JR西日本の輸送密度ランキング2014年度版。桜島線と関西空港線の利用者が急増。北陸線金沢以東は最後の統計に

JR西日本の2014年度の区間別平均通過人員が発表されました。「データで見るJR西日本2014」という資料で、ウェブで誰でも閲覧できます。平均通過人員とは、いわゆる輸送密度です。これを基に、2014年度のJR西日本輸送密度ランキングを作成してみました。

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JR西日本・輸送密度上位ランキング

まずは、JR西日本輸送密度上位のランキングです。1日1kmあたり2万人以上をランキングしてみました。左のカッコ内は前年です。まずは1位~10位まで。

1~10位

1位 東海道線・大阪~神戸[33.0km] 385,499(391,030)
2位 東海道線・京都~大阪[42.8km] 333,381(332,307)
3位 大阪環状線・天王寺~新今宮[20.7km] 280,299(278,282)
4位 山陽線・神戸~姫路、兵庫~和田岬[57.5km] 197,930(200,832)
5位 阪和線・天王寺~日根野、鳳~東羽衣[36.6km] 150,005(149,872)
6位 JR東西線・京橋~尼崎[12.5km] 118,966(118,635)
7位 東海道線・米原~京都[67.7km] 118,819(120,773)
8位 福知山線・尼崎~新三田[36.9km] 100,222(101,946)
9位 桜島線・西九条~桜島[4.1km] 73,898(65,399)
10位 関西線・加茂~JR難波[54.0km] 68,377(69,464)

上位にランキングされたのは、やはり大阪近郊の通勤・通学路線。とくに、東海道線の京都~大阪、大阪~神戸間と大阪環状線が「3強」といったところでしょうか。東海道・山陽線は京都以東や神戸以西でも利用者が多く、神戸~姫路間は阪和線天王寺~日根野間を上回っています。

輸送密度が急増しているのが9位桜島線。関西線と片町線を追い越して9位に浮上しています。前年度比12%増で、USJのハリポタ効果がうかがえます。

関空快速

11~20位

続いて、11位~20位を見てみましょう。

11位 片町線・木津~京橋[56.9km] 66,346(67,685)
12位 山陽線・白市~広島[40.8km] 43,002(43,254)
13位 山陰線・京都~園部[34.2km] 42,748(42,793)
14位 山陽線・広島~岩国[41.4km] 41,292(41,476)
15位 宇野線・岡山~茶屋町[14.9km] 39,466(39,124)
16位 阪和線・日根野~和歌山[26.4km] 36,736(37,772)
17位 湖西線・近江塩津~山科[74.1km] 36,660(36,161)
18位 山陽線・岡山~福山[58.3km] 36,447(36,417)
19位 おおさか東線・放出~久宝寺[9.2km] 32,691(32,432)
20位 奈良線・木津~京都[34.7km] 28,615(27,710)

11位~20位には、京阪神エリアの外郭に位置する郊外路線や、広島、岡山近郊の路線がランクイン。広島近郊は山陰線の京都~園部間と同程度の輸送密度であることがわかります。

湖西線は京都の郊外で特急が走っているわりに少ないな、という印象を受けます。普通列車はそれほど乗っていない、ということなのでしょうか。

21位~27位

次に、21位以下です。

21位 北陸線・福井~敦賀[54.9km] 28,426(27,376)
22位 本四備讃線・茶屋町~児島[12.9km] 27,170(27,044)
23位 山陽線・姫路~上郡[34.8km] 25,279(25,493)
24位 呉線・広~海田市[26.8km] 24,973(25,680)
25位 北陸線・金沢~福井[76.7km] 24,800(23,991)
26位 関西空港線・日根野~関西空港[11.1km] 21,085(19,240)
27位 北陸線・富山~金沢[59.4km] 21,058(23,013)

輸送密度2万以上はここまでです。可部線横川~可部は19,021で惜しくも入りませんでした。

ここで伸び率が高いのは関西空港線で、前年度比9%増として2万人台に乗せました。関西空港の利用者増を反映しているのでしょう。LCC効果や訪日客の増加がJRにも利益をもたらしていることがわかります。

輸送密度2万台には、北陸線の各区間が顔を出してきます。2015年3月の北陸新幹線開業にともない第三セクター化された北陸線金沢以東も姿を見せます。これだけの輸送量があれば、第三セクター化されても大丈夫かな、と誤解しそうですが、これは特急を含めての数字です。第三セクター化されると普通列車だけになりますので、これからの輸送密度は半分以下になるでしょうから予断は許しません。

第三セクター化された北陸線区間は?

北陸新幹線にともなって第三セクター化された区間の輸送密度をまとめておきます。これがJR西日本としては最後の統計になるので、載せておきましょう。

北陸線・直江津~市振[59.3km] 9,382(9,762)
北陸線・市振~富山[58.5km] 12,966(14,085)
北陸線・富山~金沢[59.4km] 21,058(23,013)

いずれも前年度比減少幅が大きいのが気がかりです。特急がなくなったら、どのくらいの輸送密度になるのでしょうか。

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山陽新幹線の輸送密度

山陽新幹線の輸送密度も見てみましょう。以下のようになっています。

山陽新幹線・新大阪~岡山[180.3km] 110,004(107,755)
山陽新幹線・岡山~広島[161.3km] 85,252(83,464)
山陽新幹線・広島~博多[302.4km] 52,243(50,846)
山陽新幹線全線[644.0km] 76,682(74,949)

全区間で輸送量は前年度比増となっています。輸送密度7万人台は京阪神エリアや大阪環状線より低いですが、新幹線は旅客1人あたりの単価が高いので、収益は大きいです。

ちなみに、東海道線の米原~神戸(155.8km)は、225,114の輸送密度に対し旅客運輸収入1201億円ですが、山陽新幹線全線(644.0km)は76,682の輸送密度に対し、旅客運輸収入が3732億円となっています。

北陸新幹線の輸送密度は掲載されていません。年度内の運転日数が少ないからとみられ、2015年度版には集計されて掲載されるでしょう。

山陽新幹線

JR西日本・輸送密度ワースト・ランキング

輸送密度が低い路線についても触れておきましょう。輸送密度500人以下のランキングは以下の通りです。

1位 芸備線・東城~備後落合[25.8km] 8(8)
2位 三江線・三次~江津[108.1km] 50(44)
3位 大糸線・南小谷~糸魚川[35.3m] 137(130)
4位 芸備線・備後落合~三次[45.7km] 191(197)
5位 福塩線・府中~塩町[54.4km] 201(211)
6位 因美線・東津山~智頭[31.9km] 208(185)
7位 木次線・備後落合~宍道[81.9km] 218(245)
8位 山陰線・益田~長門市[85.1km] 274(290)
9位 姫新線・中国勝山~新見[34.3km] 309(290)
10位 小野田線・小野田~居能など[13.9km] 409(431)
11位 山口線・津和野~益田[31.0km] 428(393)
12位 山陰線・長門市~小串 長門市~仙崎[52.8km] 442(465)
13位 越美北線・越前花堂~九頭竜湖[52.5km] 463(493)
14位 姫新線・上月~津山[34.3km] 471(516)

芸備線の東城~備後落合の「8」が圧倒的な存在感を示します。芸備線のなかでももっとも利用者数が少ない区間を切り取った数字とはいえ、さすがに少なすぎるといわざるを得ません。もはや回送線に近い状態になっています。

1位~7位まではローカル線のなかでも過疎区間が続きます。8位に山陰線益田~長門市という都市間を結ぶ路線が登場し、11位に津和野~益田間という特急運行区間が現れます。特急が運転されるような「準幹線」でも輸送密度500人を割っているわけです。ちなみに、山口線は新山口~宮野間では輸送密度5,526でまずまずの数字です。

輸送密度が低い区間は、一部を除いて利用者は減少傾向です。絶対的な輸送量が少なく、利用者も減っているのであれば、これらの区間の将来が心配です。

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