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富山地方鉄道、部分廃止論はなぜ消えた? 全線存続が決まった理由

「みなし上下分離」で維持へ

富山地方鉄道の鉄道線について、富山県と沿線自治体、富山地鉄は9月29日の再構築検討会で、93.2kmの全線を「みなし上下分離」で維持する方向で合意しました。一時は立山線や本線の一部廃止も検討されましたが、なぜ全線存続に決まったのでしょうか。

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全線再構築で合意

富山県は9月29日、富山地方鉄道鉄道線再構築検討会の第3回本線部会を開催し、富山地鉄の本線、立山線、不二越・上滝線の計93.2kmについて、全線を対象に「みなし上下分離」を導入する方向で合意しました。

「みなし上下分離」では、線路や車両などの資産は引き続き富山地鉄が保有し、列車も同社が運行します。一方で、線路や電気設備、車両などの維持管理費は、行政と富山地鉄で分担します。

2027年度から10年間で、維持管理費を78億円と見込み、富山地鉄と行政が39億円ずつ負担します。行政分は県が19億5,000万円、沿線7市町村が合わせて19億5,000万円です。

あわせて、設備更新や利便性向上策についても、国の鉄道事業再構築事業として進めます。本線では10年間で50億8,000万円を投じる計画で、中古車両の導入や変電設備、保守用車両の更新、クレジットカードのタッチ決済導入などを盛り込みます。

富山地鉄特急

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一時は部分廃止を検討

全線再構築の議論が始まった背景には、富山地鉄の鉄道事業の厳しい収支があります。2024年度の営業赤字は約8億4,000万円に達し、富山地鉄が単独で維持することが難しくなっていました。

2025年には、富山地鉄が自社の負担だけで維持できる区間として、本線の電鉄富山~上市間、立山線の寺田~五百石間、不二越・上滝線の稲荷町~月岡間を提示しました。合計26.9kmで、全線の3割弱です。

それ以外の区間については、自治体による支援や、バスなどへの転換を含めて検討することになりました。とくに、本線の滑川~新魚津間や新魚津~宇奈月温泉間、立山線の岩峅寺~立山間などでは、廃止も選択肢に入れて議論がおこなわれました。

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廃止しても大きく安くならない

とくに焦点となったののが、あいの風とやま鉄道と並行する本線の滑川~新魚津間です。あい鉄による代替輸送がしやすいこともあって、廃止を視野に検討されました。

県は、滑川~新魚津間で旅客列車を廃止し、車両回送だけを残す案と、回送を含めて列車の運行をすべて廃止する案を検討しました。

試算によると、2035年度の営業赤字は、全線維持が年間約6億円、旅客営業廃止案も約6億円、完全廃止案でも約5億4,000万円でした。

今後10年間に必要な費用は、全線維持が127億4,000万円なのに対し、旅客営業廃止案が149億1,000万円、完全廃止案では170億円を超えます。

区間を分断すると、折り返し設備や検修設備などを新たに整備する必要があります。路線を短くしても、必要な費用がその分だけ減るわけではない、ということです。

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全線で一体運用

富山地鉄の鉄道線では、線路や電気設備の保守、車両の検査、保守用車両、資材、人員などを全線で一体的に運用しています。一部区間を切り離しても、残った区間に必要な設備や人員が同じ割合で減るわけではありません。分断により追加費用が発生する場合もあります。

そのため、路線ごとに存廃を決めるより、93.2km全線を一つの鉄道システムとして再構築する方向にまとまりました。

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今後は具体的な負担配分へ

維持管理費については、行政側が10年間で39億円を負担する枠組みまで決まりましたが、沿線7市町村の具体的な負担割合は未決定です。

立山線と不二越・上滝線についても、設備更新の内容や、必要な事業費を今後詰めていきます。全線存続の方向性は固まり、今後は各自治体の負担と、どの設備をどこまで更新するかが焦点になります。

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