2026年が幕を開けました。新春企画として、これからできる鉄道新線計画の進捗状況をまとめてみました。気になるあの鉄道新線が、いまどんな進捗状況なのかがわかります。まずは、着工済みか、着工が確実な路線からご紹介しましょう。駅名は一部仮称です。
開業時期が明確な10路線
最初に、現在、建設が進められている鉄道新線をリストにしてみましょう。着工済みか、着工が確実な路線のうち、開業予定が明確に示されているものは、以下の10線区です。
■2026年度
岡山駅前広場路面電車乗り入れ
■2027年度
大阪メトロ中央線(森之宮検車場旅客化)
■2030年度
なにわ筋線(大阪~JR難波・新今宮)
ひたちなか海浜鉄道(阿字ヶ浦~国営ひたち海浜公園南口)
■2031年度
JR羽田空港アクセス線(田町付近・東京テレポート~羽田空港)
■2033年度
大阪モノレール(門真南~瓜生堂)
■2034年度
多摩モノレール(上北台~箱根ヶ崎)
熊本空港アクセス鉄道(肥後大津~熊本空港)
■2035年度
宇都宮ライトレール(JR宇都宮駅西口~県教育会館)
■2036年度
アストラムライン(広域公園前~西広島)
着工済みの鉄道新線は他にもありますが、明確に目標年次が示されているのは、上記10線区のみです。
このうち、新線というには規模が小さい岡山駅前広場の路面電車乗り入れと、既存路線の旅客化にとどまる大阪メトロ中央線を除くと8線区です。大型新線の開業は当分なく、2030年度のなにわ筋線を待たなければなりません。

詳細未定の5線区
上記に加えて、開業時期の詳細は未定ですが、着工済みか、着工が確実な路線には、以下の5線区があります。
■2030年代半ば
東京メトロ南北線(白金高輪~品川)
東京メトロ有楽町線(豊洲~住吉)
■2038~2042年
新空港線(東急蒲田~京急蒲田)
■2038年度以降
北海道新幹線(新函館北斗~札幌)
■時期未定
リニア中央新幹線(品川~名古屋)
現実に着工済み・着手確実な路線は意外と少なく、上記の合計15線区にとどまります。
鉄道新線建設は、事業着手から開業まで10年程度はかかることが多いので、準備期間を含めると、2030年代までに開業しそうな路線は、この15線区で終わりかもしれません。
以下で、最新の進捗状況も含めてご紹介していきましょう。
岡山電気軌道駅前広場延伸
2026年度に唯一予定されている鉄道新線は、岡山電気軌道の岡山駅前広場延伸です。「延伸」といってもわずかで、岡山駅前の停留所を岡山駅前広場に移設するだけです。JR線との乗り換え利便性を向上させる目的です。
岡山駅前電停は、JR駅ビルから市役所筋を挟んだ東側にあります。ここから軌道を岡山駅方向に約100m延ばし、東口駅前広場内に乗り入れます。
JRの駅ビル前に、2面3線のホームを備えた電停を新設。JR岡山駅東口を出て電停までの距離は現在の約180mから約40mに短縮します。2027年春の開業予定です。

岡山市の路面電車に関しては、環状化を含む7ルートの延伸計画もあります。
2020年にとりまとめられた「路面電車ネットワーク計画案」が、短期的に整備する路線として挙げたのが、大雲寺前電停から岡山芸術創造劇場を経て西大寺町電停に至るルート(下図4)です。
完成すれば一部で環状(袋状)の運転となりそうですが、実現時期などは未定で、2025年にも目立った進捗はみられませんでした。

大阪メトロ中央線森之宮検車場側線旅客化
大阪メトロ中央線には、森ノ宮駅から検車場に延びる車庫用の側線を旅客化する予定があります。森之宮検車場には新駅を設置します。営業距離は1.1km程度です。
側線の旅客化なので、厳密な意味での鉄道新線ではありませんが、旅客鉄道としては新線といえます。

検査場付近では再開発が進められていて、2025年9月には大阪公立大学が森之宮キャンパスを開設しました。大阪メトロも商業施設の建設を検討しています。
新駅を設け、中央線が乗り入れることで、再開発エリアのアクセス向上を図ります。開業は2028年春の予定です。
新駅のデザインも、すでに公表されています。卵形の曲線的なデザインが特徴的で、駅舎内部は開放的な雰囲気です。

なにわ筋線
2020年代後半には、鉄道新線の開業計画がほとんどありません。先述の岡山電軌や大阪メトロ森之宮側線を除けば、2031年春ごろ開業予定の、JR・南海なにわ筋線開業を待たなければなりません。
なにわ筋線は大阪駅地下(うめきたホーム)からJR難波、南海新今宮へ至る路線で、JRと南海が共同で営業します。総延長は7.2kmです。
途中、中之島駅、西本町駅、南海新難波駅の3駅を設けます。関西高速鉄道が鉄道施設を整備・保有し、JR西日本と南海電鉄が、それぞれ運営主体となり列車を運行します。
完成すれば、JR特急「はるか」「くろしお」や、南海特急「ラピート」がなにわ筋線経由に移管される予定です。
工事の進捗状況ですが、大阪府の資料によれば、2024年度末現在で、事業全体の進捗率は約23%(予算ベース)、用地買収の進捗率は約16%(件数ベース)です。
この進捗状況で、あと6年で開業できるのかと不安もよぎります。実際、大阪府は2025年7月のコストマネジメント会議で「一部、用地取得に時間を要している箇所がある」ことを認めています。
しかし、「現時点では、事業期間へ影響を及ぼすリスクは顕在化していない」としており、いまのところ、2031年春の開業予定に変更はありません。

ひたちなか海浜鉄道湊線ひたち海浜公園延伸
ひたちなか海浜鉄道湊線は、一時は廃止も議論されたローカル私鉄です。第三セクター化されてから経営が持ち直し、阿字ヶ浦~国営ひたち海浜公園間3.1kmの延伸計画が立てられました。
阿字ケ浦駅から北上し、海浜公園の南側外周に沿って進み、公園中央口を超えて公園西口付近を終点とする計画です。当初は全区間を一気に建設する予定でしたが、経済状況の変化などを受けて、公園南口までの1.4kmを先行整備する計画に変更しました。
事業許可は2021年1月に取得済みで、2025年12月には、事業費をまかなうための鉄道事業再構築事業が認定されました。2026年度から詳細設計、地質調査に着手し、2031年春の公園南口までの開業を目指しています。
用地取得や工事難易度の低い地方の平野部の地上路線で、距離も1.4kmにすぎません。そのため、着工すれば開業予定が大きくずれこむことはなさそうです。

羽田空港アクセス線
2031年度には、JR東日本が計画している大型新線・羽田空港アクセス線が開業予定です。
東海道貨物線の一部を旅客化しつつ、新線も建設し、羽田空港から東京駅、上野駅、渋谷駅、新宿駅、新木場駅などに直通列車を運行する構想です。
計画では、羽田空港の国内線第1ターミナルと第2ターミナルの間に「羽田空港新駅」を設け、東京貨物ターミナルまでアクセス新線を建設します。そこから田町駅への「東山手ルート」、大井町駅への「西山手ルート」、東京テレポート駅への「臨海部ルート」の3ルートを建設します。
このうち「アクセス新線」と「東山手ルート」12.4kmの整備事業については、すでに着工しています。開業予定は2031年度で、2032年春が有力でしょう。いまのところ、工事の遅延は報じられていません。
東山手ルートの運転本数は毎時8本、1日144本(72往復)を予定しています。おおむね15分間隔での運転を想定しているようです。
「臨海部ルート」についても、東山手ルートとの同時開業を目指しています。臨海部ルートは主にりんかい線の車庫線を活用するため、大規模な土木工事はなく、これからの着手でも間に合いそうです。

次ページでは、引き続き、開業年度が明確に示されている路線をご紹介していきます。モノレール、ライトレール、新交通が続々と開業します。
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これからできる鉄道新線を総まとめ〔2〕モノレール、ライトレール、新交通が続々と























