福岡県の第三セクター、平成筑豊鉄道が重大局面を迎えています。あり方を検討する法定協議会で、行橋市、小竹町、赤村の3市町村が路線バスへの転換を支持。他の自治体も3月までに意向を表明する予定で、バス転換が現実味を帯びてきました。
毎年10億円の赤字
平成筑豊鉄道は福岡県の第三セクター鉄道です。旧国鉄特定地方交通線の伊田線、糸田線、田川線の各線を引き継いだほか、2009年4月からは、北九州市からの委託で門司港レトロ観光線のトロッコ列車も運行しています。門司港レトロ観光線を除く営業キロは49.2kmです。
近年は人口減少などによる利用者減少に苦しんでおり、将来的に多額の赤字も見込まれています。同社が門司港レトロ観光線を除く3路線の今後30年間の経営状況をシミュレーションしたところ、毎年約10億円の営業赤字が続く見通しであることがわかりました。

3つの選択肢
これを受け、福岡県が「平成筑豊鉄道沿線地域公共交通協議会」を法定協議会として設置し、路線のあり方を議論してきました。2025年12月の会合では、鉄道上下分離による存続、BRT転換、路線バス転換の3つの選択肢に集約することが決議されました。
2026年2月16日に開かれた第8回会合では、行橋市、小竹町、赤村の3自治体が、財政負担が最も軽く済むなどとして、路線バス転換を支持する意向を示しました。
残る6自治体も3月中旬までに意向を示す予定で、交通事業者の意見も踏まえたうえで、3月下旬までに、協議会として最終方針を決定する見通しとなりました。

30年で赤字439億円
平成筑豊鉄道の赤字については、各自治体が分担して負担しています。負担割合は、田川市23.58%、直方市17%、行橋市15.11%、福智町14.16%、みやこ町9.66%、赤村6.97%、香春町5.68%、糸田町5.53%、小竹町2.31%です。
鉄道を上下分離で残す場合、30年間の赤字額の総額は439億円程度と見込まれています。3自治体の負担額は、行橋市が約66億円、小竹町が約10億円、赤村が約30億円となります。
自治体により財政規模が違うので負担感は一概にいえませんが、たとえば赤村の場合、年平均1億円程度の金額でも厳しいということでしょう。

田川市は103億円
全9自治体で最大の負担をしている田川市は、鉄道を上下分離で残す場合、30年間で約103億円の負担となります。シミュレーションでは、更新費用がかさむ21年目以降に年5億円規模の負担となることが見込まれています。
人口減少が進む2040年代から2050年代にかけて、鉄道維持費の増加に拍車がかかるわけで、市として財政運営の見通しは厳しくなりそうです。

田川線は廃止に現実味
バス転換を容認した3自治体のうち、行橋市、赤村の2つは田川線沿線です。田川線は5つの沿線自治体(田川市、香春町、赤村、みやこ町、行橋市)のうち、2つが鉄道廃止を受け入れたことになります。
今後のカギを握るのはみやこ町です。みやこ町がバス転換に同意すれば、沿線の大半の意向が一致するわけで、田川線廃止は現実味を帯びてきます。

伊田線、糸田線については、高校が田川市、直方市に集中しているため、沿線の高校生にとって必要性は高そうです。
カギとなるのは、拠点となる田川市と、走行区間の長い福智町の判断でしょうか。
バス運転士を確保できるか
鉄道を廃止にした場合、問題となるのはバス運転士の確保です。1日平均乗車人員は、伊田線1,792人、田川線1,156人、糸田線372人(いずれも2022年度)で、糸田線はともかく、伊田線や田川線でバス転換するとなると、それなりの本数が必要となります。
協議会の試算では、路線バスへの転換で必要な運転士は44人です。福岡県が交通事業者から聞き取ったところ、人員の確保は可能という回答があったということです。
とはいえ、運転士が確保できたとしても現段階の話で、20~30年後はわかりません。
鉄道は大量輸送が可能なので、バスに比べれば少ない運転士で維持が可能です。しかし、運転士以外に保線などの人員が必要になります。その確保は、運転士以上に難しくなりつつあります。
ローカル線問題の典型例
財政面でみれば、鉄道維持が難しい局面にさしかかっているのは確かです。しかし、バス転換しても、運転士がいなくては運行できません。鉄道にせよ、バスにせよ、持続性に疑問符が付いているわけです。
こうしてみると、平成筑豊鉄道の難局は、日本各地で浮上している「令和のローカル線問題」の典型例といえるかもしれません。最適解を判断するのは容易ではありません。(鎌倉淳)






















