JR東日本が、新しい新幹線予約サービス「JRE GO」を2026年秋ごろに開始すると発表しました。東北、上越、北陸、秋田、山形の新幹線各駅相互間の予約を扱います。将来的には「えきねっと」との統合も視野に入れるとのことですが、どういう狙いがあるのでしょうか。
新しい新幹線予約サイト
JR東日本の列車予約サイトとしては、2001年にサービスを開始した「えきねっと」が存在し、年間1000万人以上が利用しています。
ただ、使い勝手に難があり、「会員登録に時間がかかる」「列車の比較に手間がかかる」「直前の予約変更が難しい」「サイトが重い」といった改善を求める意見が、JR東日本に対し数多く寄せられてきました。
こうした声を受け、JR東日本では、「えきねっと」とはまったく異なるユーザーインターフェース(UI)の予約サイト「JRE GO」を開発。2026年秋に運営を開始すると発表しました。

利用手続きを簡素化
「JRE GO」の最大のポイントは、列車検索から予約までのステップを簡素化することです。
まず、利用開始手続きを、「えきねっと」の21ステップから最短4ステップに減らします。
「えきねっと」では、初めて使う利用者は予約完了までに平均十数分も要していますが、「JRE GO」では、これを最短1分程度に短縮することを目指します。
検索結果では対象区間の全列車を一覧表示し、シートマップで号車や座席位置、「はやぶさ・こまち」などの併結も同時に確認できるようにします。
「えきねっと」では、検索結果は3列車しか同時表示されず、希望の列車を探すのに画面を何度も遷移させる必要がありますが、そうした手間が減少します。

列車変更も簡単に
予約後の列車変更も簡略化します。
「えきねっと」では、ログインして予約確認をして、変更先列車を3本ずつ表示させて選択するという手間がかかったため、列車変更に時間を要し、乗車直前の変更が難しいという問題がありました。
「JRE GO」では、トップ画面から直近の予約にアクセスし、すぐに変更・払戻が可能になります。これにより、とくに発車時刻直前の列車変更がしやすくなります。

JR東日本の新幹線のみ
取り扱いエリアは、JR東日本エリアである、東北、秋田、山形、上越、北陸(東京~上越妙高)の新幹線各駅相互間に限ります。北陸新幹線の上越妙高以西や、北海道新幹線は取り扱いません。在来線特急も対象外です。
予約できるのは、新幹線eチケットに限ります。紙のきっぷの受け取りはできず、交通系ICカードに紐付けるチケットレス乗車でのみ利用が可能です。
「えきねっと」は在来線を含む全国のJR線が予約でき、紙のきっぷの購入も可能です。これに対し「JRE GO」は、JR東日本エリアの新幹線だけが対象で、チケットレス乗車のみの扱いになるので、サービスを絞っています。
トクだ値は扱わず
座席については、普通車自由席、指定席、TRAIN DESK、グリーン車、グランクラスのすべてが予約できます。
新幹線eチケットの価格は「えきねっと」と同じで、自由席は割引なし、指定席は200円引きとなります。ただし、割引きっぷの「トクだ値」は取り扱いません。
1度の申し込みで、大人、小児を含む複数名の予約が可能です。決済方法はクレジットカード決済に限ります。「えきねっと」では、コンビニ払いや駅での支払いも可能ですが、「JRE GO」はクレカのみと機能を絞っています。
4月から先行試用版
「JRE GO」は、2026年4月20日から先行試用版のサービスを開始します。利用には事前エントリーが必要で、詳細は4月にJR東日本のホームページおよび公式SNSで案内します。
正式なサービス開始は2026年秋ごろを予定しています。
EXサービスの東日本版
ここまでが、JR東日本の新サービス「JRE GO」の概要です。
簡単に言えば、東海道・山陽・九州新幹線「EXサービス」のJR東日本版を作った、ということのように受け止められます。
「EXサービス」は、新幹線予約のみに特化しているため、UIがシンプルで使いやすいのが特徴です。これに対し、「えきねっと」はJR全線の列車予約や乗車券購入にも対応しているため、UIが複雑で、鉄道利用に慣れていない人にはわかりにくいという課題がありました。
こうした課題に対応するため、「JRE GO」は新幹線eチケット専用とすることで、扱うきっぷを絞りこみ、UIをシンプルにすることを狙っているようです。
うがった見方をすれば、「えきねっと」の多彩な機能を維持したまま改良するのでは間に合わないので、簡素化した新サービスを作った、ということでしょう。
エリア拡大、割引の扱いは?
とはいえ、北海道新幹線や北陸新幹線の上越妙高以西が利用できず、トクだ値が購入できないのは、機能を絞りすぎている気もします。
ただ、それは当初サービスの話で、いずれ北海道・北陸新幹線の全線が対象になるのは間違いないでしょうし、割引きっぷの扱いも始まるでしょう。
隠れた狙い
「JRE GO」を作る隠れた狙いとして、JR共通の予約サイトを作るという目標もあるとみられます。
政府は観光戦略実行推進タスクフォースにおいてとりまとめた「観光ビジョン実現プログラム2018」において、新幹線・特急の「予約ページの共通化」を掲げています。JR各社で分かれている予約サイトについて、政府が共通化を要求したわけです。
ただ、これは難題で、JR各社も対応に苦慮しているようです。ようやく2026年度から、JR各社の予約サイトの「連携」がおこなわれることになりましたが、「共通化」への道筋は示されていません。
「EXサービス」との共通化視野?
JR各社の予約サイトには、「えきねっと」「EXサービス」「e5489」「JR九州インターネット予約サービス」の4サービスがあります。
これを「共通化」するのは相当難しく、JR東日本として、他社と共通化しやすい新たなサイトとして「JRE GO」を位置づけているのではないか、という気もします。
「JRE GO」の対象を北海道・北陸新幹線全線に拡大し、「EXサービス」と共通化すれば、全国の新幹線を一つのサイトで予約できるようになる、ということです。
「JRE GO」の機能は絞り込まれていて、「EXサービス」と似た構成になっているので、「えきねっと」に比べれば、共通化ははるかに簡単でしょう。というよりも、おそらくは、共通化を見据えた形で設計されているのではないでしょうか。
JR4社の予約サービスの完全統合は無理としても、「JRE GO」と「EXサービス」を共通化すれば、政府が要求する「予約サイトの共通化」を、新幹線については達成できる、というわけです。
「えきねっと」を見切った?
JR東日本では、既存の「えきねっと」についても、現行サービスを今後も継続して提供する方針を明らかにしています。一方で、「JRE GO」で得られた知見を「えきねっと」にもフィードバックし、将来的には両サイトの一体化を目指すとしています。
これは、「えきねっと」の機能を、徐々に「JRE GO」に移転させていくことを示唆しています。つまり、「えきねっと」の改良には限界があるので、新たなサイトとして「JRE GO」を作り、そちらをメインにしていき、共通化にも対応する、ということでしょう。
「えきねっと」を見切ったようにも捉えられますが、「えきねっと」が始動した2001年から、すでに四半世紀を経ています。最近のJR東日本では、運賃・料金制度をシンプルにし、割引きっぷも整理し、窓口も縮小しています。
こうした時代の変化にあわせて、サイトを刷新するのであれば、妥当なタイミングのようにも感じられます。(鎌倉淳)
























