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東武ワールドスクウェアに東京から日帰りしてみた。「鉄道&世界旅行」を楽しめる!

展示物は老朽化も

東武ワールドスクウェアに行ってみました。東武鉄道の鬼怒川エリアのテーマパークです。精巧なミニチェア展示物には一見の価値があり、東京から東武特急で日帰りすれば、「鉄道旅行」と「世界旅行」を1日で楽しめます。

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25分の1スケールのミニチェア

東武ワールドスクウェアは、1993年に開園した、東武グループのテーマパークです。国内外の建造物が25分の1のスケールで再現されており、園内をまわると世界旅行をした気分になれる、という場所です。

2017年には、東武鬼怒川線の東武ワールドスクウェア駅が開業。列車でのアクセスが改善しました。今回は、東京から東武特急を使い、家族で日帰りで訪れてみました。

東武ワールドスクエア

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東武特急は満席で

最近の東武特急は、週末の指定席券が入手困難になっています。

筆者が訪れたのは11月上旬の週末ですが、3週間前に特急券を買おうとしたら、定期列車はほぼ満席。臨時の「けごん61号」(浅草08時09分発)に空席があり、それを下今市駅まで予約し、後続の「リバティきぬ109号」に乗り継いで東武ワールドスクウェアに向かうという日程を組みました。

乗ってみると、「けごん61号」の車内は8割方日本人です。東武特急といえば、インバウンドに人気なのかと思っていましたが、これだけ早く指定席券が売りきれてしまうのでは、外国からの旅行者は手配が間に合わないのかもしれません。

東武特急スペーシア

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降車客の大半は日本人

下今市からの「リバティ」は3両編成。6両編成にすれば輸送力不足が改善するのに、と思いますが、車両が足りないのでしょう。

東武ワールドスクウェア駅10時30分着。降車したのは十数名で、大半が日本人でした。

東武ワールドスクエア駅

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適度な混み具合

さて、東武ワールドスクウェアです。25万分の1のミニチェアが、102点展示されています。

ミニチェアはいずれも精緻にできていて、眺めていて飽きません。ただ、詳細な展示内容は、これまでに数多くの記事やブログなどで紹介されていますので、ここでは省略します。

園内は日本人客で適度に賑わっていました。こういう施設は、あまりに混んでいると楽しめないものですし、ガラガラだと寂しいですが、文字通り「適度な混み具合」でストレスなく回れます。

レストランも空いていて、お昼時でも満席になることはありませんでした。各地を賑わしているインバウンド客も、ここではそれほど多くありません。

訪問者としては快適ですが、秋の行楽シーズンの天気のいい週末に、この程度の混み具合で、経営的に大丈夫なのか、と心配にもなります。

東武ワールドスクエア

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空港にはボーイング747

運営する株式会社東武ワールドスクウェアの決算書を見てみると、近年はおおむね1~2億円の純利益を計上しています。コロナの時期は赤字を出していますが、それ以外は黒字基調で、利益剰余金を積み上げています。

ただ、園内を回っていると、古さを隠せない展示物も多く、有り体にいえば施設全体で老朽化が進んでいます。

たとえば、成田空港にはボーイング747-400型機が並んでいます。その姿は壮観で、平成初期の姿を見られる面白さもあるのですが、いまの時代の成田空港に747-400型機は飛んでいません。現役施設のミニチェアとして、これでいいのか、という気もします。

東武ワールドスクエア

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おいそれと更新できず

1億円程度の利益では、設備投資をするにも限りがあります。2010年に建設された東京スカイツリーのミニチェアの制作費が2億円、2021年の首里城は1億円だったので、会社の経営規模を考えると、102点もあるという展示物を、おいそれと更新できないのでしょう。

新たな展示物が数年おきに投入されてはいますが、全体的な展示内容は変わらないため、リピーターを呼び込むのが難しく、訪問者の伸び悩みに繋がっている面もありそうです。

古びた展示物を見ていると、「東武はいつまでこのテーマパークを維持するつもりなのか」という、疑念も湧いてきます。当面の営業利益は確保できても、大規模な更新費用は賄えそうもないからです。

東武ワールドスクエア

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タミヤとのコラボ

もちろん、運営側も工夫をしています。

今回、園内では、タミヤとのコラボで、園内に置かれたタミヤの模型や人形を探すというイベントがおこなわれていました。

展示物の片隅に、さりげなくタミヤの人形やクルマが置かれているのですが、これを探すのは結構難しく、おかげで園内を何周もしながら、飽きずに楽しめました。

魅力的なイベントがあれば、リピートの動機になります。こうしたイベントを、いかに続けて出していけるかがポイントになるのでしょう。

東武ワールドスクエア

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訪問者の評価が分かれる

東武ワールドスクウェアは、訪問者の評価が分かれるテーマパークです。世界遺産や各地の歴史的建造物に興味のある人には面白い施設で、ゆっくりまわりながら楽しめます。

しかし、体験型のアトラクションはなく、「ただ見るだけ」なので、建造物に興味のない人が楽しめる余地は少ないかもしれません。そういう方が訪れると「つまらない」という感想になってしまうでしょう。

子どもの娯楽や教育目的にも悪くないと思いますが、子どもが楽しめるかも、その子次第という話になってしまいます。筆者の場合は、家族全員で楽しめましたが、万人にはお勧めしづらい面もあります。

東武ワールドスクウェア

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ピンポイント日帰りで楽しめる

筆者は約5時間滞在して、15時24分発の「スペーシアX8号」で帰京しました。これで、「スペーシア」「リバティ」とあわせて、東武日光線系統の特急3種をコンプリートです。

北千住に到着したのは17時21分です。浅草~東武ワールドスクウェアが片道2時間、自宅からの時間でいえば、さらに片道1時間くらいは余計にかかりますので、往復で合計6時間かかりました。

それでも、日帰り旅行はやっぱりラクです。自宅を朝7時すぎに出て、夜19時前には帰れます。日常的な活動時間の範囲内ですし、旅行中は特急列車の車内で座っている時間が長いので、それほど疲れません。

滞在5時間はちょうどよく、園内をくまなく回って楽しめました。東京から日帰りの鉄道旅行を家族で楽しむには、うってつけの目的地と思います。

自動車アクセスしかできない場所が目的地では、運転の疲労や渋滞を考慮しなければならないので、こうした旅は難しいでしょう。

そう考えると、東武ワールドスクウェアの駅前立地はやはり強みです。鉄道アクセスが優れているので、こうした「ピンポイント日帰り旅行」でも、効率的に楽しめるというわけです。(鎌倉淳)

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旅行総合研究所タビリス代表。旅行ブロガー。旅に関するテーマ全般を、事業者側ではなく旅行者側の視点で取材。著書に『鉄道未来年表』(河出書房新社)、『大人のための 青春18きっぷ 観光列車の旅』(河出書房新社)、『死ぬまでに一度は行きたい世界の遺跡』(洋泉社)など。雑誌寄稿多数。連載に「テツ旅、バス旅」(観光経済新聞)。テレビ東京「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」ルート検証動画にも出演。