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えきねっとQチケ、「関東上陸」で何が変わるか。新在乗り換え旅行が便利に

時代に即したチケットに

JR東日本のQRコード乗車サービス「えきねっとQチケ」の利用エリアが、10月1日から東京都区内にまで拡大します。「関東上陸」で、何が変わるのでしょうか。

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東北新幹線郡山以南と東京都区内を追加

JR東日本は、「えきねっとQチケ」のサービスエリアについて、2025年10月1日から、東北新幹線(郡山~東京間の新幹線各駅)と東京都区内を追加すると発表しました。

えきねっとQチケは、QRコードをスマホに表示させることで、チケットレスで列車に乗車できるサービスです。これまでは東北エリアに限定してサービスを提供してきましたが、10月1日から、東京都区内でも利用可能になります。

えきねっとQチケ
画像:JR東日本プレスリリース

 
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QRコードでシームレスに

えきねっとQチケを利用する際は、ウェブサイトまたは「えきねっとチケットレスアプリ」を利用して購入します。すると、「乗車用QRコード」が発行されて、スマホに表示させると、駅の自動改札機にかざして通過できます。

えきねっとQチケ
画像:JR東日本プレスリリース

自動改札機のない駅は、「セルフチェックイン・チェックアウト」機能を利用して、チケットの利用開始・終了を利用者自身が操作できます。こうしたシステムにより、自動改札機のない駅でも利用でき、在来線も新幹線もひとつのQRコードで、シームレスに利用できます。

えきねっとQチケ
画像:JR東日本プレスリリース

 
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Suicaエリア外でも使える

えきねっとQチケの長所は、Suicaエリア外や、無人駅でも利用できることです。これまでのチケットレスサービスは、交通系ICカードを使用したものが主体だったため、利用エリアに制限がありましたが、えきねっとQチケなら、交通系ICカードに対応していない駅やエリアでも使えます。

東北新幹線と東京都区内が利用エリアに入ることにより、東京から東北地方のSuicaエリア外の駅に旅行に行く際に、全区間をチケットレスで利用できます。もちろん、その逆も同じで、東北各地の駅から、東京都区内まで、在来線と東北新幹線を使ってチケットレス乗車ができるようになります。

また、「えきねっとQチケ」では、大人の休日倶楽部割引、株主優待割引、JRE BANK優待割引も可能です。ただし、現時点では、トクだ値は利用できません。

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運賃を通算できる

えきねっとQチケでとくに効果を発揮するのは、新幹線と在来線をまたいで乗車する形です。

交通系ICカードを使った新幹線のチケットレスサービス(新幹線eチケット)は、乗車券と特急券が一体となっているきっぷのため、新幹線と在来線でそれぞれ運賃が打ち切り計算となります。

紙のきっぷの場合は、運賃を通算すると遠距離逓減制の効果がありますが、新幹線eチケットでは、その効果が打ち切られてしまうわけです。そのため、区間によってはチケットレスを使うと紙のきっぷより割高になることがありました。

しかし、えきねっとQチケなら、在来線の運賃は通算して購入できますので、こうしたデメリットがありません。そのため、割引きっぷを用いない、正規運賃・料金での東北旅行や、東北地方からの上京には、えきねっとQチケを利用すると有利になるケースが出てきます。

こうしたことから、えきねっとQチケにより「新在乗り換え」の旅行が便利になりますし、区間によってはお得になります。

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時代に即したチケット

何よりも、スマホにQRコードを表示するという使い方に、いまの現役世代は慣れています。そのため、これまでの紙のきっぷやSuicaよりも、「親しみやすい」と考える方も多いのではないでしょうか。その点で、時代に即したチケットともいえます。

これまで、QRコードで鉄道を利用するというのは、国内において、あまり一般的ではありませんでした。しかし、JR東日本が首都圏でサービスを本格的に開始することにより、「当たり前」の利用法として定着していくことでしょう。利用者の習慣を変えるという点が、もっとも大きな変化かもしれません。

えきねっとQチケのエリアは今後も拡大が予定されていて、2026年度下期には上信越エリアと上越・北陸新幹線(大宮~新潟、高崎~上越妙高)が追加されます。2026年度末には、JR東日本エリア全域へ拡大される予定です。(鎌倉淳)

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