山陽新幹線小倉~博多間に新駅を設置する動きが高まってきました。市長が誘致の意向を示し、民間の促進協議会も設立されました。JR西日本も前向きに検討する用意があるようですが、問題は費用です。実現可能性はあるのでしょうか。
筑前植木駅の北500メートル
山陽新幹線小倉~博多間の新駅構想は、筑豊線との交点付近に想定されています。筑豊線筑前植木駅の北側約500メートルの位置です。
近くには、九州自動車道鞍手インターチェンジなどがあります。
1991年以来の構想
地元の直方市は、1991年1月に策定した「第3次直方市総合計画マイタウン2001」において、福岡市・北九州市両都市圏の接点に立つ交流都市を目指し、新幹線新駅設置構想を掲げました。
その後、検討を進めましたが、多額の事業費を要することから2007年に新駅設置構想は凍結。ただし、構想自体は維持され、2021年に策定した第6次直方市総合計画にも引き継がれています。
その凍結されていた構想を解凍しようとしているのが、直方市の大塚進弘市長です。2024年6月の市議会一般質問で新駅誘致の意向を示し、凍結されていた計画が再び動き出しました。
2025年8月26日には、地元の商工会議所や青年会議所など46団体による「県北部中央域の地域振興・新幹線新駅設置促進協議会」が設立され、民間の立場からも新駅誘致運動が始まりました。
「検討する可能性はある」
注目なのは、設立総会を報じた読売新聞の取材に対し、JR西日本が「正式にご意見をいただければ検討する可能性はある」とコメントしたことです。前向きなニュアンスが感じられ、地元が費用負担する請願駅なら、応じる用意がある姿勢を示したともいえます。
直方に新駅ができれば、JR九州の在来線客を奪う形になるので、JR西日本としては、強くは推進しづらい立場にあるともみられてきました。しかし、このコメントを見る限り、地元の強い要請があれば、これ幸いとばかりに作ってしまいそうです。
400億円を超える?
直方新駅建設のハードルとなるのは、その建設費です。直方市が2006年に実施した調査では、新駅の建設費用は約200億円。現在の物価なら、倍の400億円を超えていてもおかしくはなさそうで、それだけの費用に対する効果があるのかといえば、難しいところでしょう。
とはいえ、実現すれば、小倉駅まで8分程度、博多駅まで12分程度で結ばれるでしょう。少なくとも、毎時1本程度の列車が停車するのは間違いなく、北九州、福岡両市の十分な通勤圏に入ります。
博多南駅の開業で人口増加を実現した那珂川市が好例ですが、大都市近郊の新幹線駅の効果は絶大です。猛烈な人口減少時代を迎えたいま、人口維持に決定的に役立つのであれば、自治体にとって、数百億円を投じる価値はありそうです。
企業支援が得られれば?
新駅予定地の周辺には十分な開発余地があり、広い駐車場を設けることもできるでしょう。高速インターにも隣接しているため、パークアンドライド型の新幹線駅を作れば、広域からの利用が見込めます。
予定地付近には、トヨタ自動車九州が拠点を置き、企業誘致も盛んです。実現へ向けて、こうした企業からの支援も得られるかもしれません。
直方市では、現在、新幹線新駅の調査事業をおこなっています。長らく停滞してきた山陽新幹線の直方新駅構想は、実現に向け動き出すのでしょうか。(鎌倉淳)