同線では、鹿児島県内の隈之城~木場茶屋間でも築堤が崩壊。木場茶屋~串木野間では土砂流入、上伊集院~広木間では切取崩壊の被害が出ています。この影響で、川内~鹿児島中央間が、当分の間、運休します。
JR日南線では、大隅夏井~志布志間で切取崩壊が発生しています。この影響で、南郷~志布志間が、当分の間、運休します。
肥薩おれんじ鉄道、平成筑豊鉄道
肥薩おれんじ鉄道では、熊本県の海浦~佐敷間で土砂が流入。これを含め45カ所で土砂流入や道床流失などの被害を確認しています。この影響で、出水~八代間で、当分の間、運休します。
肥薩おれんじ鉄道は橋梁の流出はなかったようですが、築堤崩壊や大規模な土砂流入が多数起こっており、長期間の運休となる可能性が高そうです。
平成筑豊鉄道では、田川線の崎山~源じいの森間で、土砂流出、切取崩壊、落石といった被害が生じました。斜面崩壊のおそれがあり、運行再開のめどが立っておらず、当分の間、運休となる見通しです。
予讃線、叡山電車
九州以外でも、大雨による鉄道被害が生じています。JR四国では、予讃線の五十崎~喜多山間で斜面崩壊が発生、内子~伊予大洲間(山回り)は、当面、運転を見合わせます。現在のところ復旧の見込みは立っていません。
京都府の叡山電車では、7月7日~8日にかけて降り続いた大雨の影響で、鞍馬線貴船口駅付近で土砂崩れなどが発生。市原~鞍馬間で運転を休止しています。
同社では、全線運転再開までには相当の期間を要する見込みとしています。
高山線、飯田線
JR東海では、高山線の飛騨一ノ宮駅~ 高山間で土砂が流入したほか、複数箇所で土砂流入、線路冠水を確認しています。この影響で、下呂~高山間で運転を見合わせており、運転再開には相当な日数を要する見込みです。
飯田線では小和田~中井侍間で土砂流入が生じたほか、複数箇所で土砂流入、線路冠水を確認しています。この影響で、長山~天竜峡間で運転を見合わせており、運転再開には相当な日数を要する見込みとしています。
大井川鐵道は、7月2日未明に金谷~新金谷間で土砂崩れが発生し、同区間での運休がつづいています。その他の同社の路線は7月11日に運転を再開しています。