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「成田中速新幹線」が実現へ。京成スカイアクセス線、複々線化を検討

最高速度160km/h

京成電鉄が、成田スカイアクセス線の新鎌ケ谷~印旛日本医大間について複々線化を検討します。成田新幹線用に準備された線路用地を転用し、最高速度160km/hで高速運転をする構想です。いわば「成田中速新幹線」計画が動き出した、とみることもできそうです。

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新鎌ケ谷~印旛日本医大を複々線化

京成電鉄が、成田空港アクセス強化について新たな施策を発表しました。注目は、成田スカイアクセス線の新鎌ケ谷~印旛日本医大間の複々線化です。

スカイライナーと、押上発着の新型有料特急(2028年度運行開始予定)が走る専用線を新設し、通勤電車が走る一般路線と分離します。専用線では最高速度160km/hでの運転を実施します。

スカイライナー

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新鎌ケ谷~成田空港に高速鉄道

成田スカイアクセス線については、成田湯川~成田空港間に残る単線区間の複線化についても検討を進めています。単線区間の複線化にあわせて、新鎌ケ谷~印旛日本医大間を複々線化することで、新鎌ケ谷~成田空港間でスカイライナーなどが高速運転をするわけです。

複線化と複々線化の両方が完成すれば、日暮里駅~空港第2ビル間は、現状の最速36分から30分台前半に短縮します。また、新型有料特急の押上~空港第2ビル間は、当初計画の最速30分台前半から、20分台後半に短縮します。

成田空港駅についても、新ターミナルビルの建設にあわせて移転・拡張が予定されています。すべて完成すれば、京成の成田空港アクセスは大きく姿を変えることになります。

成田スカイアクセス線複々線化
画像:京成電鉄プレスリリース

 
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主目的は高速化

新鎌ケ谷~印旛日本医大間には、成田新幹線などを走らせるために準備された複線用地が、既存線路に並行して存在します。成田スカイアクセス線の複々線化は、この複線用地を転用するとみられます。

ただ、複々線化できるのは、この用地が確保されている新鎌ケ谷以東に限られます。京成高砂~新鎌ケ谷間は複線のままですから、都心方面からの列車の増発には限りがあります。

したがって、複々線化と160km/h運転により、スカイライナーなどの所要時間は短縮できますが、大幅な増発は期待できません。見方を変えれば、複々線化の主目的は増発ではなく、スカイライナー系の高速運転ということなのでしょう。

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私鉄版「中速新幹線」

高速新線を在来線に並行して建設するという意味で、今回の複々線化は「新幹線」に近いといえます。

これまでの私鉄の複々線化は増発が主目的でしたので、私鉄が高速運転を主目的とした「新幹線タイプ」の複々線化を実施するのは初めてです。

用地が確保されているから、という特殊事情があるにせよ、これまでの私鉄にはない形の輸送力増強といえます。

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成田中速新幹線

ところで、国土交通省は、幹線鉄道ネットワークについて、既存の在来線を活用し高速化することで機能を高める方針を検討しています。いわゆる「中速新幹線」です。

京成スカイライナーの最高速度である160km/hは、この「中速新幹線」がターゲットとする速度域です。つまり、今回の複々線化は、幻となった「成田新幹線」を中速新幹線で整備すると解釈することもできるでしょう。

成田新幹線は、東京駅と成田空港を30分程度で結ぶ計画でした。「成田中速新幹線」はそれには及ばないものの、近い所要時間となりそうです。

開業時期は公式発表されていませんが、成田空港アクセス強化が焦眉の急であることや、用地買収の手間がほとんどかからないことを考えると、2030年代に実現する可能性もありそうです。(鎌倉淳)

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旅行総合研究所タビリス代表。旅行ブロガー。旅に関するテーマ全般を、事業者側ではなく旅行者側の視点で取材。著書に『鉄道未来年表』(河出書房新社)、『大人のための 青春18きっぷ 観光列車の旅』(河出書房新社)、『死ぬまでに一度は行きたい世界の遺跡』(洋泉社)など。雑誌寄稿多数。連載に「テツ旅、バス旅」(観光経済新聞)。テレビ東京「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」ルート検証動画にも出演。