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福岡地下鉄七隈線、延伸検討も採算厳しく。姪浜、空港の両方向案

6両化には着手

福岡市営地下鉄七隈線の延伸が、本格的に議論されそうです。橋本駅から姪浜方面と、博多駅から福岡空港国際線ターミナル方面への2案が検討されます。ただし、どちらの案も採算性は厳しそうです。

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交通対策特別委員会で表明

福岡市地下鉄七隈線について、福岡市は、2025年11月21日の市議会交通対策特別委員会で、延伸について検討することを明らかにしました。

延伸が検討されるのは、橋本駅~姪浜駅間と、博多駅~福岡空港国際線ターミナル間の2区間です。現在の起点と終点を、それぞれ延ばす形です。

福岡地下鉄七隈線

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試算では厳しく

七隈線の姪浜、空港延伸は、これまでにも検討されてきました。

2025年5月に福岡市がおこなった試算では、姪浜~橋本間の延伸距離は約4.5km。1日2.7万人の利用を想定します。

事業費は1,790億円で、単年度1億円の赤字が生じ、費用便益比は0.6。概算事業費の償還年数については、償還不可(採算が取れない)という結果になっています。

また、空港延伸については、距離3.5kmで、1日2.9万人の利用を想定します。総事業費は1,490億円で、単年度5億円の赤字と予想しています。費用便益比は0.3、概算事業費の償還年数は298年で、目安となる40年を大幅に超過します。

そのため、いずれの区間の延伸事業も、すぐに着工となる可能性は小さく、費用対効果や採算性を高める施策が求められそうです。空港延伸については、国際線の発着数が増えれば、試算の結果も変わってくるかもしれません。

福岡市地下鉄七隈線延伸
画像:国土地理院地図を加工

 
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6両化は着手

同日の委員会で、福岡市は、七隈線の6両化について着手する方針を示しました。七隈線は、2023年に天神南~博多間1.4kmを延伸したことで利用者が増え、混雑が深刻な問題になっています。

すでに増発などの対応をしているものの、抜本的な対策として6両化に踏み切ります。駅のホームは6両に対応しているため、大がかりな土木工事は必要なく、車輌製造と施設改修に250億円を見込んでいます。(鎌倉淳)

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