横浜「上瀬谷パーク」わかっていること全詳細。アニメ・ゲームの次世代テーマーク

ジャパンコンテンツ?

横浜市の旧上瀬谷通信施設地区に大型テーマパークが誕生します。アニメやゲームといった「ジャパンコンテンツ」を活かした施設です。わかっている内容をまとめてみました。

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上瀬谷通信施設跡地

旧上瀬谷通信施設地区は、かつての米軍施設の跡地で、2015年に返還されました。相鉄線瀬谷駅の北、東名高速町田ICの南に位置します。

横浜市では、2027年国際園芸博覧会(花博)を同地区で開催する予定で、その後の再開発も目指しています。

跡地は大きく4地区に分かれています。「観光・賑わい地区」「物流地区」「公園・防災地区」「農業振興地区」です。

このうち「観光・賑わい地区」について、再開発事業者が三菱地所に決定したことが発表されました。同社は東京ディズニーランド規模の大型テーマパークや複合商業施設を整備します。

上瀬谷通信施設跡地
画像:旧上瀬谷通信施設地区に関する資料
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上瀬谷パーク

「観光・賑わい地区」は、上瀬谷通信施設跡地242ヘクタールのうち、中央に位置する約70ヘクタールです。横浜市が「テーマパークを核とした複合的な集客施設の再開発事業者」を公募したところ、三菱地所1社が応札し決定しました。

三菱地所は再開発地区を「KAMISEYA PARK(仮称、以下上瀬谷パーク)」とし、大型テーマパークを中心としたまちづくりを提案しています。

再開発地区は「テーマパークゾーン」「駅前ゾーン」「公園隣接ゾーン」「環4西ゾーン」の4エリアに分かれます。

上瀬谷パーク
画像:横浜市

上瀬谷パーク
画像:横浜市

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ジャパンコンテンツ

目玉となる「テーマパークゾーン」の面積は51ヘクタールで、東京ディズニーランドとほぼ同じ。施設の詳細は明らかではありませんが、アニメやゲームといった、世界中で人気の「ジャパンコンテンツ」を生かしたものになります。

開業時の総来街者数は年間約 1,200万人を見込み、段階的に年間1,500万人超を目指します。

東京ディズニーリゾートの入園者数が2パーク合計で年間約3,000万人(コロナ前)なので、上瀬谷パークは東京ディズニーランド(単体)クラスの来街者数を目指すわけです。

三菱地所も、提案書のなかで「ワールドクラスの次世代型テーマパーク」と表現していて、ディズニー級を目指していることが読み取れます。

上瀬谷パーク
画像:横浜市
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ジャパンテクノロジーも活用

テーマパークは、「最先端のエンターテイメントが集まるエリア」「子供から大人まで楽しめるエリア」「スリルあふれるエリア」など、特徴のある複数のエリアにゾーニングします。子どもから大人まで、世代を問わず多くの人々が楽しめる空間を創ります。

上瀬谷パーク
画像:横浜市

仮想現実(VR)技術など最先端の「ジャパンテクノロジー」も活用し、リアルのテーマパーク体験とバーチャル空間での体験を融合。テーマパーク来場前や来場後もバーチャル空間を活用したイベントを楽しんだりできます。

上瀬谷パーク
画像:横浜市
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駅前ゾーン

テーマパークの玄関口となるのが「駅前ゾーン」です。

上瀬谷通信施設跡地には「新たな交通」が導入される予定で、テーマパークゾーンの目の前に新駅を設置します。

新駅予定地周辺の「駅前ゾーン」には、テーマパークのグッズショップやコンビニ、ドラックストアなどのテナントを誘致します。

カフェ、レストランなど、地域住民が日常的に利用できる商業施設も設ける計画です。

上瀬谷パーク
画像:横浜市
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公園隣接ゾーン

「公園隣接ゾーン」は駅前ゾーンに隣接し、南西側で「公園・防災地区」と接します。

つまり、新駅と「公園・防災地区」をつなぐ区間に位置するわけです。ここでは、「農と食」や「Well-being」などをテーマにした商業施設を導入します。

上瀬谷パーク
画像:横浜市

テーマパークばかりが注目されていますが、駅から都市公園への動線に無料ゾーンを整備し、商業施設も整えることで、テーマパーク来園者以外も楽しめるまちを目指すわけです。

上瀬谷パーク
画像:横浜市
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環4西ゾーン

駅前ゾーンの西側には環状4号という道路が南北を貫いています。新交通システムが作られる場合、環状4号に沿った路線となります。

環状4号は北側で国道16号と交差しますが、その手前に東名高速道路につながる新たなインターチェンジが設けられる予定です。

その環状4号の西側が、「環4西ゾーン」です。ここにはバスターミナルなどを整備し、空港や主要ターミナルへの路線バスの発着地とする構想です。

開発用地も確保し、テーマパーク開業時は、商業施設などの暫定利用も検討します。

将来的には、テーマパークのエリア拡張や、ホテルなどの建設も視野に入れます。段階的な開発により、集客の維持・向上を図りながらまちづくりを進める構想です。

以上が、上瀬谷通信施設跡地再開発「上瀬谷パーク」の概要です。工事着手は2028年頃。テーマパークのオープンは2031年頃を目指します。

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ジャパンコンテンツとは何か?

現時点でわかっていることは限られていますが、以下は、筆者の私見として、具体的な内容を推定してみます。

何より気になるのは、テーマとなる「ジャパンコンテンツ」とは何か、ということです。

アニメやゲームでいえば、筆頭で思い浮かぶのはポケモンでしょう。たしかにポケモンは有力候補ですが、ポケモンだけで東京ディズニーランド級のテーマパークを作るのは、さすがに厳しいのではないか、と察せられます。

テーマパークの事業期間は50年を予定しています。ポケモンがいかに優れたコンテンツであったとしても、50年後も人気があり続けるかは定かではありません。

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複数コンテンツを集める?

となると、文字通り「ジャパンコンテンツ」を幅広く集めるテーマパークを目指しているのではないか、という推定に至ります。

日本には、世界で親しまれているマンガ、アニメ、ゲームなどのキャラクターが多数存在します。そうしたさまざまなキャラクターにまつわるアトラクションを一つずつ作っていく、という考え方のほうが、テーマパークの規模からすれば適切ですし、持続性もあります。

そのためには、出版社やゲーム会社など、国内のコンテンツホルダーの協力が必要になるでしょう。複数の有力企業の協力を取り付けるのは相当に大変そうですが、日本を代表する企業集団である三菱なら、それができるのかもしれません。

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上瀬谷ラインはできる?

もう一つ気になるのが、「新たな交通」の行方です。

当初、横浜市は、新駅と瀬谷駅を新交通システム「上瀬谷ライン」で結ぶ計画を立てていて、2027年の花博開催に間に合わせる予定でした。

しかし、事業主体になることを打診された市の第三セクター・横浜シーサイドラインが事業参画を見送り、実現に至りませんでした。

同社は、不参画の理由として、花博閉幕後のテーマパークの事業内容や事業主体が未定であることを挙げました。それが決まらなければ、採算性が見通せないためです。

逆に言えば、テーマパークの事業内容が明らかになれば、事業参画もあり得るという話です。実際、横浜シーサイドラインの社長は不参画決定時に、「採算性や継続性について抜本的な見直し提案がされた場合は、当社は本事業への参画を再検討する」とのコメントを公表しています。

今回、三菱地所が明らかにした計画が目論見通りに実現すれば、採算性や継続性の見通しは立ちそうです。となれば、「上瀬谷ライン」も、テーマパークの具体化にあわせて実現に向け動き出すかもしれません。(鎌倉淳)

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