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陸羽東線の営業係数、2万円以上に。JR東日本ローカル線、2024年度収支状況開示

36路線71区間

JR東日本が、2024年度の利用者が少ないローカル線の収支状況を開示しました。36路線71区間で、計790億円の営業赤字でした。営業係数で最大を記録したのは陸羽東線の鳴子温泉~最上間で、22,360円となっています。

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36路線71区間

JR東日本が収支状況を開示したのは輸送密度2,000人未満の線区で、対象となったのは36路線71区間です。2023年度は36路線72区間でしたので、1区間が減少しています。

開示対象から外れたのは、羽越本線羽後本荘~秋田間です。2024年度の輸送密度が2,000人を上回ったため、今回の開示対象から外れました。

陸羽東線

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赤字総額790億円

開示された線区の合計の運輸収入は62億円で、前年度比1億円の減少。営業費用は853億円で、31億円の増加です。差し引きで合計の赤字額は790億円となり、前年度の757億円より33億円増えました。

赤字増加の原因は営業費用の増加です。これは、コロナ禍で先送りしていた施設の修繕を進めているのが主な理由ですが、インフレによる資材費の高騰も影響しているようです。

JR東日本の2025年3月期連結決算の営業黒字は3,767億円です。したがって、黒字額の約2割に相当する赤字を、ローカル線で発生させていることになります。

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営業係数最大は陸羽東線

100円を稼ぐための費用を示す営業係数が最も高かったのは、陸羽東線の鳴子温泉~最上間で22,360円。ただ、この区間は2024年7月豪雨で被災し、8月以降はバス代行になっています。そのため収入がきわめて少なく、営業係数が跳ね上がったようです。前年度は13,465円でした。

次いで営業係数が高かったのは、津軽線の中小国~三厩間の10,649円。この区間も被災により運休中です。運行中の路線としては、飯山線の戸狩野沢温泉~津南間の10,460円が最大です。

JR東日本ローカル線収支

JR東日本ローカル線収支状況
画像:JR東日本

 
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羽越本線、常磐線で赤字額大きく

営業赤字の金額が大きいのは羽越本線で、鶴岡~酒田間が55億円、酒田~羽後本荘が28億円などとなっています。常磐線のいわき~原ノ町間も32億円と巨額です。

赤字額は、区間長が長いと大きくなりがちという側面はあるものの、特急も走るような地方幹線のほうが、金額が大きくなりやすい傾向があります。(鎌倉淳)

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